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マインドセット:成功の新しい心理学 cover

教育学

教育学

マインドセット:成功の新しい心理学

Carol S. Dweck

英語原題: Mindset: The New Psychology of Success

知能や能力についての信念が学習や達成にどう影響するかを論じる一般向けの本で、固定マインドセットと成長マインドセットの対比を軸にする。この考えを学校、スポーツ、ビジネス、人間関係、親・教師・コーチの役割に当てはめ、最後にマインドセットの変え方を扱う。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
成長マインドセット学習心理学動機能力についての信念教育心理学達成

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Dweck, C. S. (2016). Mindset: The New Psychology of Success (Updated ed.). Ballantine Books.

章の要約

Mindset は一般読者向けの本で、導入のほか8つの章、注、推薦図書、索引から成る。図書館で目録化されている Ballantine のペーパーバックは約280ページである。出版社は、著者を「成長マインドセット」を広く世に知らしめた心理学者として紹介し、更新版では「偽の成長マインドセット」の議論が加わり、この考え方が個人から集団や組織の文化へと広げられたと説明している。

導入

目録上の目次には、第1章の前に導入が置かれている。出版社の紹介によれば、本書は、学校、仕事、スポーツ、芸術などの多くの領域での成功が、自分の才能や能力をどう考えるかに大きく左右されうることを示すものであり、導入はこの主張へと導く。

第1章:The Mindsets(マインドセット)

本書全体を貫く二つのマインドセット、固定マインドセットと成長マインドセットを定義する。各節では、人はなぜ違うのかを問い、「二つのマインドセット」とそれぞれから見える世界を説明し、自己洞察(自分の長所と限界を正確に見ているのは誰か)を論じ、以降の章の内容を予告する。

第2章:Inside the Mindsets(マインドセットの内側)

それぞれのマインドセットが学びの内面的な経験をどう形づくるかを見る。各節は、成功を学ぶことと捉える見方と、自分が賢いことを証明することと捉える見方を対比し、そのうえで、マインドセットが失敗の意味と努力の意味をどう変えるかを取り上げる。章末には質疑応答の節がある。

第3章:The Truth About Ability and Accomplishment(能力と達成についての真実)

学業成績と「生まれつきの才能」という考え方に目を向ける。各節は、マインドセットと学業成績、芸術的能力は天賦のものか、称賛とポジティブなレッテルの危うさ、そしてネガティブなレッテルがどう働くかを扱う。

第4章:Sports: The Mindset of a Champion(スポーツ:チャンピオンのマインドセット)

この枠組みをアスリートに適用する。各節は、「天才」という考え方、「人格」という言い方、成功と失敗の定義、成功を自分で掌握すること、スターであるとはどういうことか、そして選手の言葉に「マインドセットを聞き取る」ことを論じる。

第5章:Business: Mindset and Leadership(ビジネス:マインドセットとリーダーシップ)

組織へ話を移す。エンロンと「才能マインドセット」から始め、成長する組織とそうでない組織を対比し、マインドセットと経営判断に関する研究を検討する。続く節では、固定マインドセットと成長マインドセットのリーダーの行動、集団のプロセス、交渉者・管理者・リーダーは「生まれか育ちか」、そして組織のマインドセットを扱う。

第6章:Relationships: Mindsets in Love (or Not)(人間関係:恋愛におけるマインドセット(そうでない場合も))

この考え方を親密な関係に広げる。各節には、恋に落ちるときのマインドセット、敵としてのパートナー、競争、関係の中での成長、友情、内気さ、いじめる側といじめられる側が含まれる。

第7章:Parents, Teachers, and Coaches: Where Do Mindsets Come From?(親・教師・コーチ:マインドセットはどこから来るのか)

教育者にとって最も関係の深い章。成功と失敗について親や教師が送るメッセージ、すぐれた教師や親とはどういうものか、コーチングを扱う。目録上の目次には、この章の終わりに「False Growth Mindset」と「Our Legacy」の節も挙げられている。

第8章:Changing Mindsets(マインドセットを変える)

実践的な締めくくりの章。変化の性質、マインドセットの講義とワークショップ、「Brainology」、成長に自分を開くこと、変わりたがらない人々、子どものマインドセットを変えること、マインドセットと意志力、変化を維持すること、「(真の)成長マインドセットへの旅」を扱う。

