01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Freire, P. (2018). Pedagogy of the Oppressed (M. B. Ramos, Trans.; 50th anniversary ed.). Bloomsbury Academic. (Original work published 1968; English translation first published 1970)
章の要約
フレイレの本文は、番号の付いた4つの章から成る短い議論で、1968年にポルトガル語で、1970年に英語で刊行された。50周年記念版(約220ページ)は、翻訳本文の前後に新しい資料を加えている。ドナルド・マセド(Donaldo Macedo)による序文、アイラ・ショア(Ira Shor)による後書き、9人の現代の研究者(Marina Aparicio Barberán、Noam Chomsky、Ramón Flecha、Gustavo Fischman、Ronald David Glass、Valerie Kinloch、Peter Mayo、Peter McLaren、Margo Okazawa-Rey)へのインタビュー、そしてリチャード・ショール(Richard Shaull)による1970年英語版への序文である。4つの章は題名ではなく番号で示され、それぞれに一連の主題が挙げられている。
50周年記念版序文と前書き
マセドの新しい序文が巻頭に置かれ、ショールによる1970年英語版の序文も残されている。出版社は、この版が新しい世代の教育者、学生、一般読者を刺激することを意図しており、恒久的な下層階級が生み出されつつある社会にとってフレイレの議論が今なお切実であることを強調している。
第1章
「被抑圧者の教育学」の正当化を述べる。挙げられている主題は、抑圧者と被抑圧者の矛盾とそれをどう克服するか、抑圧者の側から見た抑圧と被抑圧者の側から見た抑圧、そして、贈り物でも自己達成でもなく相互的な過程としての解放である。
第2章
二つの対立する教育観を論じる章。「銀行型」教育観を抑圧の道具として、その前提とともに批判し、それに対して解放の道具としての課題提起型教育観を対置する。挙げられている主題には、教師と生徒の矛盾と、課題提起型教育がそれをどう乗り越えるか、世界を媒介とする相互的な過程としての教育、そして、自らの未完成を意識し、より十全な人間になろうとする未完成の存在としての人間が含まれる。
第3章
自由の実践としての教育の本質として「対話学」を展開する。主題には、対話学と対話、プログラム内容の探究、人間と世界の関係、「生成テーマ」と教育のプログラム内容、生成テーマの調査とその方法論、その調査による批判的意識の覚醒、調査の諸段階が含まれる。
第4章
反対話と対話を、対立する文化的行動の理論の母型として対比する。前者は抑圧の道具、後者は解放の道具である。反対話的行動の理論は征服、分割統治、操作、文化的侵略を特徴とし、対話的行動の理論は協力、連帯、組織、文化的総合を特徴とする。
後書きとインタビュー
ショアの後書きと現代の研究者へのインタビューが50周年記念版を締めくくる。これらは本文への論評であり、フレイレの4つの章の一部ではない。
主要概念
第1章
- 抑圧者と被抑圧者の矛盾:章が分析する中心的な関係と、それをどう克服するかという問い。
- 相互的な過程としての解放:解放は贈り物でも、一人で成し遂げるものでもないとされる。
第2章
- 「銀行型」教育観:章が抑圧の道具として批判する教育のモデル。
- 課題提起型教育:解放の道具として示されるもう一つの教育観。
- 教師と生徒の矛盾:課題提起型教育が乗り越えようとする、教師と生徒の対立。
- 未完成の存在:人間を、自らの未完成を意識し、より十全な人間になろうとする存在とみる見方。
第3章
- 対話学:自由の実践としての教育の本質。
- 生成テーマ:人間と世界の関係にかかわるテーマで、教育のプログラム内容は調査を通じてここから引き出される。
- 批判的意識:生成テーマの調査が目覚めさせようとするもの。
第4章
- 反対話的行動:征服、分割統治、操作、文化的侵略を特徴とする。
