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Geographic Thought: A Critical Introduction(地理学思想:批判的入門) cover

地理学

地理学

Geographic Thought: A Critical Introduction(地理学思想:批判的入門)

Tim Cresswell

英語原題: Geographic Thought: A Critical Introduction

古代から現在の論争まで、地理学者が世界をどのように考えてきたかをたどる、地理学の歴史と理論への入門書である。主要な伝統と思想家を明快に説明し、それぞれが何を見えるようにし何を見落としたかを考察するとともに、研究の事例を用いて理論が地理学の実践をどう形づくるかを示している。

前提知識: 哲学や社会理論を学んだ経験は不要で、人文地理学か自然地理学の入門授業を履修していると役立つ。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Cresswell, T. (2024). Geographic Thought: A Critical Introduction (2nd ed.). Wiley-Blackwell.

章の要約

第2版は15章からなり、用語集と索引を含めて約320ページである。Wiley は、地理学の主要な思想家と理論の展開を、古代の地理学から現代の理論まで、わかりやすく論じた本と説明しており、ダーウィンとマルクスの影響、アナーキスト地理学、フェミニズムにも目配りしているという。今版の新しい3章は、自然地理学と理論、ポストコロニアリズムと脱植民地性、そしてブラック・ジオグラフィーである。第1章は本書の方針を述べている。思想の流れを、現れた順序におおむね沿って紹介するが、それらを互いに取って代わるパラダイムとは扱わない。いずれも今も生きている伝統だからである。また、網羅的であるとは主張しない。

第1章:序論

この章は、理論が地理学研究のあらゆる段階で働いていると論じる。何を研究するか、何を含めるか、どのように情報を集めるか、結果をどう示すかという選択においてである。理論とは何かを説明し、難解な文章と専門用語を論じ、理論を地理学の歴史に結びつける。また、今版が初版より幅広い声を取り入れようとしていることも説明している。

第2〜3章:初期の地理学;近代地理学の登場

第2章は古典期と中世の地理学を扱う。索引は、ヘロドトス、ストラボン、プトレマイオスをここに挙げ、イブン・バットゥータやイブン・ハルドゥーンのようなアラブの地理学者も挙げている。第3章は、カント、フンボルト、リッター、ダーウィン、環境決定論、初期の地政学と地形学、そしてアナーキストの地理学者ルクリュとクロポトキンを通して、地理学が近代に入っていく過程をたどる。

第4〜5章:地域を考える;空間科学と計量革命

第4章は地域地理学を扱う。ヴィダルのフランスの伝統、ハートショーンの仕事、地域という考え方への批判、そして「新しい地域地理学」である。第5章は、実証主義に立つ空間科学を、中心地理論と計量的方法、そしてその後の展開とともに示す。

第6〜8章:人間主義の地理学;マルクス主義の地理学;フェミニストの地理学

第6章は、現象学と、場所に関する人間主義的な研究を扱い、トゥアン、レルフ、シーモンらが含まれる。第7章は、マルクス主義の考え方(第1章によれば、史的唯物論と労働価値説)とその地理学を、不均等発展を含めて述べる。第8章は、フェミニスト地理学、ジェンダー、そして知識に対するその批判を紹介する。

第9〜10章:ポストモダニズムとその先;ポスト構造主義の地理学へ

第9章は、ポストモダンの思想と大きな物語への挑戦を、ポストモダン都市論や地図における表象を含めて取り上げる。第10章は、構造主義から構造化理論と時間地理学を経て、ブルデューとフーコーへと進む。

第11〜12章:関係論的地理学;人間を超えた地理学

第11章は、空間と場所についての関係論的な考え方、アッサンブラージュ理論、スケール、非表象理論を展開する。第12章は地理学を人間の外へ広げる。ポスト・ヒューマニズム、動物地理学、アクターネットワーク理論、ハイブリッドな地理学である。

第13章:物理を超えた地理学

自然地理学における理論を扱う章で、新設された章の一つであり、批判的自然地理学や人新世をめぐる議論を含む。

第14〜15章:ポストコロニアル、脱植民地、反植民地の地理学;ブラック・ジオグラフィー

新設された2つの章。前者はポストコロニアル理論、脱植民地思想、先住民の視点を扱い、後者はブラックの地理学者たちの仕事とブラック・ジオグラフィーを紹介する。

主要概念

第1〜5章:基礎

  • レンズとしての理論:経験や事実を整理する体系的な方法で、研究のあらゆる段階を形づくる。
  • 環境決定論:自然環境が人間の生活と文化を決定するという考え方で、今も擁護する人がいる。
  • 地域と空間科学:地理学的研究の単位としての地域と、それに代わる実証主義的・計量的な道。

