01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Matthews, J. A., & Herbert, D. T. (2008). Geography: A Very Short Introduction. Oxford University Press. Very Short Introductions.
章の要約
本書は全6章、本文約157ページで、そのあとに参考文献、読書案内、索引が続く。著者はスウォンジーの二人の地理学者、自然地理学者のジョン・A・マシューズと人文地理学者のデイヴィッド・T・ハーバートであり、その組み合わせが構成に表れている。自然地理学と人文地理学にそれぞれ一章を充て、その前後に学問全体を扱う章を置いているのである。出版社は本書を、地理学とは何か、地理学者はどのように研究するのか、地理学はなぜ重要か、この学問はどこへ向かうのか、という四つの問いに答える本として紹介する。自然地理学者と人文地理学者はしばしば意見が合わないが、地理学全体としては科学と人文学の橋渡しの役割を果たしうると強調し、結論を地理学の未来に向けたマニフェストだと述べている。
第1章:地理学――世界は私たちの舞台
冒頭の章は地理学とは何かを問う。しばしば政治的あるいは宗教的な動機に支えられてきたこの学問の長い歴史を、古代の地図作成から16世紀以降の大学における学問分野としての確立までたどる。空間の分析、場所の分析、環境の研究という三つの中核概念を示し、学問の発展における五つの主要な段階を概観し、新しい技術が登場しても古典的な地理学の方法にはなお居場所があると論じる。
第2章:自然の次元――私たちの自然環境
自然地理学の章であり、出版社はこの分野を自然環境と景観を扱うものとして説明している。30ページ近くあり、第5章と並んで、人文地理学の章に次ぐ長さである。本書に繰り返し現れる語彙、すなわち地形学、土壌、植生、第四紀と完新世、自然災害、環境変化などは、著者たちが取り上げる自然地理のテーマの幅を示している。
第3章:人間の次元――場所の中の人々
最も長いこの章は、人文地理学をパラダイムの変遷を通して概観する。初期の環境決定論への信奉、空間科学とその都市地理学のモデル、行動や社会的帰結を説明する構造主義、マルクス主義、ポストモダニズムの理論、そして文化を社会的に構築される過程として捉え、ジェンダーやエスニシティの問題へと分野を導いた文化論的転回である。最後に、人文地理学では量的研究の座りが悪いものの、それは質的研究の出発点になりうると論じる。
第4章:全体としての地理学――共通の基盤
この章は学問の二つの半分を結びつけるものを探る。特定の地域で政策に情報を与え問題を解決することを目指す地域地理学、物質的な過程から文化的な過程へと関心を移してきた歴史地理学、気候変動を含め、環境と人間の相互関係を研究する統合地理学、そして土地の形態から諸過程の相互作用へと研究を深めてきた景観地理学を論じる。
第5章:地理学者はどのように研究するか
実践を扱うこの章は、出版社が挙げる四つの問いの二つ目、すなわち地理学者がどのように研究を進めるのかに答える。フィールドワーク、地理情報システム、空間分析、計量革命、メンタルマップ、「グラフィカシー」(図的表現を読み書きする力)など、本書で目立つ用語が、そこで扱われる方法と技能を示している。
第6章:地理学の現在と未来
最終章は応用と学問の将来に向かう。例として、環境犯罪学と犯罪の地理、文学や映画に描かれた地理(慎重に扱う必要がある)、景観の発達過程を明らかにする氷河前縁地の研究、そして気候変動の議論における自然地理学者の役割が挙げられる。学問の長所と短所を比較衡量し、今後も意義を保つためにはより良い組織化が不可欠だと論じる。
主要概念
第1章:地理学とは何か
- 空間、場所、環境:本書が地理学を定義するものとして挙げる三つの中核概念。
- 地理学の諸段階:学問が発展してきた五つの主要な段階。
- 古典的な地理学の方法:世界を記述し地図に表す伝統的な方法。著者たちは、それになお居場所があると論じる。
第2〜3章:自然地理学と人文地理学
- 自然地理学:自然環境と景観の研究。
- 環境決定論:自然環境が人間社会を形づくるとする初期の見方。
- 空間科学:都市構造のような空間的パターンを説明するための、モデルと量的分析の利用。
- 文化論的転回:文化を社会的に構築される過程として、またその意味へと向かった人文地理学の転換。
