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Introducing Physical Geography(自然地理学入門) cover

地理学

地理学

Introducing Physical Geography(自然地理学入門)

Alan H. Strahler

英語原題: Introducing Physical Geography

地球の自然システムと地形を形づくる過程を概観する入門書です。天候と気候、生態系、土壌、プレート運動、河川、海岸、氷河に加え、地図やリモートセンシングなどの地理的手法を扱います。図を交えた説明が多く、自然地理学を始める学生に読みやすい構成です。

前提知識: 特別な前提知識は不要で、高校レベルの理科で十分です。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
physical geographyclimategeomorphologybiogeography教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Strahler, A. H. (2013). Introducing Physical Geography (6th ed.). Wiley.

章の要約

第6版は672ページで、序章、番号付きの17章、三つの付録、用語集、索引からなる。ほとんどの章は、現在の環境問題を取り上げる「Eye on Global Change(地球規模の変化に目を向ける)」で始まり、いくつかの章には「Focus on Remote Sensing(リモートセンシングに注目)」の節がある。各章は、次の章へつなぐ「A Look Ahead(この先の展望)」で終わる。構成はこの分野としては標準的な順序で、道具と地球・太陽の幾何学から始まり、エネルギーと大気、気候、生物界と土壌を経て、最後に固体地球とその地形へ進む。

序章:Physical Geography and the Tools Geographers Use(自然地理学と地理学者の道具)

地理学と自然地理学、圏・システム・循環という考え方、環境と地球規模の変化の関係を紹介する。章の約半分は道具箱にあてられ、地図と地図学、全地球測位システム(GPS)、地理情報システム(GIS)、リモートセンシング、地球の可視化ツールを扱う。

第1章:The Earth as a Rotating Planet(自転する惑星としての地球)

地球の形と自転、地理座標系、地図投影、世界の時刻、そして季節を生み出す地球の公転を扱う。

第2–3章:The Earth's Global Energy Balance(地球のエネルギー収支);Air Temperature(気温)

第2章は電磁放射、地球上の日射、大気の組成、エネルギーの移動、地球のエネルギーシステム、緯度別の正味放射を扱い、地球規模の変化の話題としてオゾン層を取り上げる。第3章は地表温度と気温、大気の温度構造、日変化と年変化、世界の気温分布、気温の記録と地球温暖化に進み、増え続ける二酸化炭素の話題で始まる。

第4–6章:Atmospheric Moisture and Precipitation(大気中の水分と降水);Winds and Global Circulation(風と大気大循環);Weather Systems(気象システム)

第4章は環境中の水、湿度、断熱過程、雲と霧、降水の種類、雷雨、竜巻、大気質を扱い、酸性沈着の話題から始まる。第5章は気圧、風、低気圧と高気圧、地球規模の風と気圧のパターン、上空の風、海洋循環を扱い、エルニーニョを取り上げる。第6章は気団と前線、中緯度と熱帯の気象システム、エネルギーと水分の極向き輸送を扱う。

第7章:Global Climates and Climate Change(世界の気候と気候変動)

気候を決める要因と気候区分を説明し、続いて低緯度・中緯度・高緯度の気候(グループI〜III)を順に見て、気候変動の節に至る。冒頭の事例はアフリカのサヘルの干ばつで、特別付録では本書独自のグループ分けと並べてケッペンの気候区分を示す。

第8–10章:Biogeographic Processes(生物地理学的過程);Global Biogeography(地球規模の生物地理);Global Soils(世界の土壌)

第8章は生態系におけるエネルギーと物質の流れ、生態的生物地理学、遷移、歴史的生物地理学、生物多様性を扱い、炭素循環への人間の影響の話題で始まる。第9章は自然植生とバイオーム(森林、サバンナと草原、砂漠とツンドラ)、気候と高度による変化を概観する。第10章は土壌の性質、化学、水分、発達、そしてその世界的な分布を扱い、地球規模の変化と農業の話題から始まる。

第11–12章:Earth Materials and Plate Tectonics(地球の物質とプレートテクトニクス);Tectonic and Volcanic Landforms(地殻変動と火山の地形)

第11章は地球の構造、地球の物質と岩石サイクル、地球規模の地形、プレートテクトニクスを扱う。第12章は地殻変動による地形、地震、火山活動を扱い、2011年の東北地方太平洋沖地震を冒頭の事例とする。

第13–14章:Weathering and Mass Wasting(風化とマスウェイスティング);Freshwater of the Continents(大陸の淡水)

第13章は風化、斜面と斜面プロセス、マスウェイスティングを扱い、マディソン地すべりの事例で始まる。第14章は水循環を通して淡水を追い、地下水とその管理、地表水と流量、洪水、湖、資源としての淡水を扱い、アラル海の話題から始まる。

第15–17章:Landforms Made by Running Water(流水による地形);Landforms Made by Waves and Wind(波と風による地形);Glacial and Periglacial Landforms(氷河地形と周氷河地形)

地形の章で本書は締めくくられる。流水による侵食・運搬・堆積、河川の平衡化、乾燥気候下の河川作用、波と潮汐、海岸地形、風の作用と風成地形、そして氷河、氷河地形、周氷河作用、地球の気候と氷河作用の関係である。最終章の冒頭の事例は、氷床、海氷、地球温暖化である。

