01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Flinders, D. J., & Thornton, S. J. (Eds.). (2022). The Curriculum Studies Reader (6th ed.). Routledge.
章の要約
第6版は33編の読み物を収めた約470ページのアンソロジーで、四つの部に分かれている。ジョン・デューイの『私の教育信条』(My Pedagogic Creed)から、高リスクのテスト、いじめ、学校のプログラムにおける白人性、リベラルアーツについての近年の論文までが並ぶ。編者は、この選集が広く知られた重要な文献に「革新的なカリキュラムの具体例」と現在の話題を組み合わせたものだと述べ、今回の版で高リスクのテスト、多文化リテラシー、カリキュラムにおける白人至上主義、気候変動を扱う寄稿が加わったとしている。四つの部には番号だけで題名がないため、以下では各部に含まれる読み物に即して説明する。
第I部(読み物1〜6):学校は何をすべきかをめぐる初期の議論
冒頭の部には、今も分野の枠組みとなっている20世紀初頭の立場が集められている。フランクリン・ボビットの「カリキュラム作成における科学的方法」は効率重視の伝統を代表する。それに対置されるのが、マリア・モンテッソーリ「新しい教育学の現代科学との関係についての批判的考察」、デューイ「私の教育信条」、ジェーン・アダムズ「公立学校と移民の子ども」、ジョージ・S・カウンツ「学校はあえて新しい社会秩序を築くか」である。リンダ・S・レヴスティク「向こう側の世界:『マイ・ブック・ハウス』は世界をどう分けたか、1919–1954」は、『マイ・ブック・ハウス』(My Book House)叢書を対象とする。
第II部(読み物7〜13):目標、コース、批判
ラルフ・W・タイラー「カリキュラムと指導の基本原理」とW・ジェームズ・ポファム「目標」は目標に基づく計画を代表し、ジェローム・S・ブルーナー「人間:一つの学習コース」は具体的に設計されたコースを示す。エリオット・W・アイスナー「教育目標——助けか妨げか」は目標アプローチに疑問を投げかける。残りの読み物は別の角度からカリキュラムを見る。教室生活を論じるフィリップ・W・ジャクソン「日々の苦役」、パウロ・フレイレ「自由のための文化的行動としての成人識字過程」、マキシン・グリーン「カリキュラムと意識」である。
第III部(読み物14〜22):再概念化、実施、公平
ウィリアム・F・パイナー「カリキュラム研究の再概念化」で始まるこの部は、カリキュラムの変化と差異を扱う。ミリアム・ベン=ペレツはカリキュラムの可能性について、ミルブレイ・ウォーリン・マクラフリンは相互適応としての実施について書いている。ウィリアム・H・ワトキンスは黒人のカリキュラム志向を検討し、米国大学女性協会(AAUW)は学校が女子をどう不利に扱っているかを論じ、ジェームズ・A・バンクスは多文化リテラシーとカリキュラム改革を扱う。ネル・ノディングズ「学校改革におけるケアと強制」、アイスナー「学校がうまくいっているとはどういうことか」、スティーブン・J・ソーントン「社会科カリキュラムにおけるゲイとレズビアンへの沈黙」がこの部を締めくくる。
第IV部(読み物23〜33):現在の問い
比較的新しい読み物には、次のものがある。アンジェラ・バレンズエラは削減的な学校教育とケアの関係、ウェイン・W・アウは高リスクのテストと生徒のアイデンティティ、イレイン・チャンは教師がカリキュラムの中で経験する文化、デニス・カールソンは「いじめカリキュラム」、クリスティ・M・モロイエは生態に配慮する教師の仕事、トーマス・ミスコはポスト共産主義の状況での論争的な話題をめぐるカリキュラム改革、マイケル・W・アップルはホームスクーリング、チェット・バワーズは「生き残りのための教育改革」、マイケル・F・D・ヤングは教科に基づくカリキュラム、リアナ・トーマスはいじめ防止プログラムにおける隠れたカリキュラムとしての白人性を論じる。最後の読み物はノディングズ「リベラルアーツの精神を新たに」である。
主要概念
第I部:基礎
- カリキュラム作成の科学的方法:カリキュラムの構築に分析の方法を適用しようとするボビットの試み。
- 進歩主義と社会改造主義の議論:デューイ、アダムズ、カウンツの読み物で、学校教育を民主主義的・社会的な目的と結びつける。
第II部:目標とその批判者
- 目標:タイラーとポファムに見られる、計画は明示された目的から始まるという考え方。アイスナーはこれに疑問を投げかける。
- 日々の苦役:教室生活の日常を研究対象とするジャクソンの視点。
- 文化的行動と意識:フレイレとグリーンの読み物。
第III部:再概念化と実施
- 再概念化:パイナーによる、カリキュラム研究を学問分野として捉え直す提案。
