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Key Concepts in Urban Geography(キーコンセプト都市地理学) cover

地理学

地理学

Key Concepts in Urban Geography(キーコンセプト都市地理学)

Alan Latham; Derek McCormack; Kim McNamara; Donald McNeill

英語原題: Key Concepts in Urban Geography

単一の理論ではなく一連の中核概念を軸に構成された、都市地理学のコンパクトな入門書。各概念は独立した小論で説明され、その意味を定義し、地理学者がどのように用いてきたかをたどり、世界の都市の事例で示したうえで、さらに読むべき文献を挙げている。

前提知識: 特になし。都市地理学に初めて触れる学生向けに書かれている。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Latham, A., McCormack, D., McNamara, K., & McNeill, D. (2009). Key Concepts in Urban Geography. SAGE Publications.

章の要約

本書は約240ページ。序論のあとに、20の短い概念項目が五つの部にまとめられている。各項目はおよそ10ページほどのエッセイで、執筆した著者のイニシャルが記され、最後に要点をまとめたボックスと、短い解説付きの文献案内が置かれる。SAGEは本書を、人文地理学の各分野に対応する一連の手引き書の一冊として位置づけている。

序論

序論は、何が都市を都市たらしめるのかを言うことの難しさから出発し、人口密度、法的な自治体としての地位、そして農村部にまで広がる都市の「フットプリント」を論じる。シカゴ学派にとってのシカゴや、ロサンゼルス学派にとってのロサンゼルスのように、一つの都市をすべての都市のモデルとみなすことを戒め、小都市や「普通の」都市、そして西洋以外の都市が軽視されてきたことにも注意を促す。続いて都市地理学の歴史を素描する。初期の地域研究、1960年代の計量的な「空間科学」、人文主義とフェミニズムからの批判、David Harveyの『Social Justice and the City』(1973年)以後のマルクス主義的政治経済学、文化論的転回、そして日常生活への転回である。最後に五つの部をそれぞれ紹介する。

第I部:Location and Movement(立地と移動)(1.1 Centrality(中心性);1.2 Mobility(モビリティ);1.3 Global Cities(グローバル都市);1.4 Transnational Urbanism(トランスナショナル・アーバニズム))

都市内部および都市間の空間的関係を扱う項目群。「中心性」は、中心地理論や古典的な都市構造モデルから、中心業務地区、都心居住の復活、ジェントリフィケーションと立ち退きまでを扱う。「モビリティ」は、計量的な交通地理学と学際的な「モビリティ・パラダイム」を対比し、自動車移動(オートモビリティ)を主な事例とする。「グローバル都市」は、都市を世界経済の司令塔とみなす経済学的な文献と、その批判を概観する。批判者は、軽視されてきた人口の多い都市を指摘し、この用語自体にも疑問を投げかける。「トランスナショナル・アーバニズム」は、移民が国境を越えて社会的・経済的・政治的なネットワークをどう築き、それが都市をどう形づくるかを見る。

第II部:Constructions(構築物)(2.1 Nature(自然);2.2 Materiality(物質性);2.3 Infrastructure(インフラストラクチャー);2.4 Architecture(建築))

建造環境としての都市。序論によれば、自然の項目は都市環境を自然と社会のハイブリッドとして扱い、都市政治生態学や都市の動物に触れる。物質性とインフラストラクチャーの項目は、ケーブルから電力供給まで、都市生活をつなぎとめている身体、モノ、技術のネットワークをたどる。建築の項目は、建物がどのようにつくられるかと、住宅から議事堂や博物館まで建物がどう使われるかの両方を考察する。

第III部:Envisioning and Experience(視覚化と経験)(3.1 Diagram(ダイアグラム);3.2 Photography(写真);3.3 Body(身体);3.4 Virtuality(ヴァーチャリティ);3.5 Surveillance(監視))

最も長い部で、計量地理学が人間の経験を無視したという批判に応える。序論は、ダイアグラムを都市空間の見方として中立ではないものとして、写真を都市の視覚性の重要な媒体として、身体を経験と感情の場として、ヴァーチャリティをデジタルだけでなく想像されシミュレートされる空間として、監視を日常の決まりごとに織り込まれた統治として示している。

第IV部:Social and Political Spaces(社会的・政治的空間)(4.1 Segregation(セグリゲーション);4.2 Urban Politics(都市政治);4.3 Community(コミュニティ))

セグリゲーション、都市政治、コミュニティを、マルクス主義と社会学の伝統を背景に扱う。序論によれば、コミュニティの項目は、「失われたコミュニティ」から「救われたコミュニティ」への移行をたどる。後者は、再生した近隣地区やインターネット上、あるいは人とモノの新しい組み合わせの中に見いだされる。

第V部:Sites and Practices(場と実践)(5.1 Consumption(消費);5.2 Media(メディア);5.3 Public Space(公共空間);5.4 Commemoration(記念))

最後の部は、華やかな場から日常的な場までの消費、物質的実践であり表象であり場所どうしをつなぐものでもあるメディア、公共空間、そして記念を扱う。記念の項目には、争いの場として、また集団的な悲しみや祝賀の場としての記念碑が含まれる。

主要概念

序論と第I部

  • 空間科学:計測、統計、モデルによって一般法則を求めた1960年代の計量的な都市地理学。
  • 中心性:中心地と業務地区がもつ吸引力と、分散によって「中心」の意味がどう変わったか。
  • モビリティ・パラダイム:交通を技術的な問題として扱うのではなく、移動を社会科学の中心に据える考え方。
  • グローバル都市:資本と指令の世界的な流れの結節点とみなされる都市と、その捉え方をめぐる論争。
  • トランスナショナル・アーバニズム:移民の国境を越えるネットワークによって形づくられる都市生活。「下からの」グローバル化。