主要概念

序章と第1–3章:道具、地球と太陽の関係、エネルギー

  • 圏・システム・循環:序章が自然環境を整理するために使う枠組み。
  • 地理学の道具:地図、GPS、GIS、リモートセンシング。早い段階で導入され、「Focus on Remote Sensing」の節で繰り返し取り上げられる。
  • 地球のエネルギー収支:入射する太陽放射と出ていく放射の収支と、正味放射が緯度によってどう変わるか。

第4–7章:大気と気候

  • 断熱過程:上昇・下降する空気の温度変化。雲と降水の形成の基礎となる。
  • 大気大循環:エネルギーを極方向へ運ぶ、気圧帯、風、海流のパターン。
  • 気候区分:緯度と、気温・降水のパターンによる気候のグループ分け。ケッペンの区分は付録として示される。

第8–10章:生物圏と土壌

  • 生態系のエネルギーと物質の流れ:エネルギーと栄養分が生物システムの中をどう移動するか。
  • バイオーム:主要な植生の型と、それが気候や高度とどう関係するか。
  • 土壌の発達:土壌がどのように形成され、その化学的性質と水分が地球上でどう異なるか。

第11–17章:固体地球と地形

  • プレートテクトニクス:大規模な起伏、地震、火山を生み出すリソスフェアのプレートの運動。
  • マスウェイスティング:風化した物質が重力によって斜面を移動すること。
  • 水循環:大気、地表、地下水を通じた水の移動。
  • 河川・海岸・風成・氷河地形:流水、波、風、氷によって形づくられた景観。

批判的分析

長所

  • 理系ではない読者に向けて書かれている。 Wileyは本書を、理系ではない読者が地球の過程を視覚的にとらえて理解し、自然地理学の基本的な用語を身につけるのを助ける本と説明し、明快な文章と特色ある写真・図版を強調している。「Visualization(可視化)」というテーマと「Putting You in the Picture(あなたをその場面に)」という特集は、そうした読者を想定したものである。
  • 地球規模の変化が組み込まれている。 ほとんどの章が「Eye on Global Change」の事例で始まる。オゾン層や増加する二酸化炭素から、エルニーニョ、サヘルの干ばつ、アラル海、極域の氷まで、環境の変化は最終章にまとめられるのではなく、すべての話題の一部になっている。第6版では気候変動のデータが更新され、この扱いが強化された。
  • 道具を早い段階で教える。 序章では地理学者の道具箱(地図学、GPS、GIS、リモートセンシング)に一つの節がまるごと割かれ、リモートセンシングは多くの章で再登場する。これは、植生のリモートセンシングを研究してきた著者の背景を反映している。
  • 幅広い扱い。 目次のページ番号によれば、エネルギー・大気・気候に約200ページ、生物地理と土壌に約110ページ、固体地球と地形に約215ページが割かれており、重点の異なるさまざまな授業に対応できる。用語集、気候の定義・換算係数・地形図記号の付録、教員用と学生用のコンパニオンサイトも用意されている。

短所

  • 版が古い。 第6版は2013年刊行で、気候データや事例もその時点のものである。最新の地球規模の変化については、現在の資料で補う必要がある。
  • 定量的というより記述的。 出版社は理系ではない読者向けの本と位置づけている。放射や大気循環の物理を学びたい学生には、より定量的な教科書が必要になる。
  • 1学期には長い。 672ページ、18章あるため、1学期の授業では、特に地形の章の中から選ぶ必要がある。

コースにおける位置づけ

Strahlerは、このコースにおける標準的な分量の概説教科書である。Jeremy Patrichの『Physical Geography』は無料のオープン教科書で、より短く、地質と地形に重点があり、生物圏のユニットがない。Strahlerは同じ範囲を扱ったうえで、気候区、生物地理、バイオーム、土壌に独立した章を加えているので、費用や分量が問題になる場合には両者を組み合わせるとよい。ChristophersonとBirkelandの『Geosystems』は、大気圏、水圏、岩石圏、生物圏を軸に構成された同程度のシステム的な概説書で、授業では通常どちらか一方を選ぶ。

Smithson、Addison、Atkinsonの『Fundamentals of the Physical Environment』は、気候、地形、土壌、生態系の背後にある過程をより深く説明しており、2年次に続けて読むのに自然な一冊である。Hartmannの『Global Physical Climatology』は、第2–6章が定性的に記述するエネルギー収支と大気循環を定量的に扱い、気候科学に進む学生に向いている。

本書の使い方

本書は、理系の背景がない学生も含めた1年生に向いており、高校までの理科で十分である。1学期の授業の実践的な読み方:

  • 中核: 序章と第1–7章(道具、地球と太陽の関係、エネルギー、大気、気象、気候)、続いてプレートテクトニクスの第11章と、風化、淡水、流水を扱う第13–15章。
  • 授業の重点に応じて: 生物地理と土壌を含む授業では第8–10章を、地形を重視する授業では第12、16、17章を読む。
  • 特集を能動的に使う。 各「Eye on Global Change」の事例を独立した短い読み物として読み、2013年以降に何が起きたかを調べる。「A Look Ahead」は次の章への橋渡しとして使う。
  • 道具を使って練習する。 序章の道具箱の節と「Focus on Remote Sensing」の節を、無料のオンライン地図や衛星画像と組み合わせ、地形図を読むときは付録3を使う。

読みながら用語集を使い、授業でケッペンの区分を用いる場合は第7章の後に特別付録を読むとよい。