01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ornstein, A. C., & Hunkins, F. P. (2017). Curriculum: Foundations, Principles, and Issues (7th ed.). Pearson.
章の要約
第7版は10章からなり、製本版は364ページである。著者らが述べる方針は、理論と実践のどちらかを重視せず、特定の政治的・社会的立場を推し進めず、カリキュラムを管理運営上の課題としても扱わないというもので、読者が今日のカリキュラムについて自分の見解を形成するための情報を提供することを目指している。各章の冒頭には学習成果が置かれ、章末の討議問題と、将来の教員や管理職への具体的な提案である「カリキュラム・ヒント」が本文を支える。10章は、枠組みを示す章、基礎に関する4章、カリキュラムの過程に関する4章、国際教育に関する1章に分かれる。出版社はさらに、共通基礎スタンダード、アカウンタビリティとハイステークス・テスト、公立の就学前教育の普遍化といった改革の動き、技術とオンライン教育、脳科学研究、所得格差といった現在の話題を強調している。
第1章:The Field of Curriculum(カリキュラムという分野)
冒頭の章は、カリキュラムを一つの研究分野として紹介する。出版社の変更点の一覧は、MOOCを含む技術とオンライン教育についての新しい議論をここに位置づけている。
第2章:Philosophical Foundations of Curriculum(カリキュラムの哲学的基礎)
四つの基礎の章の最初である。出版社によれば、この版が扱う共通基礎スタンダードと公立の就学前教育の普遍化、デジタル・リテラシーとグローバル・スキル、脳科学研究が、この章に現れる。
第3章:Historical Foundations of Curriculum(カリキュラムの歴史的基礎)
歴史に関する章である。出版社は、ここでグローバル・スキルについての新しい記述があると述べている。
第4章:Psychological Foundations of Curriculum(カリキュラムの心理学的基礎)
心理学的基礎の章である。出版社は、脳の可塑性、ソーシャルメディアが脳の発達に与える影響、実行機能の重要性の高まりなど、脳科学研究の拡充された節を、この章と第2章に置いている。
第5章:Social Foundations of Curriculum(カリキュラムの社会的基礎)
社会的基礎の章である。出版社によれば、公立の就学前教育の普遍化、国際学力調査についての拡充された報告(創造性や問題解決を測る調査を含み、章の終わり近く)、所得格差が学校とカリキュラムに与える影響についての記述が含まれる。
第6〜9章:Curriculum Design(カリキュラム設計);Curriculum Development(カリキュラム開発);Curriculum Implementation(カリキュラム実施);Curriculum Evaluation(カリキュラム評価)
この4章は、基礎からカリキュラム過程の段階(設計、開発、実施、評価)へ進む。出版社のページは、これらの題名を挙げるのみで、詳しい説明はない。
第10章:International Scenes in Education(教育の国際的情景)
題名が示すように、最終章は教育を国際的な視野から見る。出版社のページは題名のみを挙げている。
主要概念
第1〜5章:分野と基礎
- 分野としてのカリキュラム:第1章が導入する主題。
- 哲学的・歴史的・心理学的・社会的基礎:カリキュラムを見る四つの視点で、各1章(第2〜5章)。
- 現在の改革の動き:共通基礎スタンダード、アカウンタビリティとハイステークス・テスト、公立の就学前教育の普遍化。
- 脳科学研究と実行機能:出版社によれば、第2章と第4章で拡充された話題。
第6〜10章:過程と国際的文脈
- カリキュラムの設計・開発・実施・評価:第6〜9章が扱う段階。
- 教育の国際的情景:第10章の主題。
批判的分析
長所
- 意図的にとられたバランスのある立場。 著者らは、本書が理論より実践を、あるいは実践より理論を重んじず、特定の政治的・社会的立場を推し進めないと述べており、学生が立場を比較するゼミに適する。
- 明快な構成。 枠組みの章、基礎の4章、過程の4章は、順に読むことも参照することもできる流れをなす。題名の三つの語(基礎、原則、課題)がこの計画に対応する。
- 学習支援の工夫。 各章冒頭の学習成果、章末の討議問題、カリキュラム・ヒントは、大学院の授業で使いやすくしている。拡張版eTextは動画を埋め込んでいる。
- この版の時事的な内容。 出版社は、共通基礎スタンダード、ハイステークスのアカウンタビリティ、デジタル・リテラシー、脳科学研究、所得格差についての新しい内容を挙げている。
短所
- 時事的な内容は古くなりやすい。 この版が共通基礎スタンダード、MOOC、公立の就学前教育の普遍化に重点を置いたため、当時の政策論議と結びついており、その時期や米国の外にいる読者には古く感じられる部分がある。
- 国際教育は1章のみ。 第10章は題名が国際的な視野に充てられている唯一の章であり、目次のほかの部分はカリキュラムの主題ごとに組まれている。
- 横断的な話題が複数の章に分散している。 出版社によれば、技術とオンライン教育は第1章、デジタル・リテラシーとグローバル・スキルは第2〜3章、脳科学研究は第2章と第4章にあるため、一つの主題をたどる読者は章をまたいで読む必要がある。
- 論じるのではなく概観する。 著者ら自身の説明では、本書は主張よりも情報を提供する。カリキュラムについて一貫した理論的立場を求める読者は、ほかの書物で見つけることになる。
コースにおける位置づけ
カリキュラムの読書リストの中で、本書は大学院生向けの概説教科書である。Nullの『Curriculum: From Theory to Practice』は、この分野を五つのカリキュラム思想の伝統に整理した、より短い入門であり、Kellyの『The Curriculum: Theory and Practice』は、カリキュラムは何のためにあり、誰が決めるべきかを問う、英国で長く読まれてきた入門書である。どちらも読みやすい最初の一冊になる。WigginsとMcTigheの『The Understanding by Design Guide to Creating High-Quality Units』は単元の計画のための実践的な手引きで、設計の章の実践的な補助になる。
理論的・歴史的な読書を深めるには、Pinarの『What Is Curriculum Theory?』が、カリキュラムを複雑な会話として、この分野を計画の手順ではなく学問分野として論じ、『The Curriculum Studies Reader』は、Bobbitt、Dewey、Tyler、Eisner、Freire、Greene、Pinar、Noddingsらの原典の議論を集めた選集である。OrnsteinとHunkinsは広い地図であり、これらの書物は一次資料と明確な立場を提供する。
本書の使い方
本書は、カリキュラム・指導、教育リーダーシップ、教員養成の大学院生、および学校管理職やカリキュラム担当者を対象にしている。教育学の入門的な授業や教職の経験があると役に立つ。学校がどう組織されているかに通じていることを前提とするからである。
読み方の例:第1章で枠組みを読み、次に、関心に応じて基礎の章(第2〜5章)を読む。これらは別個の視点として書かれており、ゼミではそれぞれ単独で使える。第6〜9章はカリキュラム実務の流れの中核として、まとめて読み、カリキュラム・ヒントで考えを実践に移す。第10章は比較の視点を加え、国際的な制度に関心のある読者に向く。小論文では、討議問題で論点を整理し、本書が指す原典を読む。もう一冊読む余裕のある授業では、選集か理論書を加えて、一次的な議論を補うとよい。
