01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Cohen, L., Manion, L., & Morrison, K. (2018). Research Methods in Education (8th ed.). Routledge.
章の要約
これは大部の参考書で、5部45章、本文は約850ページ(Routledgeによれば全体で944ページ)に及ぶ。ほとんどの章は3人の主著者によるもので、第16、21、23、29、30、45章には外部の執筆者が明記されている。Routledgeによれば、5つの部は、教育研究の文脈、研究デザイン、方法論、データ収集の方法、データ分析と報告を扱う。第8版には、混合研究法、研究における理論の役割、インターネット研究の倫理、研究設問と仮説、インターネット調査、仮想世界とネトノグラフィー、二次データ、統計的有意性と効果量、質的比較分析についての新しい章があるという。以下の記述は、章題と出版社の説明に基づく。
第1〜6章:The nature of enquiry: setting the field; Mixed methods research; Critical educational research; Theory in educational research; Evaluation and research; The search for causation
第1部は、技法に入る前に分野を整理する。教育的探究とは何か、批判的な取り組みと理論がそれをどう形づくるか、研究が評価や因果の問いとどう関わるかである。混合研究法と理論の役割は、この版の新しい章として挙げられている。
第7〜8章:The ethics of educational and social research; Ethics in Internet research
第2部は倫理から始まり、インターネット上で行う研究についての新しい章を含む。
第9〜11章:Choosing a research project; Research questions; Research design and planning
これらの章は、主題の選択と問いの立て方から、研究の設計と計画までを読者に導く。研究設問の章は新しい。
第12〜14章:Sampling; Sensitive educational research; Validity and reliability
デザインの部は、標本抽出、センシティブな主題の研究、データの質で終わる。妥当性と信頼性は、第2部で最も長い章である(約40ページ)。
第15〜19章:Qualitative, naturalistic and ethnographic research; Historical and documentary research; Surveys, longitudinal, cross-sectional and trend studies; Internet surveys; Case studies
第3部は方法論を一つずつ示す。歴史・文書研究はJane Martinによる。インターネット調査は新しい章である。
第20〜23章:Experiments; Meta-analysis, systematic reviews and research syntheses; Action research; Virtual worlds, social network software and netography in educational research
残りの方法論は、実験、既存の研究の統合(Harsh Suri)、アクション・リサーチ、そしてオンライン環境についての新しい章(Stewart Martin)を扱う。
第24〜27章:Questionnaires; Interviews; Observation; Tests
第4部は標準的な道具から始まり、それぞれにおよそ20〜40ページが充てられている。
第28〜31章:Using secondary data in educational research; Personal constructs; Role play and research; Visual media in educational research
あまり一般的でない資料や方法を扱う。二次データの章は新しい。個人的構成概念はRichard Bell、ロールプレイはCarmel O'Sullivanによる。
第32〜37章:Approaches to qualitative data analysis; Organizing and presenting qualitative data; Coding and content analysis; Discourses: conversations, narratives and autobiographies as texts; Analyzing visual media; Grounded theory
第5部は質的分析の章が続いて始まり、一般的な取り組みから、コーディング、談話、視覚資料、グラウンデッド・セオリーまでを扱う。
第38〜44章:量的分析、記述統計から推測統計まで