主要概念

導入と第1〜3章

  • 固定マインドセットと成長マインドセット:能力についての二組の信念で、本書の対比の軸。第1章の題名で示され、全体で使われる。
  • 学ぶことと、賢さを証明すること:二つのマインドセットで「成功」の意味がどう異なるかについて、第2章が行う対比。
  • 失敗と努力の意味:第2章の二つの節のテーマ。この章は、マインドセットが失敗と努力の意味をどう変えるかを軸に組み立てられている。
  • 称賛とレッテル:第3章は、称賛とポジティブなレッテルの危うさ、またネガティブなレッテルについて述べる。

第4〜6章

  • 「天才(ナチュラル)」:第4章がスポーツで検討する、生得的才能への信念。
  • 生まれか育ちか:第5章が交渉者、管理者、リーダーについて投げかける問い。
  • 組織のマインドセット:個人から集団の文化への拡張。

第7〜8章

  • 偽の成長マインドセット:この考え方の歪んだ形で、出版社は更新版の新しい内容として強調している。
  • Brainology:第8章の一節の名称で、マインドセットを変える試みの一つとして挙げられている。
  • 変化の維持:第8章の一節。同章は変化の性質や変わりたがらない人々も扱う。

批判的分析

長所

  • 一般読者向けに書かれ、読みやすい。 専門家ではなく一般の読者を対象にしている。出版社は、親・教師・コーチにとって必読と評した Library Journal の星付き書評を引用している。
  • 一つの考えを複数の領域にたどる。 第4章から第7章は、同じ二つのマインドセットの対比をスポーツ、ビジネス、人間関係、子育てに適用しており、一つの枠組みがさまざまな場面でどう使われるかが分かる。
  • 教育に直接つながる。 第3章(称賛、レッテル、学業成績)と第7章(親・教師・コーチが送るメッセージ)は教室に関わる問いを扱い、第8章はマインドセットワークショップや子どものマインドセットを含め、マインドセットを変える試みを扱う。
  • 出典をたどれる。 巻末の約20ページの注と推薦図書により、読者は本書の主張を研究文献までたどることができる。

短所

  • 本書の外では証拠をめぐる議論がある。 Macnamara と Burgoyne による Psychological Bulletin(2023年)のメタ分析は、学業成績に対する成長マインドセット介入の研究63件を検討し、研究の質とバイアスを考慮すると平均効果は非常に小さいと報告した。別のメタ分析は異なる結論に達しており、本書による研究の楽観的な読み方は、その後の研究と照らして確かめる必要がある。
  • 技術的ではなく一般向けの扱い。 各章は複数の領域の物語や事例を軸に構成され、その背後の研究は注で示される。方法、測定、統計を知りたい学生は原典の研究に当たる必要がある。
  • 教育に関しては深さより幅広さ。 学校での学びを直接扱うのは本書の一部(主に第3、7、8章)で、スポーツ、ビジネス、人間関係の各章は教育心理学の授業にとって直接の有用性が低い。

コースにおける位置づけ

このコースの書籍リストの中で、Mindset は動機づけと能力についての信念を扱う、最も短く、最も一般向けの本である。Jeanne Ormrod らの Educational Psychology: Developing Learners は、発達、認知、動機づけ、文脈を分野全体にわたって扱う教師向けの教科書で、Dale Schunk の Learning Theories は、動機づけや自己調整学習を含む主要な学習理論の概観である。どちらも Dweck の主張を位置づけるための理論的な枠組みを与えてくれる。

Daniel Willingham の Why Don't Students Like School? は、認知科学が教師に何を提供できるかを読みやすく述べたもので、Mindset と組み合わせると、このテーマの最初の読書に向く。How People Learn II は生涯にわたる学習に関する合意報告書であり、Handbook of Educational Psychology は研究ハンドブックである。一人の著者の枠組みを超えて、学習と動機づけの証拠を知りたいときは、この二冊に当たるとよい。

本書の使い方

Mindset は、教育心理学を初めて学ぶ読者、教員志望者、親、コーチに向く。予備知識は不要で、心理学の素養を前提としていない。

実用的な読書計画は次のとおり。

  • 教育者にとっての中核: 概念は第1章と第2章、達成と称賛は第3章、大人の役割は第7章、変化への試みは第8章(「False Growth Mindset」の節を含む)。
  • 任意: 第4章から第6章(スポーツ、ビジネス、人間関係)は他の場面でこの枠組みを示すもので、選んで読んでよい。
  • 併読: 第3章または第7章を読んだあと、動機づけの教科書の該当部分を読み、注を使って原典の研究を探す。教室での結論を出す前に、Macnamara と Burgoyne の論文のような批判的なメタ分析を読み、主張がどう検証されるかを考えてから受け入れる。