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The Routledge Handbook of the Philosophy of Engineering(ラウトレッジ工学哲学ハンドブック) cover

工学

工学

The Routledge Handbook of the Philosophy of Engineering(ラウトレッジ工学哲学ハンドブック)

Diane P. Michelfelder; Neelke Doorn (editors)

英語原題: The Routledge Handbook of the Philosophy of Engineering

哲学者と技術者が集い、工学とは何か、技術者はどのように推論し設計するのか、その実践にはどのような価値と責任が伴うのかを検討する学術的な参考書。書き下ろしの短い章が現在の研究と論争を概観し、職業倫理の問題を、工学の知識と実践に関するより広い哲学的説明の中に位置づける。

前提知識: 工学倫理の入門科目。より理論的な章には、哲学や倫理理論の素養があると役立つ。

難易度レベル
上級
学術レベル
上級
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Michelfelder, D. P., & Doorn, N. (Eds.). (2022). The Routledge Handbook of the Philosophy of Engineering. Routledge.

章の要約

本書は約770〜790ページ(目録によってわずかに異なる)のレファレンス書で、編者による序論と、8部に分かれた55の章からなる。各章は異なる著者または執筆チームによるもので、出版社は、寄稿者が哲学と工学の双方にわたる確立した専門家と新しい書き手から成ると説明している。各部は、工学とは何かから出発し、技術者がどのように推論し何を作るのかを経て、価値、責任、そして工学がどう変わりうるかという問いへ進む。以下では章を部ごとにまとめ、正確な章題を示す。

序論(Introduction)

編者のDiane P. MichelfelderとNeelke Doornが書いており、本書の冒頭を成す。出版社は、工学は昔から人間の生活の一部であったが、体系的な哲学的探究の対象となったのは最近のことだと述べ、本書を最先端の概観であり、この分野の今後の議論の土台を築くものとして位置づけている。

第I部:Foundational Perspectives(基礎的視点)

6つの章:「What Is Engineering?」「A Brief History of Engineering」「Western Philosophical Approaches and Engineering」「Eastern Philosophical Approaches and Engineering」「What Is Engineering Science?」「Scientific Methodology in the Engineering Sciences」。主題を定義し、歴史的に、また西洋と東洋の哲学的伝統の中に位置づけ、工学科学が自然科学とどう違うのかを問う。

第II部:Engineering Reasoning(工学的推論)

技術者の思考を扱う8つの章:「Engineering Design and the Quest for Optimality」「Prescriptive Engineering Knowledge」「Engineering as Art and the Art of Engineering」「Creativity and Discovery in Engineering」「Uncertainty」「Scenarios」「Systems Engineering as Engineering Philosophy」「Assessing Provenance and Bias in Big Data」。認識論(技術者がどのような知識をもつか)、創造性、不確実性下の意思決定が混在していることがわかる。

第III部:Ontology(存在論)

技術者が扱う対象に関する6つの章:「Artifacts」「Engineering Objects」「Use Plans」「Function in Engineering」「Emergence in Engineering」「Towards an Ontology of Innovation: On the New, the Political-Economic Dimension and the Intrinsic Risks Involved in Innovation Processes」。人工物、機能、使用計画は技術哲学の中核概念である。

第IV部:Engineering Design Processes(工学設計のプロセス)

6つの章:「Engineering Design」「Values and Design」「Design Methods and Validation」「Human-Centred Design and its Inherent Ethical Qualities」「Sustainable Design」「Maintenance」。設計の実践と倫理を最も直接に結びつける部である。

第V部:Engineering Activities and Methods(工学の活動と方法)

工学の仕事の諸活動を扱う6つの章:「Measurement」「Models in Engineering and Design: Modeling Relations and Directions of Fit」「Scale Modeling」「Computer Simulations」「Experimentation」「On Verification and Validation in Engineering」。

第VI部:Values in Engineering(工学における価値)

7つの章:「Values in Risk and Safety Assessment」「Engineering and Sustainability: Control and Care in Unfoldings of Modernity」「The Role of Resilience in Engineering」「Trust in Engineering」「Aesthetics」「Health」「Philosophy of Security Engineering」。

第VII部:Responsibilities in Engineering Practice(工学実践における責任)

8つの章:「Ethical Considerations in Engineering」「Autonomy in Engineering」「Standards in Engineering」「Professional Codes of Ethics」「Responsibilities to the Public—Professional Engineering Societies」「Engineering as a Political Practice」「Global Engineering Ethics」「Engineering Practice and Engineering Policy: The Narrative Form of Engineering Policy Advice」。従来型の工学倫理の授業に最も近い部である。

第VIII部:Reimagining Engineering(工学の再構想)

8つの章:「Feminist Engineering and Gender」「Socially Responsible Engineering」「Engineering and Social Justice」「Engineering and Environmental Justice」「Beyond Traditional Engineering: Green, Humanitarian, Social Justice, and Omnium Approaches」「Engineering and Contemporary Continental Philosophy of Technology」「Engineering Practice from the Perspective of Methodical Constructivism and Culturalism」「Reimagining the Future of Engineering」。最後の章の著者リストは長く、編者の2人も含まれている。

