01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Pinar, W. F. (2019). What Is Curriculum Theory? (3rd ed.). Routledge.
章の要約
第3版は約240ページの短い本で、五つの部に八つの章がある。出版社は、これを教職志望者と現職教師のための入門書と説明している。読者に、歴史的な現在と自分自身のそれとの関係を問い直し、教えること、学ぶこと、教育すること、そして教育を受けた者になることが何を意味するかを省みるよう求める。中心となる手段は、パイナー(Pinar)の currere という概念で、これは「カリキュラム」(curriculum)のラテン語の不定詞であり、出版社は自伝的な自己研究の方法として紹介している。各部の題名はこの方法の段階に沿っている。現在という問題、遡行の契機、前進の契機、分析の契機、総合の契機である。
第I部、第1章:カリキュラム理論
冒頭の章は、書名が指す分野を紹介する。出版社によれば、本書はカリキュラムを、標準テストで評価される目標の実施にとどまるものとは捉えない。それは世代間のコミュニケーションであり、学術的知識に支えられ、教育的経験によって特徴づけられるものである。
第I部、第2章:自伝から寓話へ
第2章は第I部(「現在という問題」)を完結させる。題名は、出版社が currere の方法として示す自伝から、寓話への移行を表している。寓話は、出版社が新しい「ハーレム・ルネサンス」の章を説明するときにも挙げている形式である。
第II部、第3章:ハーレム・ルネサンス
第II部は「遡行の契機:過去を再び活性化する」。ハーレム・ルネサンスの章は第3版で新たに加わったもので、出版社はこれを新しい「現在の寓話」(allegory-of-the-present)と説明している。
第II部、第4章:教育をめぐる命がけの戦い
遡行の部の二つ目の章で、題名は教育を闘争の枠組みで捉えている。
第III部、第5章:主体性の解体
第III部は「前進の契機:現在の中の未来」である。主体性の解体を論じる章から始まる。
第III部、第6章:過去の中の未来
この章の題名は第III部の題名「現在の中の未来」に呼応し、過去へと向かう。出版社は、この版の追加として、カリキュラムの未来についての新しい節、技術についての新しい節、拡充された「フリーダム・スクール」の節を挙げているが、目次からはそれらがどの章にあるのかはわからない。
第IV部、第7章:反知性主義と複雑な会話
第IV部は「分析の契機:現在を理解する」。この部の唯一の章で、反知性主義と、出版社がカリキュラムを説明するのに用いる「複雑な会話」とが並べられている。出版社はまた、この版が教育者を「ポスト真実」と「フェイクニュース」の時代の真実の語り手として描いていることにも触れている。
第V部、第8章:主観的・社会的な生き残り
本書は「総合の契機」と、主観的・社会的な生き残りについての章で閉じられる。
主要概念
第I部:現在という問題
- Currere:カリキュラムのラテン語不定詞で、自伝的な自己研究の方法として用いられる。
- 複雑な会話としてのカリキュラム:カリキュラムは目標の実施だけでなく、世代間のコミュニケーションである。
- 現在の寓話:新しいハーレム・ルネサンスの章について出版社が用いる語。
第II・III部:遡行と前進の契機
- 遡行の契機:過去を再び活性化すること。
- 前進の契機:現在の中に未来を見いだすこと。
- 主体性:第5章の主題。
第IV・V部:分析と総合の契機
- 分析の契機:現在を理解すること。
- 反知性主義:第7章で複雑な会話と対にされる主題。
- 主観的・社会的な生き残り:結びの主題。
批判的分析
長所
- 短く整理された議論。 五部八章という構成は、このリストの中では比較的コンパクトである。各部の題名が方法の段階を示しているので、構成を追いやすい。
- 読者が試せる方法。 出版社は currere を、個人や集団が教えることをカリキュラムという会話への「情熱的な参加」として理解するための方法として示している。したがって、本書は読むだけでなく使うための本でもある。
- 更新点が明確な版。 出版社は新しい内容を挙げている。新しい寓話としてのハーレム・ルネサンスの章、技術とカリキュラムの未来についての新しい節、拡充されたフリーダム・スクールの節、そして「ポスト真実」の時代の真実の語り手としての教育者という見方である。
- 教師に向けて書かれている。 出版社は教職志望者と現職教師のための入門書と呼び、カリキュラム研究、教師教育、教育政策、教育の基礎の研究者と学生にも勧めている。
短所
- カリキュラムのモデルの概説ではない。 目次には、計画のモデル、カリキュラム設計の手順、評価についての章がない。カリキュラムの作り方を知りたい読者は別の本が必要である。
- 一つの立場を詳しく論じている。 出版社自身が本書を「挑発的で、説得力があり、論争を呼ぶ」と呼んでいる。競合する見解を並べるのではなく、currere を中心とする一つのアプローチを展開する。
- 章の長さにばらつきがある。 第IV部と第V部はそれぞれ一章だけなので、本の大部分は最初の六章が担っている。
- 題名だけでは内容がつかみにくい。 いくつかの章題は比喩的(たとえば「教育をめぐる命がけの戦い」)で、目次だけでは各章が何を論じるのかわからない。購入前に序文や試し読みのページを読むとよい。
コースにおける位置づけ
これはカリキュラムのリストの中で理論的な本であり、一人の著者による長い議論である。Allan OrnsteinとFrancis Hunkinsの Curriculum: Foundations, Principles, and Issues は基礎、設計、課題を扱う大学院向けの概説書、A. V. Kellyの The Curriculum: Theory and Practice はカリキュラムは何のためにあり、誰が決めるべきかを問う入門書、Wesley Nullの Curriculum: From Theory to Practice は分野を五つの伝統に整理する。WigginsとMcTigheの Understanding by Design Guide は実践的な計画の本であり、FlindersとThorntonの The Curriculum Studies Reader は一次文献のアンソロジーで、パイナー自身の再概念化についての論文を含む。
概説書の一冊を読み、計画のモデルとその批判になじんだ後でパイナーを読み、そのアンソロジーで彼が対話している他の声に触れるのがよい。WigginsとMcTigheのような計画の本の代わりにはならない。
本書の使い方
カリキュラムを研究分野として考え、その中での自分の位置を考えたい大学院生、教師教育者、経験豊かな教師に向いている。カリキュラム設計や基礎の入門的な授業を受けていると助けになり、理論的で比喩的な文章を読む意欲も必要である。
実際的な進め方:
- 順に読む。 五つの部は一連の流れをなしており、現在という問題から総合の契機まで順に進むと、この方法がもっともよく理解できる。
- 方法を使う。 ノートを用意し、出版社の説明する currere の精神にならって、各部に応じた短い自伝的な記述を書く。
- 以前の版を知っている場合は、 まずハーレム・ルネサンスの章に進む。目次から場所がわかる唯一の追加部分である。
- 実践的な本と併読する。 計画の手引きを並行して読み、カリキュラムを会話として見るパイナーの見方が、目標と評価を軸にした計画とどう違うかに注目する。
