01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Thomas, G. (2025). How to Do Your Research Project: A Guide for Students (5th ed.). SAGE Publications.
章の要約
第5版は10章に用語集と参考文献が付き、約336ページである。章は学位論文の順に並んでいるため、研究を進めながら読むことができる。各章の末尾には概要、推薦文献、チェックリストがある。序文が挙げる新しい点は、各章で改訂された「DIY」活動、人工知能がどこで役立ち、どこで誤解を招くかという議論、文献レビューの組み立てに関する説明の増補、そして以前は1章だった研究デザインの章が2章に分かれたことである。
第1章:序論
序論の役割を説明し、研究課題を中心に組み立てる。各節は、研究の意義、着想の得方、四種類の問い、記述的な問いと説明的な問い、実現可能性、証拠の種類、証拠に対する批判的な思考を扱う。
第2章:プロジェクト管理、倫理、承認の取得
学位論文の構成、スケジュールと時間管理、研究に伴うストレス、フィールドへのアクセス、指導教員との関係を扱う。長い倫理の節では、倫理審査、リスクの段階、リスク評価と管理、学部レベルと大学院レベルの承認、研究におけるソーシャルメディア、参加者と研究者自身への配慮を論じる。
第3章:文献レビュー(1):検索
情報源の探し方と評価を扱う。一次資料と二次資料、情報源の質、批判的意識、ノートの取り方と文献管理ソフト、Google Scholarとスノーボール法、新設されたAIツールの節、図書館のデータベース、公的統計、学位論文、引用方式。
第4章:文献レビュー(2):語りを組み立てる
文献レビューは文献の羅列ではなく物語を語るべきだと主張する。範囲の設定、マインドマップ、レビューの足場づくり、システマティック・レビュー、どの程度詳しく述べるか、研究課題を最終的な形に言い直すことを扱う。
第5–7章:方法論(1)~(3)
第1部「アプローチを決める」はパラダイム(実証主義と解釈主義)、質的・量的アプローチ、存在論と認識論、目的から問い、データ収集へ至る道筋を扱う。第2部「研究を設計する」は固定的デザインと創発的デザイン、サンプリング、変数、信頼性、妥当性、一般化、ポジショナリティ、トライアンギュレーション、方法論の章の書き方を扱う。第3部「デザインの枠組み」は、アクション・リサーチ、事例研究、解釈的現象学的分析、エスノグラフィーと関連するアプローチ、評価、実験、縦断的研究・横断的研究・調査、比較研究、デザインの混合、ポストモダニズムを概観する。
第8章:データ収集
道具を、主に言葉を生むもの、言葉または数字を生むもの、主に数字を生むものに分けて示す。インタビュー、日記と省察ジャーナル、フォーカス・グループ、文書の吟味、ソーシャルメディア。質問紙、観察、画像データ。測定、テスト、公的統計。
第9章:集めた情報の分析と考察の方法
言葉の分析(コーディング、グラウンデッド・セオリー、厚い記述、談話分析・内容分析、コンピュータによる分析)と数字の分析(数字の種類、Excel、記述統計、関係を見る統計、推測統計)を扱い、その後、統合と理論化を通じて分析をどう考察するかを述べる。
第10章:結論と執筆
結論、要旨とタイトル、報告書の最終的な形、文体、包摂的な書き方、剽窃(AIと剽窃を含む)、提示と編集を扱う。
主要概念
第1–4章:問いと文献
- 研究課題:プロジェクトの土台で、問いの種類によってプロジェクトの種類が変わる。
- 倫理承認とリスク評価:データ収集の前に行うプロジェクトの審査。
- 語りとしての文献レビュー:足場を組んだ物語で、最終的な研究課題へ導く。
第5–7章:方法論
- パラダイム:実証主義や解釈主義など、社会的世界を捉える枠組み。
- 固定的デザインと創発的デザイン:デザインを事前に定めるか、研究の中で展開するか。
- デザインの枠組み:事例研究、エスノグラフィー、実験などの全体構造。
第8–10章:データ、分析、執筆
- データ収集の道具:言葉、数字、またはその両方のどれを生むかで分けた方法。
- コーディングと統計:言葉と数字を分析するための方法。
- 考察と統合:分析を問いと理論に結びつけること。
批判的分析
長所
- プロジェクトの形に沿っている。 章の順序が学位論文の各部分に対応し、各章は読者がプロジェクトのどこにいるかを示している。
- デザインの枠組みと道具の幅広い扱い。 第7章は各デザインの枠組みに独立した節を与え、第8章は得られるデータの種類で道具を分けており、問いに合う方法を選ぶ助けになる。
- 実践的な補助。 各章の末尾に概要、推薦文献、チェックリストがあり、序文は各章で改訂されたDIY活動を挙げている。
- 二つのレベルに対応。 序文は、学部生向けにも大学院生向けにも特化せず、教育と社会科学の学生全般に向けて書いたと述べている。
短所
- 深さより幅。 一冊でプロジェクト全体を扱うため、統計的推測や専門的な質的方法は入門的な扱いにとどまり、深く学ぶには専門書が要る。
- 章番号の変更。 方法論が3章にまたがるようになり、前の版の章との対応が単純ではない。
- AIに関する内容は新しい。 AIツールは第3章の新しい節と剽窃の議論に登場する。その利用に関する規則は機関ごとに異なるため、各自で確認する必要がある。
コースにおける位置づけ
Thomasは、このコースにある二冊の初めての研究プロジェクト向けガイドの一つである。Bell, Waters and JohnsonのDoing Your Research Projectは、初めて研究をする人向けに似た範囲を扱う。どちらも学位論文の中心的な手引きとなり、説明がしっくりこないときは他方の該当章を読むと助けになる。Thomasはアプローチ、デザイン、デザインの枠組みを別の章に分けているため、より大部の教科書への橋渡しとして役立つ。
プロジェクトが進んだ段階では、コースにはより詳しい本がある。Creswell and GuettermanのEducational Researchは量的・質的・混合研究法を、注釈付きの既刊研究とともに扱い、Cohen, Manion and MorrisonのResearch Methods in Educationは包括的な参考書である。大学院では、Tisdell, Merriam and Stuckey-PeyrotのQualitative Researchが質的デザインをより深く扱い、Murnane and WillettのMethods Matterが教育プログラムの評価における因果推論を論じる。
本書の使い方
本書は、教育および応用社会科学で初めての研究プロジェクトや学位論文に取り組む学部生・大学院初期の学生向けで、研究経験は前提としない。
進め方の例:まず第1章と第2章で、仮の研究課題、スケジュール、倫理手続きを定める。文献を検索する間は第3章と第4章を読み、考えが固まるにつれて研究課題に戻る。方法を選ぶ前に第5・6・7章をまとめて読み、第8章のデータ収集の道具がデザインから導かれるようにする。データ収集の前に第9章と第10章に目を通し、分析と執筆に求められることを把握しておく。DIY活動は出てきた時点で行い、チェックリストはプロジェクトの点検に使い、助言について指導教員と話し合う。序文は指導教員によって期待が異なると述べ、自分の指導教員の言うことに従うよう勧めている。