第6〜10章:人文地理学の伝統

  • 場所と現象学:人々がいかに世界に住まうかに対する人間主義地理学の関心。
  • 史的唯物論と不均等発展:社会変化と空間に対するマルクス主義の見方。
  • ジェンダーと立場:客観的とされる知識へのフェミニズムの批判。
  • ディスコースと構造化:構造と行為がどう作用し合うかについての、ポスト構造主義と社会理論の説明。

第11〜15章:近年の方向

  • 関係論的空間とアッサンブラージュ:つながりを通じて空間と場所を理解すること。
  • アクターネットワーク理論とポスト・ヒューマニズム:人間でない行為者を地理学に取り込む方法。
  • 批判的自然地理学:社会理論を物理的環境の研究に持ち込むこと。
  • 脱植民地性とブラック・ジオグラフィー:地理思想の植民地的な系譜に異議を唱える視点。

批判的分析

長所

  • 理論の具体的な擁護。 第1章は、テーマ、範囲、方法、提示の選択のなかで、理論がすでに働いていることを示しており、理論を実践から遠いものと考える読者に向いている。
  • 難しさへの率直な向き合い。 序論は、わかりにくい文章や専門用語を論じ、まずい書き方と、もともと難しいものとを、例を挙げて区別している。
  • 幅広さ。 古代の地理学から、ポストコロニアル、脱植民地、ブラックの地理学まで、自然地理学も理論の主題として含まれ、より幅広い文脈や研究者からの新しい例もある。
  • 学習の支援。 用語集、各章の参考文献に印が付けられた推奨文献、そして思想家や概念を探しやすい索引。

短所

  • 意図的に選択的である。 著者は、本書が自らの関心を反映しており、分野全体を網羅できず、多くの研究を省いていると述べている。
  • 扱いが短い。 第2〜15章は各18〜25ページほどで、各伝統は概観にとどまる。特定の立場を掘り下げる学生は、推奨文献を追う必要がある。
  • 人文地理学が中心。 自然地理学は第13章の焦点で、第3章と第5章の一部にも現れるが、本書は人文地理学に重みがある。
  • 理論であって方法ではない。 主題は研究の背後にある考え方である。第1章は理論を方法に結びつけているが、本書は研究技法の手引きではなく、実際の研究設計には方法論の教科書が必要になる。

コースにおける位置づけ

Cresswell の Geographic Thought は、地理思想の授業の主教材である。Matthews と Herbert の Geography: A Very Short Introduction は、地理学者が場所、環境、社会、スケールをどう結びつけるかを概観した簡潔な本で、最初の1冊としてはより穏やかである。Johnston と Sidaway の Geography and Geographers は、1945年以降の英米の人文地理学の批判的な歴史で、地域記述からポスト構造主義までの立場の移り変わりをたどっており、その歴史をより詳しく知りたい読者の自然な次の一冊である。

Livingstone の The Geographical Tradition は、学問の歴史を、何が地理学とされるかが争われた一連の挿話として示し、歴史的な章(第2〜4章)に惹かれる読者に向く。方法については、Clifford、Cope、Gillespie の Key Methods in Geography と Gomez と Jones の Research Methods in Geography が研究のやり方を扱う。後者は地理思想も論じており、Cresswell の第1章と組み合わせて読める。

本書の使い方

本書は、地理思想や地理学の哲学の授業を受ける、学部生や大学院生のために書かれている。第1章が難しい思考を怖くないものにすることを目指しているため、哲学や社会理論の予備知識は想定されていないようだが、人文地理学の入門科目を履修しておくと役に立つ。

まず第1章を読む。理論がなぜ重要か、難しい文章にどう向き合うかが説明されている。その後は、章の順に読む(おおむね思想が現れた順序である)か、関心に応じて選ぶ。第4〜8章は20世紀の古典的な伝統、第9〜12章は後の転回、第13〜15章は最も新しい内容である。

各章で、中心的な問いと、その立場が何を見えるようにし何を見落としたかを書き留め、推奨文献を少なくとも1つたどって、原著者に触れるとよい。