- 対話的行動:協力、連帯、組織、文化的総合を特徴とする。
批判的分析
長所
- 簡潔で緊密に組み立てられた議論。 目録に挙げられた主題の一覧は、本文が明快な順序で進むことを示している。抑圧者と被抑圧者の関係(第1章)、二つの教育観(第2章)、対話的方法とその調査(第3章)、文化的行動の理論(第4章)である。本文全体が4章なので、数回で読み通せる。
- 他の研究にも引き継がれる用語。 「銀行型」教育、課題提起型教育、対話、生成テーマは本文中で定義され、のちの批判的教育学の著作が取り上げる概念でもあるため、原典を読むとその文献が理解しやすくなる。
- 50周年記念版が与える文脈。 新しい序文、後書き、複数の国と伝統の研究者へのインタビューが、1960年代末に初めて刊行された本文に現在からの視点を与える。
短所
- 教育の最初の一冊としては密度が高く抽象的。 主題の一覧からは、重なり合う概念と対比で組み立てられた本文であり、教室での手順にはほとんど触れていないことがうかがえる。指導技術を求める読者は、コースの他の本が必要になる。
- 周辺の資料は論評であり、フレイレ自身の文章ではない。 序文、後書き、インタビューは各執筆者の読みと関心を反映している。有用だが、4つの章自体の主張とは区別して扱うべきである。
- 本文に時代の刻印を与える言葉遣い。 フレイレの女性の扱いに関するブラジルの研究(Roteiro、2016年)は、フレイレが後に、本書の言葉遣いは性差別的だというフェミニストの批判を受け入れたと報告している。読者は、翻訳本文にジェンダー化された表現があることを心得ておくとよい。
- 特定の時点から来た翻訳。 本書は1968年にポルトガル語で初めて刊行され、英語の読者はミラ・バーグマン・ラモス(Myra Bergman Ramos)の翻訳を通じて読む。別の時代や場所に適用する読者は、その範疇がどこまで通用するかを考える必要がある。
コースにおける位置づけ
「教育の基礎」の書籍リストの中で、Pedagogy of the Oppressed は批判的教育学の中心的テクストである。Gary Thomas の Education: A Very Short Introduction は教育をめぐる大きな問いへの簡潔な入門で、フレイレの前に読むのによい。Nel Noddings の Philosophy of Education は古典哲学者からデューイまでの教育思想を概観し、John Dewey の Democracy and Education は民主的社会と教育の結びつきを論じた古典である。デューイの How We Think は反省的思考と探究を扱う。
フレイレと併せて読むのに最も向く本が二冊ある。教室が自由の場になりうると論じる批判的教育学のテクスト、bell hooks の Teaching to Transgress と、制度化された学校教育を批判し、義務的な制度の外で学びをどう組織できるかを問う Ivan Illich の Deschooling Society である。Jarvis Givens の Fugitive Pedagogy は黒人の教育思想の歴史で、制約のもとでの教育の歴史的事例を知りたい読者に向く。
本書の使い方
本書は、教育学および関連分野の学生、そして参加型や解放的なアプローチの背後にある哲学に関心のある教師や地域の教育者に向く。形式的な前提条件はないが、教育哲学を少し読んでおくと、議論を位置づけやすい。
実用的な計画は次のとおり。
- 中核: まず第2章。銀行型と課題提起型の対比が本書の中心的な教育学的着想だからである。続いて前提を知るために第1章、対話がどのように方法になるかを知るために第3章。
- その次: 文化的行動の理論を知るために第4章。
- 本文の周辺: 50周年記念版の序文は各章を読んだあとに読む。先に議論そのものに触れてから論評を見るためである。インタビューは関心に応じて拾い読みしてよい。
- 着想を試す: 自分が参加した授業やワークショップについて短い記述を書き、それが銀行型と課題提起型のどちらに近かったか、なぜかを考える。教育哲学の用語に不慣れなら先に Thomas か Noddings を読み、あとで hooks か Illich を読んで他の批判的立場を知る。