第4〜6章:共通の基盤、方法、応用
- 地域地理学と歴史地理学:地域の個性と時間を通じた変化を研究する伝統。
- 統合地理学:環境と人間の相互関係の研究。
- 景観地理学:景観の研究。その形態から諸過程の相互作用までを扱う。
- 環境犯罪学:犯罪の空間的な集中を検討する応用分野。
批判的分析
長所
- 自然地理学と人文地理学をあわせて扱う。 自然地理学者と人文地理学者が共同で書いた本書は、それぞれの分野に一章を充てたうえで、両者の共通の基盤に一章を割いている。一方の側だけでなく学問全体の姿を必要とする読者に適している。
- 簡潔な思想史。 第1章と第3章は、環境決定論や空間科学からマルクス主義、ポストモダン、文化的アプローチに至る主要な段階とパラダイム転換を描き、コースのより長い歴史書のための枠組みを初学者に与える。
- 研究の具体例。 最終章は、環境犯罪学、文学と映画、氷河前縁地といった具体的な分野を通じて地理学の応用を示しており、抽象論にとどまらない。
- 学問についての明確な主張。 本書は記述するだけでなく、地理学を科学と人文学の架け橋として位置づける議論を展開し、出版社の言葉によれば、地理学の未来へのマニフェストで締めくくられる。
短所
- 古さ。 2008年に刊行され、その後改訂されていないため、当時の学問と論争の姿を描いている。その後の年月における学問とその方法の展開は扱われていない。
- 深さの不均一。 6つの章で約150ページのうちに学問全体を扱うため、各下位分野にはわずかなページしか割かれない。人文地理学の章が最も長く、特定の分野に関心のある読者には専門的な文献が必要になる。
- 選択的な応用例。 第6章は少数の分野(犯罪、文学と映画、氷河前縁地、気候変動)を通じて地理学の現在を描いており、現在の研究の概観というより標本を示すものである。
コースにおける位置づけ
地理学思想と方法のリストの中で、本書は学問全体についての最も短い概観であり、最初に読むのに自然な一冊である。自然地理学と人文地理学の両方を扱っており、たとえばJohnstonとSidawayの歴史書が人文地理学に限られているのとは対照的である。地理学の歴史と理論について次に進むべき一冊は、主要な伝統と思想家をより深く説明するCresswellの Geographic Thought: A Critical Introduction である。JohnstonとSidawayの Geography and Geographers は1945年以降の英米人文地理学についての詳細な批判的歴史であり、Livingstoneの The Geographical Tradition は探検の時代以降の地理学の歴史を、争われた一連のエピソードとして描く。どちらも、第1章と第3章における段階とパラダイムの簡潔な素描を大きく広げてくれる。
方法については、GomezとJonesの Research Methods in Geography: A Critical Introduction が人文地理学と自然地理学にまたがって地理学思想と研究方法をあわせて扱い、Clifford、Cope、Gillespieの Key Methods in Geography は学生の研究プロジェクトのための具体的な技法のハンドブックである。どちらも本書の第5章のあとに読むことができる。
本書の使い方
高校程度の地理で十分であり、統計学や地図作成の経験は前提とされていない。地理学の1年生、他分野から地理学の科目を履修する学生、地理学を専攻するかどうか考えている読者に適している。
読み方の提案:
- まず第1章を読む。 空間、場所、環境という中核概念は、本書の残りの部分とコースの多くで用いられる。
- 第2章と第3章は一組として続けて読む。 人文地理学の背景をもつ学生は第2章を、その逆の学生は第3章を飛ばさないこと。両者の対比こそが本書の要点である。
- 第4章で共通の基盤を読む。地域地理学、歴史地理学、統合地理学、景観地理学が紹介され、それぞれがレポートのテーマになりうる。
- 第5〜6章は、最初の方法論の授業やプロジェクトの前に、地理学者がどのように研究し、応用研究がどのようなものかを知る手引きとして読む。
本書は数回に分けて読み通せる。参考文献と読書案内を使って関心のあるテーマを掘り下げ、Cresswellのようなより新しい文献と並行して読むことで、現在の論争についての記述を補うとよい。