- カリキュラムの可能性:ベン=ペレツの用語で、設計者の意図を超えてカリキュラムが果たしうること。
- 相互適応:実施を双方向の過程とみなすマクラフリンの説明。
- 多文化リテラシーと公平:ワトキンス、AAUW、バンクス、ソーントンの読み物。
第IV部:現在の問い
- 高リスクのテストと言説による統制:テストと生徒のアイデンティティを論じたアウの読み物。
- 隠れたカリキュラム:いじめ防止プログラムを通じて現れる白人性を論じたトーマスの読み物。
- 教科に基づくカリキュラム:教科の知識を擁護するヤングの議論。
- 忠実度への期待:論争的な話題をめぐるカリキュラム改革を考え直すミスコの読み物。
批判的分析
長所
- 要約ではなく原典の声。 選集はボビットやデューイからタイラー、アイスナー、フレイレ、グリーン、パイナー、ノディングズまで、議論そのものを再録している。学生は直接引用でき、執筆者同士がどう応答し合っているかを見ることができる。
- 対立する議論が並べられている。 デイビッド・L・アセベドは、Educational Review で以前の版を評し、編者は前半で対照的な議論を並べ、カリキュラムをめぐる異なるイデオロギーの背景を理解させることに成功していると書いた。目次を見ると、第I部と第II部で効率重視、進歩主義、批判的立場が並んでいる点がそれを裏づける。
- 歴史の幅と現在の話題。 第6版ではテスト、いじめ、学校プログラムにおける白人性、生態についての読み物が加わっている。最後の読み物がリベラルアーツに戻ることで、過去から現在への意図的な流れが生まれている。
- 評者の評価。 出版社は、O・L・デイビス・ジュニアの「学びの始まりであって終わりではない」という言葉と、Harvard Educational Review の、学校がなぜ現在の内容を教えるのかを知りたい人すべてに関心を持たれるだろうという評を引いている。
短所
- 一貫した語りがない。 アンソロジーは自らの声で分野を説明できない。目次には部の題名がなく、読者は読み物から分類を推測しなければならない。カリキュラムの入門的な授業を受けていない学生には、配列が位置づけにくいかもしれない。
- 選択は省略を意味する。 分野全体で33編であるため、各テーマを代表する読み物はわずかである。特定のテーマを深く知りたい読者は、著者の完全な著作に当たる必要がある。
- 時代と状況が混在している。 読み物は19世紀の信条から近年の論文まで広がり、ミスコの論文のポスト共産主義の状況のように、特定の国や学校制度を扱うものもある。したがって、選んで読むのが適している。
コースにおける位置づけ
このリストのカリキュラム関連書の中で、本書は一次文献で構成されている点が特徴である。Allan OrnsteinとFrancis Hunkinsの Curriculum: Foundations, Principles, and Issues は分野の基礎、設計モデル、課題を扱う大学院向けの概説書であり、A. V. Kellyの The Curriculum: Theory and Practice はカリキュラムは何のためにあり、誰が決めるべきかを問うイギリスの入門書である。Wesley Nullの Curriculum: From Theory to Practice は分野を五つの伝統に整理し、WigginsとMcTigheの Understanding by Design Guide は単元計画の実践的な手引きである。
William Pinarの What Is Curriculum Theory? は、一人の理論家による持続的な議論を示しており、パイナー本人も本書に登場する。まず教科書型の概説書で全体像をつかみ、次に本書でそれらが要約している原典の議論に触れ、最後にPinarの本を読んで一つの立場が詳しく展開される様子を見る、という順序が妥当である。
本書の使い方
本書は、論文やゼミのために原典を必要とする大学院生、教師教育者、研究者に向いている。多くの読み物がタイラーに代表される計画の伝統への応答なので、カリキュラム設計や基礎の入門的な授業を受けていると、議論の位置づけが容易になる。
実際的な進め方:
- 対立する読み物を組にして読む: ボビットとデューイまたはアダムズ、タイラーまたはポファムとアイスナー、ジャクソンとフレイレまたはグリーン、バンクスとヤング。
- 中核となる読み物: 第I部と第II部が歴史的な立場(効率重視、進歩主義、目標に基づくアプローチとその批判)を示し、第III部のパイナーの論文が再概念化された分野への転換を示す。
- 任意: 第IV部は、テスト、学校の雰囲気、生態、論争的な話題など、研究上の関心に合わせて選ぶとよい。
- 書くときは: 各読み物の年代をメモしておく。本書は19世紀の文章と近年の文章を一巻に収めており、年代が主張の読み方に影響するからである。
