01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ormrod, J. E., Anderman, E. M., & Anderman, L. H. (2023). Educational Psychology: Developing Learners (11th ed.). Pearson.
章の要約
第11版は15章から成る。教えることと教育心理学を扱う導入の章の後に、発達と多様性、学習と動機づけ、教室での方略という三つの部が続く。ピアソンは本書のアプローチを、理論と応用の間を行き来するものと説明している。読者はまず自分自身の学習を振り返ることで概念を理解し、次にそれを教師としてどう応用するかを示される。その際、教室の例や実際の子どもたちの作品などの資料が用いられる。著者たちの序文は、以前の版から引き継がれた特徴として、会話的な文体、「Experiencing Firsthand(自分で体験する)」という囲み、整理のための表や図、各章での発達と多様性への注目、そして教室での応用の一貫した重視を挙げている。この版について著者たちは、現職教師に必要のない細かな研究上の詳細を削り、15章すべてを更新し、テクノロジーを本書全体で論じたと述べる。テクノロジーは授業の道具としても、生徒の生活の一部としても扱われる。ジーン・オームロッドが第1章と第6〜9章を、エリックとリンリー・アンダーマンが第2〜5章と第10〜15章を改訂した。この版はeTextとMyLab Educationと組み合わせて販売されており、それらには確認小テスト、応用演習、教員資格試験の事例分析、解説動画が含まれる。
第1章:Teaching and Educational Psychology(教えることと教育心理学)
導入の章は、教育心理学を教えることに役立つ学問として示し、研究と教室での判断とを結びつけるという本書の姿勢を打ち出す。
第I部:Development and Diversity(発達と多様性)(第2〜5章)
- 第2章 Cognitive and Linguistic Development(認知と言語の発達):子ども期から青年期にかけて思考と言語がどう発達するか。
- 第3章 Personal and Social Development(人格的・社会的発達):第2章で扱う認知面と並ぶ、発達の人格的・社会的な側面。
- 第4章 Group Differences(集団間の差異):学習者の集団間の違い。序文によれば、多様性は各章の中でも論じられている。
- 第5章 Individual Differences and Special Educational Needs(個人差と特別な教育的ニーズ):特別な教育的ニーズのある生徒を含む、個々の生徒の違い。
第II部:Learning and Motivation(学習と動機づけ)(第6〜11章)
- 第6章 Behaviorist Views of Learning(学習の行動主義的見方):観察可能な行動とその結果によって学習を説明する。
- 第7章 Learning, Cognition, and Memory(学習、認知、記憶):情報がどう処理され、保存され、想起されるかについての認知的な説明。
- 第8章 Complex Cognitive Processes and Self-Regulation(複雑な認知過程と自己調整):高次の思考と、生徒が自分の学習を調整すること。
- 第9章 Learning and Cognition in Context(文脈の中の学習と認知):文脈の中で捉えた学習と認知。ピアソンがこの版で統合的に扱っているとするテーマの一つである。
- 第10〜11章 Motivation: Confidence, Values, and Needs; Motivation, Affect, and Engagement(動機づけ――自信、価値、欲求/動機づけ、感情、エンゲージメント):生徒がなぜ学習に取り組むのかを、自信や価値から感情やエンゲージメントまで二章にわたって扱う。
第III部:Classroom Strategies(教室での方略)(第12〜15章)
- 第12章 Creating a Setting Conducive to Learning(学習を促す環境をつくる):学習の場としての教室環境。
- 第13章 Instructional Strategies(教授方略):教え方のアプローチ。
- 第14章 Classroom Assessment Strategies that Promote Learning(学習を促進する教室での評価方略):測定するためだけでなく、学習を支えるために用いる評価。
- 第15章 Summarizing Students' Achievements and Abilities(生徒の達成と能力をまとめる):生徒の達成と能力をどうまとめ、報告するか。
