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Fundamentals of the Physical Environment(自然環境の基礎) cover

地理学

地理学

Fundamentals of the Physical Environment(自然環境の基礎)

Peter Smithson; Ken Addison; Ken Atkinson

英語原題: Fundamentals of the Physical Environment

大気圏、岩石圏、水圏、生物圏を一つの地球システムの相互作用する部分として扱う、包括的な自然地理学の教科書。気候、地形、土壌、生態系の背後にある物理的プロセスを、1年次向けの概説書より深く説明し、それらを環境変動や人間活動の影響と結びつけて論じる。

前提知識: 自然地理学の入門科目と、高校程度の物理・化学・数学の基礎知識。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
physical geographyearth systemsclimatologygeomorphologybiogeography教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Smithson, P., Addison, K., & Atkinson, K. (2008). Fundamentals of the Physical Environment (4th ed.). Routledge.

章の要約

第4版は792ページ、28章で、5つの部に分かれている。出版社の説明によれば、システムのアプローチをとり、地表で働く諸要因がどのように相互作用するか、また景観をどのようにそれらの解読に使えるかを示す。旧版と比べて、自然地理学の歴史と研究に関する節、環境復元に関する章、極地と高山の環境を合わせた章、現在と将来の環境変化を扱う最終章が加わった。

第1部 第1–2章:自然環境:科学的概念と方法/エネルギーと地球

冒頭の部は、全体で用いる科学的概念と方法を示し、地球のシステム間をつなぐものとしてエネルギーを導入する。

第2部 第3–9章:大気

大気に関する7章である。大気中の熱とエネルギー/大気中の水分/降水と蒸発散/動く大気/気象をつくるシステム/微気候と局地気候/気候変動。出版社によれば、気候変動の章は今回の版で更新・強化された。

第3部 第10–17章:ジオスフィア(地圏)

8章からなる。地球の地質構造とプロセス/世界の海洋/岩石の形成と変形/削剥・風化・マスムーブメント/河川系:流域と河川/雪氷圏システム:氷河、氷、永久凍土/風成系/世界の海岸。この部は、地球内部と海洋から、地形をつくる地表のプロセスへと進む。今回の版では雪氷圏の章が改訂され、風の作用の扱いが強化された。

第4部 第18–22章:バイオスフィア(生物圏)

5章からなる。環境の中の土壌/土壌の肥沃度と持続可能性/生物地理学の原理/地球システムと炭素・栄養塩の循環/生態系における生物多様性。地球システムと炭素・栄養塩の循環に関する新しい内容は、この版の変更点として挙げられている。

第5部 第23–28章:環境

6章で、それまでの部の内容を個別の環境に適用する。環境復元:原理と実際/極地と高山の環境/地中海性環境/熱帯砂漠と半乾燥環境/湿潤熱帯環境/現在と将来の環境変化。出版社によれば、この最終部は自然のプロセスを人間の影響とあわせて位置づける。

主要概念

第1部:基礎

  • システムのアプローチ:環境を、エネルギーと物質を交換し合う相互作用する要素として扱うこと。
  • エネルギーと地球:大気、地表、生物のプロセスに共通する通貨としてのエネルギーの流れ。

第2部:大気

  • 蒸発散:蒸発と植物の蒸散による水分の損失の合計。
  • 気象をつくるシステム:日々の天気を生み出す循環の特徴。
  • 微気候と局地気候:地面近くの小さなスケールの気候。
  • 気候変動:第9章の主題で、この版で更新された。

第3部:ジオスフィア

  • 削剥・風化・マスムーブメント:地表を低くし、形を変えるプロセス。
  • 河川・雪氷圏・風成・海岸の各システム:それぞれ1章が充てられた、地形変化の4つの営力。

第4–5部:バイオスフィアと環境

  • 生物地理学と生物多様性:生物がどう分布し、生態系がどう多様性を維持するか。
  • 炭素と栄養塩の循環:物質の流れを地球システムとして見る見方。
  • 環境復元:過去の状態を推定する方法。

批判的分析

長所

  • 1冊で幅広い。 大気、ジオスフィア、バイオスフィア、個別の環境がすべて1冊に収まっており、出版社はこれを複数の本を使う代わりになるものとして紹介している。
  • 明快な構成。 5部構成は、概念から3つの圏、そして特定の環境への応用へと進む。出版社が引用する評者は、明快な文体と「非常に自然な構成」を称賛し、Choice誌の書評(2009年5月)は第4版を推薦している。
  • 図版と囲み記事。 出版社は、450点を超えるカラー図、150点の写真、プロセス、システム、応用、新展開、人間の影響を取り上げるテーマ別の囲み記事を挙げている。
  • 学習支援。 付属のウェブサイトには、討論・小論文の設問、章の要約、詳しい事例研究が用意されている。

短所

  • 分量。 792ページあり、1学期で消化できる量をはるかに超える。授業では取捨選択が必要になる。
  • 概説であって専門書ではない。 気候、地形、土壌、生態系にわたる28章では、各テーマに割かれるのは1~2章であり、計量的な気候学やプロセス地形学など特定分野の深さが必要な読者は、いずれ物足りなくなる。

コースにおける位置づけ

本書は、例外的に幅の広い1冊本の自然地理学テキストである。『Introducing Physical Geography』と『Physical Geography』は最初の授業や軽い読み物に向く入門的概説であり、『Geosystems』は同じ4つの圏を軸にした総合的な教科書である。本書は、入門を終えてプロセスについてもっと深く知りたい学生や、気候、地形、土壌、生態系にわたる1冊の参考書を求める学生に向いている。気候の定量的な扱いについては、『Global Physical Climatology』が第3–9章よりはるかに先まで進む。

本書の使い方

自然地理学や環境科学を学ぶ1年次以上の学生を対象とし、特定の予備知識は示されていない。

まず第1部を読む。システムという考え方が、以降の枠組みになるからである。その後は授業が必要とする順に各部を読めばよい。第2、3、4部はほぼ独立しているが、土壌と生物地理学は気候と地形のプロセスを前提にする。第23–28章は、応用する対象のプロセスの章を読んだあとに読むのがよい。付属ウェブサイトの討論・小論文の設問で自己点検し、詳しい事例研究で復習する。気候変動と環境変化の章(第9章と第28章)は、最新のデータ源とあわせて読むこと。初学者は、まず5つの部の冒頭を一通り眺めて全体のつながりをつかみ、より専門的な章(たとえば第12章や第23章)は授業で必要になるまで後回しにしてよい。