第II部と第III部

  • 都市の自然:自然の反対物ではなく、自然と社会の過程のハイブリッドとしての都市。
  • インフラストラクチャー:都市生活を可能にしている、しばしば目に見えない社会技術的なシステム。
  • ヴァーチャリティ:デジタル空間だけでなく、想像され、シミュレートされ、予期される都市空間。
  • 監視:カメラ、企業、政府、軍による監視が、日常的な都市生活の一部になっていること。

第IV部と第V部

  • セグリゲーション:都市空間における社会集団の分離。
  • コミュニティ:「失われたコミュニティ」から「救われたコミュニティ」へとたどられる、論争的な概念。
  • 公共空間:人目に触れ、人が集まる空間と、それがどう形づくられ、争われるか。
  • 記念:アイデンティティと対立の場としての記念碑とそれをめぐる実践。

批判的分析

長所

  • 短く、それぞれ独立した項目。 各概念は一度に一項目ずつ単独で読むことができ、理解を確認するための要点と、次に読む文献の案内が付いている。セント・メアリーズ・ユニバーシティ・カレッジのRuth CraggsはSAGEのサイトに寄せた教員のコメントで、短い節とまとめを評価し、難しい概念を扱っているにもかかわらず学生にとって読みやすい文章だと述べている。
  • 分野の論争の見取り図。 序論は空間科学から文化論的転回までの都市地理学の歴史を簡潔に示し、各項目はそれぞれの概念がどのように使われ、争われてきたかを示す。ワシントン大学のSteven Herbertは、本書を初学者にとって入りやすく、分野に詳しい人にも洞察を与える本と評している。
  • 通常の教科書を超えた話題。 物質性、インフラストラクチャー、ダイアグラム、写真、身体、ヴァーチャリティ、メディア、記念といった項目は、概説的な教科書ではごく簡単にしか、あるいはまったく扱われない、近年の文化的・関係論的な研究を取り上げている。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのAsher Ghertnerは、自然、物質性、インフラストラクチャーの項目を大学院生向けの読み物として挙げている。
  • 国際的な広がり。 サンプル章は南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの都市を行き来しており、一つのモデル都市から一般化することへの序論の警告と一致している。

短所

  • 完全な教科書ではない。 ニューカッスル大学のAlastair Bonnettは本書を補助的な価値しかないと評し、Ghertnerは修士課程の授業には軽すぎ、学部の授業には政治経済学から離れすぎていると述べている。
  • 社会理論についてある程度の知識を前提とする。 序論はマルクス主義、人文主義、フェミニズム、ポスト構造主義のアプローチを足早に通り過ぎる。SAGEは本書を学部上級生と大学院生向けとしており、1年生は先に概説書を読む必要があるかもしれない。
  • 扱う範囲は選択に左右される。 20の概念は、分野を網羅するためではなく、都市についての考え方を示すために選ばれている。住宅、郊外化、都市計画といった話題には独立した項目がないので、学生はそれらについて別の資料を必要とする。

コースにおける位置づけ

本書は手引き書であり、授業の主教材ではない。Kevin Archerの『The City: The Basics』は、古代から現在までの都市をたどり、グローバル・ノースとグローバル・サウスを比較する一般的な入門書である。HallとBarrettの『Urban Geography』は、都市の発展、形態、ガバナンス、交通を扱う概説的な教科書である。どちらも出発点としてより適しており、『Key Concepts』はそれと並行して、特定の考え方を深めるために読むとよい。

Pacioneの『Urban Geography: A Global Perspective』は、先進国とグローバル・サウスの都市を扱うはるかに大部の体系的な教科書である。幅広さのためにはそちらを、理論的な論争のためには『Key Concepts』を使うとよい。序論がマルクス主義都市地理学の転換点として紹介するDavid Harveyの『Social Justice and the City』は、第IV部の後に読む一次文献として自然な選択である。Levyの『Contemporary Urban Planning』は、概念項目が間接的にしか触れない都市計画の実務を扱っている。

本書の使い方

本書は、都市地理学、都市研究、都市計画を学ぶ学部2・3年生と修士課程の学生に向いている。1年生は概説書を手にしてから使うとよい。専門的な予備知識は必要ないが、人文地理学の主要な伝統についてある程度知っていると役に立つ。

実践的な使い方:

  • まず序論を読む。 概念がなぜ選ばれたのかが説明されており、各項目が参照する分野の歴史が示されている。
  • その後は順番ではなく必要に応じて読む。 項目を授業の話題に対応させる。都市構造と世界経済の講義には「中心性」と「グローバル都市」を、社会地理学には「セグリゲーション」と「コミュニティ」を、都市文化には「公共空間」と「消費」を合わせる。
  • 付属の仕組みを使う。 項目を読む前に要点に目を通し、読んだ後には、知っている都市の例を使ってそれぞれを自分の言葉で言い直してみる。レポートの資料を選ぶには文献案内を使う。
  • レポートやセミナーでは、 第II部と第III部が、インフラストラクチャー、身体、監視など、標準的な話題に取り組むためのあまりなじみのない切り口を与えてくれる。

本書が意図していない体系的な扱いについては、概説書と組み合わせるとよい。