主要概念

第I〜III部:基礎、推論、存在論

  • 工学科学:工学の目的で行われる科学研究が、自然科学とどのように、またどの程度異なるのかという問い。
  • 規範的(処方的)工学知識:物事がどうあるかを述べる記述的知識に対して、目標を達成するために何をすべきかについての知識。
  • 不確実性とシナリオ:結果を確信をもって予測できないときに、将来について推論する2つの方法。
  • 人工物、使用計画、機能:作られた物が何であり、何のためにあるのかを語るための概念。
  • 創発:部分だけではもたない全体の性質で、工学の文脈で論じられる。

第IV〜V部:設計、活動、方法

  • 価値と設計:設計上の選択が価値を体現するという考え方で、第IV部で取り上げられる。
  • 人間中心設計と持続可能な設計:それぞれ独自の倫理的コミットメントを伴う設計のアプローチ。
  • モデル、縮尺モデル、シミュレーション:技術者が対象を研究するために系を表現する方法。
  • 検証と妥当性確認:設計が正しく作られていること、そして目的を満たしていることを確かめること。

第VI〜VIII部:価値、責任、再構想

  • リスク、安全、レジリエンス:危害と、そこからの回復をめぐる価値。
  • 信頼:工学的システムとその背後にいる人々に頼るとはどういうことか。
  • 専門職倫理綱領と標準:責任が公式に定められる手段。
  • 社会正義と環境正義:工学が何のためにあり、誰が利益を得るのかに適用されるレンズ。

批判的分析

長所

  • 1冊で幅広く扱う。 8部55章が、基礎、推論、存在論、設計、方法、価値、責任、批判を網羅する。倫理に加えて、工学的知識、対象、方法の性質への持続的な関心がうかがえる。
  • 国際的・学際的な執筆陣。 出版社は、確立した専門家と新しい書き手の両方の寄稿を強調している。第I部には、西洋の哲学的アプローチの章と並んで、4人の著者のチームによる東洋の哲学的アプローチの章がある。
  • この種の初めての本として評価されている。 出版社が掲載する書評は、Deborah G. Johnson(バージニア大学)、Shannon Vallor(エディンバラ大学)、David E. Goldberg(イリノイ大学)によるものである。Johnsonは、この分野の領域を定義した初めての本だと述べ、Goldbergは、技術者とその方法と責任を哲学的に真剣に扱っていることを称賛している。
  • 哲学者だけでなく実務家にも有用。 出版社は、大学の内外で働き、自らの職業をより根本的に理解したい技術者も想定読者に含まれると述べている。

短所

  • 教科書ではなく参照書。 各章は異なる著者による独立した論考である。全体を貫く1つの議論はなく、事例や演習ではなく論考の形で編まれているため、工学倫理の教科書の代わりにはならない。
  • 倫理は本の一部にすぎない。 従来型の職業倫理は主に第VI部と第VII部にある。残りの多くは認識論、存在論、設計論に関わり、いくつかの章(たとえば使用計画、創発、ビッグデータの出所とバイアスに関するもの)は、職場のジレンマよりも哲学的議論への関心を前提としている。
  • 分量が多く、入口が一様でない。 約770ページなので、取捨選択が必須である。出版社は哲学者と技術者の双方に呼びかけているため、ある章は一方にはなじみ深く、他方には難しいことがある。

コースにおける位置づけ

このコースの一覧にある他の本は学生向けの教科書であり、本書は研究志向の補完書である。FleddermannのEngineering Ethicsは、ジレンマを分析する構造化された方法を備えた職業倫理の簡潔な入門であり、McGinnのThe Ethical Engineerは18の詳細な事例に基づく事例中心の入門である。HarrisらのEngineering Ethics: Concepts and Casesも事例中心で、MartinとSchinzingerのEthics in Engineeringは、安全、リスク、職場の権利に配慮しつつ、工学を社会的実験として提示する。van de PoelとRoyakkersのEthics, Technology, and Engineeringは、哲学に根ざした入門で、設計、リスク、組織における責任にまで広がる。

本書はこれらのいずれかのあとに読む。安全、内部告発、倫理綱領といった標準的な主題に触れたうえで、その根底にある哲学的な問いを知りたい学生に最も役立つ。第IV、VI、VII部は、van de PoelとRoyakkersの設計、リスク、責任の議論と対応しており、その本の読者にとって本書は自然な次の一冊となる。

本書の使い方

本書は、工学、技術哲学、科学技術社会論を学ぶ上級の学部生・大学院生・研究者、および自分の分野の基礎に関心のある現役の技術者に向けたものである。工学倫理の入門課程が妥当な出発点であり、より理論的な章では哲学にある程度なじんでいると助けになる。

各章は独立しているので、頭から順にではなく必要に応じて読む。

  • 最初に: 序論と第1章「What Is Engineering?」。残りの枠組みを与える。
  • 倫理の授業なら: 第VI部と第VII部、それに第IV部から「Values and Design」と「Human-Centred Design and its Inherent Ethical Qualities」。
  • 設計やシステムの学生なら: 第IV部と、第II部から「Uncertainty」「Scenarios」「Systems Engineering as Engineering Philosophy」。
  • 研究プロジェクトや論文なら: 第III部と第V部の章を技術哲学の文献への入口として使い、関心のある主題の章を現在の議論の地図として使う。
  • 最後に: 第VIII部。その最終章「Reimagining the Future of Engineering」は、この分野の未来をめぐって多数の寄稿者を集めている。