01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Francis, B., Taylor, B., & Tereshchenko, A. (2020). Reassessing 'Ability' Grouping: Improving Practice for Equity and Attainment. Routledge.
章の要約
本書は約190ページ、10章からなる。出版社によれば、英国の中等学校で行われた大規模な実証研究プロジェクトから得た、独自の量的・質的データを提示し、到達度別グルーピングが生徒の成果、教師の効果、社会的平等に与える影響を分析している。新しい証拠に加えて、既存の文献と国際的な研究動向の説明、生徒の社会的背景と学力をめぐる広い政治的議論への視点、教室での実際面の検討、実践改善のための提言が示される。出版社は、本文にヴィネット、表とグラフ、教師へのインタビューや生徒のフォーカスグループからの引用が含まれると述べている。
第1–3章:はじめに/「能力」別グルーピング:それは何で、なぜ行うのか/「生徒のグルーピングのベストプラクティス」研究:方法の説明
冒頭の章は問いと証拠を枠づける。第2章は「能力」別グルーピングとは何か、学校がなぜそれを行うのかを問う。既存の文献と国際的な状況はここに位置づけられる。第3章は、中核の章の土台となる、著者ら自身の「生徒のグルーピングのベストプラクティス」研究の方法を説明する。
第4–6章:到達度別グルーピングが生徒の自信に与える影響/さまざまなグルーピングの実践についての生徒の経験/到達度別グルーピングが教授法と実践に与える影響
本書の中盤は調査結果を報告する。最初に生徒の自信、次にさまざまなグルーピングの実践についての生徒自身の経験、そしてグルーピングが教え方に及ぼす影響である。
第7–8章:セッティングにおける良い実践はなぜ実現しにくいのか/混合到達度グルーピングをうまく行う
二つの実践的な章は、本書が比較検討する二つの選択肢を取り上げる。第7章は、セッティング、すなわち生徒を到達度によってセットに分けることにおいて、良い実践がなぜ実現しにくいのかを検討し、第8章は混合到達度グルーピングをうまく行う方法に移る。
第9–10章:考察/提言
本書は、調査結果についての著者らの考察と、実践、成果、経験、公平性の改善を目指す提言の章で終わる。
主要概念
第1–3章:問いと研究
- 到達度別グルーピング:生徒を事前の到達度に応じてセットなどのグループに分けること。本書は題名で「能力」を引用符に入れている。
- 生徒のグルーピングのベストプラクティス研究:著者ら自身による、英国の中等学校での大規模プロジェクト。
第4–6章:グルーピングの効果
- 生徒の自信:さまざまなグルーピングの帰結として検討される。
- 生徒の経験:生徒自身が、異なる形でグループ分けされることをどう語るか。
- 教授法と実践:グルーピングが教師の教え方に与える影響。
第7–10章:実践と提言
- セッティング:生徒を到達度によってセットに分けること、およびそれをうまく行う際の障害。
- 混合到達度グルーピング:事前の到達度が異なる生徒を一緒に教えること、およびそれをうまく行うために必要なこと。
批判的分析
長所
- 独自の証拠と広い文脈。 出版社は、新たな大規模な量的・質的データと、既存の文献および国際的な動向の説明の両方を強調しており、調査結果は広い議論の中に位置づけられる。
- 到達度だけでなく公平性にも注意。 副題と出版社の説明は、グルーピングの問題を社会的平等に結びつけ、本書は生徒の社会的背景と学力をめぐる広い議論に照らしてこれを論じる。
- 実践に近い。 第7章と第8章はセッティングと混合到達度教育の実際面を扱い、第10章は提言を示す。出版社は、本書が教室の実際面と制約に目を向けていると述べている。
- 実務家・研究者による評価。 出版社のページには、ウィリアム・T・グラント財団のアダム・ガモランが、独自の研究と証拠の釣り合いのとれた吟味を評し、エクセター大学のリー・エリオット・メジャーが、混合能力学級を運営する教師への指針を強調する推薦文が載っている。
短所
- 単一の国の文脈。 一次データは英国(イングランド)の中等学校に由来する。国際的な文献は検討されているが、他の制度の読者は、知見がどこまで当てはまるかを自分で判断する必要がある。
- コンパクトな規模。 約190ページなので、包括的なハンドブックではなく焦点を絞った議論である。差異化指導全体を扱った本を求める読者は、他の文献が必要になる。
- 中等学校に焦点。 研究対象は中等学校であり、初等段階でのグルーピングは主題ではない。
コースにおける位置づけ
教室実践のコースの中で、本書は一つの決定、すなわち生徒を到達度で分けるか、どう分けるかに関する研究モノグラフである。キャロル・アン・トムリンソンの『The Differentiated Classroom』は、多様なニーズに合わせて指導、内容、評価を調整する方策を示す差異化指導の包括的な手引きであり、違いへの一般的な対応を知るにはまずこちらである。レモフの『Teach Like a Champion 3.0』は具体的な授業技術のハンドブック、サフィエらの『The Skillful Teacher』は計画、学級文化、発問、評価を扱う実践志向の資料、ロジャーズの『Classroom Behaviour』は行動の管理の実践的な手引きである。『Handbook of Classroom Management』は、学級経営の証拠に関する研究ハンドブックである。
フランシス、テイラー、テレシチェンコの本は、これらのどれにもないものを提供する。授業が始まる前になされる構造的な決定が、生徒の自信、経験、受ける指導をどう形づくるかについての、研究に基づく議論である。学科や学校がグルーピング方針を見直すときに、自然に手に取る一冊である。
本書の使い方
本書は、差異化指導と公平性に取り組む大学院生、教師、学校管理職、政策担当者に向いている。学級経営と差異化指導についての科目と、量的・質的研究の知見を読む基本的な慣れがあれば、準備として十分である。
実践的な読み方は次のとおり。
- 中核: 問いを知るために第1–2章、続いて自信、経験、教授法に関する知見の第4–6章。
- 実践上の判断のために: 第7章と第8章、そして第10章の提言。
- 研究者向け: 研究の方法についての第3章と、第9章の考察。
自分の学校のグルーピングのあり方を念頭に置いて読み、ヴィネットや引用を同僚との議論のきっかけに使うとよい。
