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Qualitative Research: A Guide to Design and Implementation(質的研究:デザインと実施のガイド) cover

教育学

教育学

Qualitative Research: A Guide to Design and Implementation(質的研究:デザインと実施のガイド)

Elizabeth J. Tisdell; Sharan B. Merriam; Heather L. Stuckey-Peyrot

英語原題: Qualitative Research: A Guide to Design and Implementation

教育学をはじめとする応用分野で長く使われてきた、質的研究の設計と実施のための大学院レベルの手引き。質的探究の哲学的基盤を説明したうえで、問題設定とデザインの選択から、データの収集・分析・報告まで、研究の各段階を順に解説する。

前提知識: 量的研究と質的研究の基本的な違いを扱う教育研究法の概論を履修していること。

難易度レベル
上級
学術レベル
大学院
qualitative researchresearch designcase studydata analysis教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Tisdell, E. J., Merriam, S. B., & Stuckey-Peyrot, H. L. (2025). Qualitative Research: A Guide to Design and Implementation (5th ed.). Jossey-Bass (Wiley).

章の要約

第5版は約448ページで、11の章と短い付録からなり、三つの部に分かれる。質的研究のデザイン(第1–5章)、質的データの収集(第6–8章)、質的データの分析と報告(第9–11章)である。出版社は、質的研究を理解し、設計し、実施し、発表するための手引きと位置づけている。医療・保健専門職、社会科学、教育学、人文学にまで学際的な焦点を広げ、オンラインでのデータ収集や質的研究における人工知能についての議論を新たに加えている。本文の前にはポール・ハイデットによる序文が置かれている。

第1章:質的研究とは何か

この章は、基礎研究、応用研究、評価研究、アクションリサーチを区別し、質的研究を実験計画や調査と対比したうえで、質的研究の系譜を人類学とシカゴ学派の社会学者から、グレイザーとストラウスのグラウンデッド・セオリー、グーバの自然主義的探究までたどる。続いて、哲学的立場(実証主義、解釈主義と構成主義、批判的立場、ポストモダンとポスト構造主義)と、質的研究の特徴を示す。特徴とは、意味と理解への焦点、研究者が第一の道具であること、帰納的なプロセス、豊かな記述である。

第2章:よく用いられる六つの質的研究デザイン

この章は、記述的研究、現象学、エスノグラフィー、グラウンデッド・セオリー、事例研究を含む主要なデザインを概観し、読者が問いに合ったデザインを選べるようにする。

第3章:質的パラダイムの拡張:批判的研究、アクションリサーチ、コミュニティに基づく参加型研究(CBPR)

理解だけでなく変化をも目指すアプローチである。この章は、立場性(ポジショナリティ)と再帰性(リフレクシビティ)に注意を払う批判的研究と、アクションリサーチおよびCBPRを、その原則と類型を含めて扱う。

第4章:混合研究法とアートに基づくアプローチにおける質的研究

質的研究が量的研究と、収束的並行、説明的順次、探索的順次の各デザインでどのように組み合わされるかを説明し、アートに基づく研究を紹介する。

第5章:研究の設計と標本の選択

この章は計画に移る。問題の設定、研究の目的、理論的枠組みまたは概念的枠組み、文献レビュー、そして目的的サンプリングからスノーボールサンプリングや便宜的サンプリングまでの標本抽出を扱う。

第6–8章:効果的なインタビューの実施/注意深い観察者であること/文書と人工物からのデータ採掘

第II部は三つの主要なデータ源を扱う。第6章はインタビューを扱い、構造化の連続体、集団形式とオンライン形式、質問の作り方、記録と文字起こしを含む。第7章は観察を扱い、フィールドノーツ、観察者の役割、オンライン観察を含む。第8章は文書と人工物を扱い、個人的文書や視覚的文書、およびその真正性の判断を含む。

第9章:質的データの分析

最も長い章で、データの管理、コーディングとカテゴリーの構築、絶え間ない比較法、グラウンデッド・セオリーや現象学など特定の伝統における分析、そしてAIツールの議論を含むコンピュータ支援分析ソフトウェアを扱う。

第10章:妥当性、信頼性、倫理

この章は、信用可能性とその戦略(トライアンギュレーション、メンバーチェック、研究者の再帰性)、一貫性とコーダー間信頼性、一般化可能性と転用可能性、そして機関審査を含む研究倫理を論じる。

