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Control Systems Engineering(制御システム工学) cover

工学

工学

Control Systems Engineering(制御システム工学)

Norman S. Nise

英語原題: Control Systems Engineering

フィードバックシステムのモデル化、解析、設計を応用面から学ぶ教科書です。数理的な手法を実際の物理系と結び付け、MATLABやSimulinkを使って応答とコントローラ設計を検討します。微分方程式、線形代数、動力学を学んだ工学学生に適しています。

前提知識: 常微分方程式、ラプラス変換、線形代数、および動力学または回路の工学科目。

難易度レベル
上級
学術レベル
学部
control systemsfeedback controlsystem dynamicsMATLAB教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Nise, N. S. (2019). Control Systems Engineering (8th ed.). Wiley.

章の要約

本書は約800ページ、13章からなる。各章は学習目標で始まり、まとめ、復習問題、参考文献で終わる。多くの章にケーススタディがあり、すべての章が「Cyber Exploration Laboratory」(ソフトウェアによる実験)で締めくくられる。全章を通じて、アンテナの方位角位置制御システムが事例として使われ、付録でも説明される。

第1章:Introduction(序論)

制御システムを定義し、制御システムを作る理由(電力増幅、遠隔操作、入力形式の利便性、外乱の補償)を挙げ、基本的な性能指標である過渡応答と定常誤差を導入する。あわせて、制御の歴史、システムの構成、解析と設計の目標、設計プロセス、計算機支援設計の役割を簡潔に述べる。

第2章:Modeling in the Frequency Domain(周波数領域でのモデル化)

ラプラス変換を復習して伝達関数を定義し、電気回路網、並進・回転の機械系、歯車を含む系、電気機械系の伝達関数を導く。最後に電気回路との類似、非線形性、線形化を扱う。

第3章:Modeling in the Time Domain(時間領域でのモデル化)

第2章に対応する状態空間の手法。一般的な状態空間表現、その物理系への適用、伝達関数と状態空間の相互変換、線形化を扱う。

第4章:Time Response(時間応答)

伝達関数の極と零点から応答を予測する。一階系、二階系(導入のあと一般の場合と不足減衰の場合)、追加の極と零点の影響、非線形性の影響、状態方程式のラプラス変換による解法と時間領域での解法を扱う。

第5章:Reduction of Multiple Subsystems(複数サブシステムの縮約)

ブロック線図、信号流れ線図、メイソンの公式によって、複数のサブシステムを一つのモデルにまとめる方法を示す。状態方程式の信号流れ線図、状態空間の別表現、相似変換も扱う。

第6章:Stability(安定性)

ラウス・フルビッツの安定判別法、その特殊な場合と追加の例題を示し、続いて状態空間における安定性を扱う。

第7章:Steady-State Errors(定常誤差)

単位フィードバック系の定常誤差、静的誤差定数と系の型、誤差仕様、外乱および非単位フィードバック系の誤差、感度、状態空間で表された系の定常誤差を扱う。

第8章:Root Locus Techniques(根軌跡法)

根軌跡とその性質を定義し、スケッチと精緻化の手順を示したうえで、ゲイン調整による過渡応答の設計に用いる。さらに一般化された根軌跡、正帰還系、極の感度を扱う。

第9章:Design via Root Locus(根軌跡による設計)

根軌跡上で直列補償を用いて、定常誤差、過渡応答、またはその両方を改善する。続いてフィードバック補償と補償器の物理的な実現を扱う。

第10章:Frequency Response Techniques(周波数応答法)

漸近近似によるボード線図とナイキストの安定判別法を導入する。ナイキスト線図の描き方、安定性、ゲイン余裕と位相余裕を含む。後半では開ループ・閉ループの周波数応答と過渡応答・定常誤差の関係、むだ時間を持つ系、伝達関数の実験的な求め方を扱う。

第11章:Design via Frequency Response(周波数応答による設計)

周波数領域での補償器設計。ゲイン調整による過渡応答の改善に続き、位相遅れ、位相進み、位相遅れ進みの各補償を扱う。

第12章:Design via State Space(状態空間による設計)

制御器の設計、可制御性、制御器設計の別の方法、オブザーバの設計、可観測性、オブザーバ設計の別の方法、積分制御による定常誤差の設計を扱う。

第13章:Digital Control Systems(ディジタル制御系)

ループ内のディジタル計算機をモデル化し、z変換と離散伝達関数を導入する。そのうえで、ブロック線図の縮約、安定性、定常誤差、過渡応答、ゲイン設計をz平面に適用し、s平面を経由した直列補償とディジタル補償器の実装で終わる。