主要概念
第1章と第I部
- 教育心理学:教えることの基盤としての、学習、発達、動機づけの研究。
- 認知と言語の発達:年齢に伴う思考と言語の変化。
- 人格的・社会的発達:人格的・社会的な領域での成長。
- 集団間の差異と個人差:特別な教育的ニーズを含む、学習者間のばらつき。
第II部
- 行動主義的な学習:結果によって形づくられる行動の変化としての学習。
- 認知と記憶:情報がどう処理され記憶されるか。
- 自己調整:学習者が自分の学習をコントロールすること。
- 文脈の中の学習:認知の社会的・文化的な背景。
- 動機づけと感情:エンゲージメントの源としての自信、価値、欲求、感情。
第III部
- 学習を促す環境:学習を支える教室の条件。
- 教授方略:生徒の学び方に合わせた教え方。
- 学習のための評価と総括的な評価:学習を促進する教室での評価と、達成や能力のまとめ。
批判的分析
長所
- 未来の教師のために書かれている。 序文は会話的な文体を掲げ、現職教師に必要のない研究上の詳細を意図的に削ったと述べている。ピアソンは、実際の教室からの具体例や本物の資料を強調している。
- 自分自身の経験から学ぶ。 序文が本書の以前からの要素として挙げる「Experiencing Firsthand」の囲みは、教師として応用する前に自分自身の学習を振り返って概念を理解するという出版社の説明に合致している。
- 各章での発達と多様性。 発達、集団間の差異、個人差を扱う専用の章に加えて、序文によれば各章が発達上の問題と多様性を考慮している。ピアソンは、テクノロジー、学習の文脈、神経心理学を統合的に扱っている点も強調している。
- 明快な三部構成。 学習者から始まり、学習と動機づけの理論を経て教室での実践に至る。授業は本書の順序どおりに進めることができる。
短所
- 深さより幅。 15章で分野全体を扱い、著者たちは具体的な研究結果を削ったと述べている。研究の基盤を必要とする学生は、ハンドブックや理論書を併せて読むことになる。
- デジタル教材との結びつき。 双方向的な機能(小テスト、応用演習、教員資格試験の事例、解説動画)の多くは、印刷版ではなくeTextとMyLab Educationにある。
- アメリカの教員養成の枠組み。 教員資格試験の課題などはアメリカの教員養成向けに作られており、他国の読者は自国の制度に合わせて読み替える必要がある。
コースにおける位置づけ
本書はこのコースの総合的な教科書であり、教職を目指す学生が最初に読む本としてふさわしい。他の二冊も、異なる形で同じ初期段階に向いている。ダニエル・ウィリンガムの Why Don't Students Like School? は、記憶、注意、練習について認知科学が何を言っているかを短く読みやすく説明した本で、第7〜8章の生き生きとした併読書になる。キャロル・ドゥエックの Mindset は能力についての信念を扱う一般向けの本で、動機づけの章と関連が深い。
第II部をさらに深めるには、デイル・シャンクの Learning Theories: An Educational Perspective が行動主義、認知、社会的認知、構成主義の理論を詳しく比較している。全米アカデミーズの報告書 How People Learn と How People Learn II は、文脈や文化を越えた学習に関する研究を総合しており、後者はオンラインで無料で読める。ピアジェの The Child's Conception of the World は発達心理学の古典的な原典で、第2章と併せて読むとよい。シュッツとミュイスの Handbook of Educational Psychology はこの分野の研究ハンドブックであり、本書の要約の背後にある学術文献を必要とする読者向けである。
本書の使い方
本書は教員養成課程の学生を対象としており、通常は教育心理学の最初の授業で使われる。心理学の予備知識は必要ない。
- 中核: 第1章、次に教育心理学のどの授業でも中心となる第II部(第6〜11章)。第6〜9章は順に読むこと。行動主義の見方から認知、複雑な過程、文脈の中の学習へと進んでいく。
- 発達と多様性: 第2〜5章。小学校の教師を目指す学生は第2章をじっくり学び、すべての読者が第4〜5章を学ぶとよい。
- 実践: 第12〜15章は、教育実習の最中か直前に読むのが最もよい。評価の章を実際の課題で試せるからである。
「Experiencing Firsthand」の活動は飛ばさずに取り組むこと。それが本書が概念を読者自身の学習に結びつける方法である。授業でMyLab Educationを使う場合は、各章の後に確認小テストを使うとよい。それぞれの理論について、自分が教えるかもしれない授業にとってどんな意味を持つかを一段落で書き、第13章の方略と比べてみること。特に関心のある章は、シャンクや How People Learn の報告書で掘り下げるとよい。