第11章と付録:質的研究の書き方/質的研究の方法論の節

第11章は、読者の見極め、焦点の選択、COREQなどの報告ガイドライン、学位論文や学術誌向けの執筆を扱う。シャラン・メリアムによる付録は、質的研究の方法論の節の例を示す。

主要概念

第I部:デザイン

  • 解釈的立場:現実は社会的に構成されるものであり、目的は人々がどのように意味を作り出すかを理解することだという前提。
  • 第一の道具としての研究者:研究者の応答性は強みであるため、主観性を特定し、監視しなければならない。
  • 帰納的プロセス:仮説を検証するのではなく、データから概念、テーマ、理論を構築すること。
  • 目的的サンプリング:情報量の豊富な事例を意図的に選ぶこと。

第II部:データ収集

  • インタビューの構造化の連続体:インタビューは高度に構造化されたものから非構造化のものまである。
  • フィールドノーツ:観察の記述的・省察的な記録。
  • 文書と人工物:真正性を評価される、文字・視覚・物質の資料。

第III部:分析と報告

  • コーディングとカテゴリー:データにコードを付し、絶え間ない比較によってカテゴリーを構築すること。
  • 信頼性確保の戦略:トライアンギュレーション、メンバーチェック、再帰性。
  • 転用可能性:質的研究における一般化可能性に相当する概念。

批判的分析

長所

  • 研究のプロセスに沿った構成。 三部構成は、設計から収集、分析と執筆へと進み、研究者が決定に出会う順序に合っている。
  • 哲学と実践を一冊に。 第1章が哲学的な立場を説明したうえで、後の章が手続きに移るため、デザインの選択が知識についての前提と結びつけられる。
  • 幅広いアプローチの扱い。 確立したデザインに加えて、批判的研究、アクションリサーチ、CBPR、混合研究法、アートに基づく研究を含み、第5版は例を医療専門職、教育学、人文学にまで広げている。
  • 執筆への実際的な支援。 報告に一章を割き、方法論の節についての付録があるため、学位論文や論文を書く読者の助けになる。

短所

  • 深さより広さ。 六つのデザインが一つの章(第2章)にまとめられ、分析も一章のため、グラウンデッド・セオリーや現象学など特定の伝統に取り組む読者は専門書が必要になる。
  • 長さ。 約448ページと、かなりの分量の参考書であり、一つの研究計画に絞った読者は一部しか使わない。

コースにおける位置づけ

教育研究法のコースの中で、本書は質的研究の専門書にあたる。クレスウェルとゲッターマンの『Educational Research』は量的・質的・混合研究法のデザインを一つの段階的な枠組みで扱い、コーエン、マニオン、モリソンの『Research Methods in Education』はこの分野全体にわたる包括的な参考書である。どちらも質的研究については本書より幅広く、浅い。ベル、ウォーターズ、ジョンソンの『Doing Your Research Project』とゲイリー・トーマスの『How to Do Your Research Project』は、初めて小規模な研究に取り組む人のための段階的な手引きである。

マーネインとウィレットの『Methods Matter』は量的側面の対になる一冊で、ランダム化実験と準実験からの因果推論を扱う。これは本書の焦点の外にある。両方の種類の研究を読む、あるいは行う学生は、二冊を組み合わせると得るところが大きい。

本書の使い方

本書は、質的研究を計画している教育学、医療専門職、社会科学の大学院生や研究者に向いている。量的アプローチと質的アプローチの基本的な違いを扱う一般的な研究法の科目を履修していれば、準備として十分である。

実践的な読み方は次のとおり。

  • 中核: 第1章、自分の問いに合ったデザインを選ぶための第2章、問題・枠組み・標本を扱う第5章。
  • 方法別: 用いる方法に応じたデータ収集の章(第6、7、8章のいずれか)を読み、そのあと分析の第9章。
  • 報告の前に: 信頼性確保と倫理の第10章、執筆の第11章。付録は方法論の節の見本として使う。
  • 任意: 変革志向、参加型、混合、アートに基づく研究を行う場合は第3章と第4章。

第5章を読みながら問題設定と標本計画の下書きを作り、分析の章を読んだあとで見直すとよい。