Routledgeの一覧は第37章から第39章に飛んでいる。本書のDOI記録は、第38章を「Approaches to quantitative data analysis」としている。続いて、Statistical significance, effect size and statistical power(新規)、Descriptive statistics、推測統計の2章(差の検定、次に回帰分析と標準化)、Factor analysis, cluster analysis and structural equation modelling、Choosing a statistical test と進む。
第45章:Beyond mixed methods: using Qualitative Comparative Analysis (QCA) to integrate cross-case and within-case analyses
最終章はBarry CooperとJudith Glaesserによるもので、事例間分析と事例内分析を組み合わせる方法として質的比較分析(QCA)を提示する。
主要概念
第1〜2部:文脈とデザイン
- 混合研究法と理論の役割: アプローチの組み合わせと、理論の位置づけについての新しい章。
- 研究設問と仮説: 研究が何を問うかを定式化すること。独立した章がある。
- 妥当性と信頼性: データと知見の質の基準。
第3部:方法論
- 質的、自然主義的、民族誌的研究: 人々をその場で研究すること。
- 実験とメタ分析: 介入の検証と、複数の研究の結果の統合。
- 事例研究とアクション・リサーチ: 特定の場と実践についての研究。
第4〜5部:方法と分析
- 質問紙、面接、観察、テスト: 中核となるデータ収集法。
- コーディングと内容分析、グラウンデッド・セオリー: 質的データの分析法。
- 統計的有意性、効果量、検定力: 量的な結果の解釈の仕方。
- 質的比較分析: 事例間分析と事例内分析を結びつける技法。
批判的分析
長所
- 範囲の広さ。 質的、量的、混合のアプローチ、オンライン研究、分析が一冊に収められている。Routledgeが引用する評者は「ワンストップ」と呼び、Peter Shukieは初学者にも経験豊富な研究者にも役立つと述べる。
- 研究の段階に沿った構成。 5つの部は研究の順序に従っており、評者のDavid Lundieは、研究デザインと設問設定についての新しい内容が、初学者を開始から報告までの過程に導く助けになると述べる。
- 新しさ。 この版は、オンラインの倫理、インターネット調査、仮想世界、二次データの章を加えており、この種の教科書が従来あまり扱わなかった話題である。
- 補助資料。 Routledgeは、オンラインのスライド、ウェブリンク、練習用データセット、研究法の自習型研修プログラムがあると説明している。
短所
- 大きさ。 944ページの本書は、通読するより参照するための本である。全章を扱える科目は少なく、初学者はどの章を読むべきか案内が要る。
- 個々の技法の深さより広さ。 ほとんどの方法は1章で扱われる。統計は約7章だが、専門の統計の本には及ばず、専門的な技法にはコースの中の焦点を絞った文献のほうが向く。
- 出版社が選んだ評価。 公開されている書評は出版社が選んだもので、肯定的であり、弱点には触れていない。
コースにおける位置づけ
Cohen、Manion、Morrisonは、教育研究法のコースにおける包括的な参考書である。Bell、Waters、Johnsonの『Doing Your Research Project』とGary Thomasの『How to Do Your Research Project』は、初めて研究を行う人のための段階的な手引きで、学部や修士の小さな研究を始めるにはこちらのほうがよい。CreswellとGuettermanの『Educational Research』は、量的、質的、混合の方法を一つの枠組みで扱い、注釈付きの既刊研究を使う、段階的な入門書である。
より深く学ぶには、Tisdell、Merriam、Stuckey-Peyrotの『Qualitative Research』は質的デザインの大学院レベルの手引きであり、MurnaneとWillettの『Methods Matter』は因果の問い、無作為化実験、準実験デザインを扱う大学院向けの本で、Cohenの質的研究、実験、因果についての章より踏み込んでいる。一般的な使い方は、短い手引きから始め、Cohen、Manion、Morrisonを方法を調べる参照用に使い、最後に実際に選んだ方法についての専門書に進むことである。
本書の使い方
本書は学部の卒業論文から博士課程まで、あらゆる段階の学生と研究者に向き、研究の予備的な訓練は前提としない。通読するより、必要に応じて開く参照書として扱う。
実践的な進め方は次のとおり。
- 最初の研究の中核: 研究を枠づける第1章と第9〜11章、倫理の第7章、標本抽出の第12章。
- 方法を選ぶ: 自分のデザインに合う方法論の章(第3部)と、対応するデータ収集の章(第4部)、続いて第5部の対応する分析の章を読む。
- 量的研究: 推測統計の章の前に第38〜40章を読み、検定の選択には第44章を使う。
- 質: 自分のデザインを評価するときは、いつでも妥当性と信頼性の第14章に戻る。
Routledgeによれば、本書は練習用データセットを含むオンライン資料で支えられている。統計の章でそれらを使う。授業では教員が章を選ぶのが普通である。独学の学生は、研究の段階に応じて選び、残りは必要になるまで読まなくてよい。