主要概念

第1–3章:序論とモデル化

  • 過渡応答と定常誤差:以後のすべての解析と設計の枠組みとなる二つの性能指標。
  • 伝達関数:線形システムの周波数領域での入出力記述。電気、機械、電気機械の各要素について構成される。
  • 状態空間表現:多入力多出力も扱える時間領域のモデル。
  • 線形化:動作点の近くで非線形系を線形系で近似すること。

第4–7章:解析

  • 極と零点:その位置が応答の形を決める。
  • ラウス・フルビッツの安定判別法:特性多項式から安定性を判定する方法。
  • 系の型と静的誤差定数:標準的な入力に対する定常誤差を予測する方法。

第8–11章:古典的な設計

  • 根軌跡:ゲインを変えたときの閉ループ極の軌跡。
  • ボード線図とナイキストの方法:安定性、ゲイン余裕、位相余裕を調べる周波数応答の道具。
  • 位相遅れ・位相進み・位相遅れ進み補償:定常誤差と過渡応答を改善する直列補償器。

第12–13章:状態空間とディジタルの設計

  • 可制御性と可観測性:状態フィードバックと状態推定が可能となる条件。
  • オブザーバの設計:測定されない状態の推定。
  • z変換:計算機制御系に用いる、ラプラス変換の離散時間版。

批判的分析

長所

  • 全体を通じた設計重視。 出版社は、本書が理論や抽象的な数学にとどまらず、概念を物理的な制御系の設計へ結びつけ、段階的な手順を示すと説明している。目次もそれに合致し、第9章、第11章、第12章が三つの主要な領域での設計に充てられている。
  • ケーススタディと共通の例。 各章にケーススタディがあり、アンテナの方位角位置制御システムが章をまたいで追跡されるため、一つのシステムに新しい手法を次々と適用する様子を見られる。
  • ソフトウェアとハードウェアの実践。 各章がCyber Exploration Laboratoryで終わり、いくつかの章にはHardware Interface Laboratoryがある。付録にはMATLAB、Simulink、LabVIEWなどのチュートリアルがある。
  • 自習の助け。 各章に復習問題がある。第8版では(出版社が新規と記すように)更新された章末問題に加えて、完全な解答付きの練習問題が付く。一部の問題の解答と用語集も収められている。

短所

  • 長く、範囲が広い。 約800ページで古典制御と現代制御の両方を扱うため、1学期の授業では取捨選択が必要である。状態空間とディジタルの章は古典的設計の章の後にあり、入門の1科目では扱いきれないことがある。
  • ソフトウェアに依存する部分。 実験課題といくつかの付録はMATLAB、Simulink、LabVIEWの利用を前提とし、付録の一部は電子版でのみ提供される。
  • 手順中心の構成。 出版社の説明のとおり、抽象的な数学よりも段階的な方法と応用に力点がある。より理論的な扱いを求める読者は別の教科書が必要になる。

コースにおける位置づけ

このコースの書目の中で、Niseは制御の入門科目向けの主要な応用志向の教科書である。OppenheimとWillskyの Signals and Systems はラプラス変換とz変換を扱い、フィードバックの入門で終わるため、Niseの第2章と第13章への準備として適している。Sadikuの入門書とDowneyの Think DSP は、同じ変換の考え方に至る、より軽く例中心の道である。

ÅströmとMurrayの Feedback Systems は、フィードバックの考え方を生物系や情報系にまで広げ、モデル化、状態空間、ロバスト性を重視する現代的な入門書である。古典的な手法を学んだあとの第二の視点として、Niseと併読するとよい。Craigの Introduction to Robotics は制御をロボットアームに応用し、制御の基礎を前提とするため、Niseの第1–10章のあとに読むのがよい。

本書の使い方

微分方程式、ラプラス変換、線形代数、基礎的な力学または回路を学んだ、2〜3年次の工学部生に向く。出版社は、機械、電気、航空宇宙、生体医工学、化学工学の制御の中核科目向けの教科書と位置づけている。

最初の科目での実際的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第1–10章を順に読む。第2、4、6、7章は、モデル化、応答、安定性、誤差という語彙を築き、以後の設計の章はそれを前提とする。
  • 設計: 第8章を第9章より先に、第10章を第11章より先に読み、補償に使う前に解析の手法を理解しておく。
  • 後回し、または任意: 第3章と第5章の状態空間の部分、および第12章と第13章。授業が状態空間を軸にする場合は第3章を早めに読む。

まず復習問題、次に練習問題、最後に章末問題を解く。各章のケーススタディはCyber Exploration Laboratoryを使って計算機で再現し、手で描いた根軌跡やボード線図とソフトウェアの結果を比較する。