01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Robbins, P. (2019). Political Ecology: A Critical Introduction (3rd ed.). Wiley-Blackwell.
章の要約
第3版は、序文、序論、13の章からなり、参考文献に入る前の本文は約245ページである。構成は目次から読み取りやすい。第1–4章は政治生態学を定義し、その背景と道具立てを示す。第5–7章は三つの領域における課題を扱い、第8–12章は研究を組織する五つの中心的「テーゼ」を提示し、第13章は将来を展望する。出版社によれば、この版は前版より焦点が絞られ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジアでの研究を取り入れ、気候変動と人口増加の終わりを政治生態学の枠組みのなかで位置づけている。
第1章:政治的エコロジーと非政治的エコロジー
冒頭の章は、この分野を、それが批判する立場との対比で提示する。ケニアとタンザニアの国境地帯の野生動物から始め、土地保有法、商品価格、保全のための資金が、一見まったく自然な系をどう形づくっているかを示す。続いて、二つの「非政治的」な説明、すなわちエコスカーシティ(マルサスから『成長の限界』に至る系譜)と、近代化または市場楽観論を批判し、どちらも暗黙のうちに政治的だと論じる。表には複数の著者による政治生態学の定義がまとめられている。章はさらに共通の前提(環境変化の費用と便益は不平等に配分される)と、地域の意思決定からグローバルな経済までの規模を結びつける説明の様式を述べ、それぞれに一章が充てられた五つのテーゼの紹介で終わる。
第2–4章:深い根をもつ木;批判的な道具立て;政治生態学の登場
この三つの章(おおよそ22–98ページ)が土台をなす。この分野の知的背景、使われる批判的概念、そして認知可能な研究群としての登場である。第1章は、第4章を参照して、この分野の二面性を述べている。誤った環境変化の説明を解体する「ハチェット(手斧)」と、代替案を育てる「シード(種)」である。
第5–7章:生態学における課題;社会的構築における課題;説明における課題
三つの章が、生態学、自然の社会的構築、説明という三つの領域でこの分野が直面する困難を取り上げる。第1章は関連する問題を指摘している。五つのテーゼは異なるものを説明しようとしており、そのことが分野内の混乱の一因になってきたというのである。
第8–9章:劣化と周縁化;保全と統制
最初の二つのテーゼである。劣化と周縁化のテーゼは、しばしば周縁的な人びとのせいにされる環境の悪化が、国家の開発事業や広域市場への統合から生じ、それがさらに貧困を深めうると論じる。保全と統制のテーゼは、通常は善意のものと見なされる保全の取り組みが、地域の人びとから資源の管理権を奪い、時にはそのために失敗しうると論じる。第1章は、第一のテーゼを1980年代、第二のテーゼを1990年代から2000年代に位置づけている。
第10–11章:環境紛争;環境的主体とアイデンティティ
第10章は、資源へのアクセスと排除をめぐる紛争を扱い、政治生態学はそれをジェンダー、階級、エスニシティをめぐるより広い闘争と結びつける。第11章は、環境管理の体制が新しい種類の人間と政治的アイデンティティを生み出すというテーゼを扱う。第1章は、サパティスタやチプコ運動などの運動を、この文献の一部として挙げている。
第12–13章:政治的な対象とアクター;未来の政治生態学?
第12章は最も新しいテーゼを扱う。人間以外の事物(序論は、糞、気候、細菌、芝草、ヤギなどを例に挙げる)が政治的闘争に参加するというものである。最終章は未来を展望する。第1章は進歩的な技術変化の議論についてこの章を参照するよう促しており、出版社は、この新版が気候変動と人口増加の終わりを政治生態学の言葉で位置づけていると述べている。
主要概念
第1–7章:分野の枠づけ
- 非政治的エコロジー:環境変化を、権力に目を向けることなく、人口圧力や市場・技術の失敗によって説明する立場。
- 不平等な費用と便益:環境変化は利益と損失を不均等に分配し、そのため社会的不平等を再編するという共通の前提。
- 入れ子状の規模:地域の土地利用から地方の政策、グローバルな市場まで、意思決定をたどる説明。
- ハチェットとシード:この分野は、支配的な説明を批判すると同時に、代替案を発展させる。
第8–13章:五つのテーゼ
- 劣化と周縁化:環境の悪化を政治経済によって説明する。
- 保全と統制:収奪の源としての保全。
- 環境紛争と排除:囲い込みと不平等なアクセスによって生み出される希少性と紛争。
- 環境的主体とアイデンティティ:管理の体制が新しいアイデンティティと政治を生み出す。
- 政治的な対象とアクター:政治的ネットワークの一部としての人間以外の主体。
批判的分析
長所
- 明快な組織原理。 それぞれ一章をもつ五つのテーゼが、多様な分野に学生がつかめる形を与え、冒頭の章は、各テーゼが何を説明しようとし、いつ登場したかを説明している。
- 平明で具体的な文章。 出版社は読みやすく率直な言葉づかいを強調しており、見本の章もそのとおりである。対比の例として、ケニアのサバンナ、インドとアメリカの一人当たり消費量の比較、2014年のコーヒー価格の暴落が用いられている。
- 分野の限界への率直さ。 著者は、この分野が急速に成長して包括的な概観が作れないこと、そして各テーゼが異なるものを説明していることを認めている。
- 学問分野と地域の広がり。 第1章は、人類学、林学、開発研究、環境社会学、環境史、地理学の寄与者を挙げており、新版はヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジアの研究を加えている。
短所
- 明示された規範的立場。 本書は、政治生態学を、強制的でなく、より持続可能な代替案への関与をもつものとして描く。そのため記述的であると同時に批判的である。批判が主要な営みであることを覚悟しておく必要がある。
- 各テーゼの章が短いこと。 五つのテーゼの章はそれぞれおよそ13–22ページで、方向づけには十分だが、個々の事例の深さには限りがある。
- 方法論の本ではないこと。 目次には研究方法や技法の章がなく、野外調査を計画する学生には別の方法論の本が必要である。
コースにおける位置づけ
このコースの読書リストのなかで、本書は環境をめぐる批判的な社会科学の本である。マーシュとグロッサの『Environmental Geography』とマスリンの『Climate Change: A Very Short Introduction』は、環境システムと気候変動の科学を説明する。ロビンズは、それらの問題がどのように政治化されるかを説明するものであり、そのどちらかを読んだあとに読むのが適している。
マイク・ヒュームの『Why We Disagree About Climate Change』が最も近い相手である。気候変動は、科学、経済、信仰、政治を通じて異なる意味をもつ観念だと論じており、ロビンズの紛争の章と、環境的主体がいかに作られるかを扱う章を補う。ヒュームを第10–11章と並べて読めば、この分野の考え方の実例になる。
本書の使い方
本書は、人文地理学または環境と社会の入門科目を履修した学部生を対象とし、出版社は研究者にも薦めている。技術的な予備知識は要らない。
実践的な進め方は次のとおり。
- 第1章を丁寧に読む。 この分野の定義、退けられる二つの非政治的な説明、本書の残りの見取り図が含まれる。
- 第2–4章は斜め読みでよい。 知的背景や道具立てを知りたければ読み、分野自身の方法論的論争が必要になったら第5–7章を取る。
- 中核の章: 授業に応じて第8–12章から選ぶ。第8、9章は最も早く確立したテーゼで、第12章は最も新しい。
- 第13章で締めくくる。 現在の方向を知るために。
各テーゼの章を、その参考文献から一つの事例研究と組み合わせ、特定の環境紛争についての論文を読むときには、五つのテーゼをチェックリストとして使うとよい。
