01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Hughes, J. E., & Roblyer, M. D. (2023). Integrating Educational Technology into Teaching: Transforming Learning Across Disciplines (9th ed.). Pearson.
章の要約
第9版はピアソンから2022年7月に、2023年の著作権表示で刊行された。ジョーン・E・ヒューズが筆頭著者となり、以前の版の著者であったマーガレット・D・ロブライヤーと並んでいる。全15章からなる。出版社の目次から読み取ると、各章は三つのまとまりに分かれる。基礎を扱う3章、テクノロジーの種類と授業形態を扱う5章、そして出版社がいう12の教科領域をあわせて扱う7つの教科別の章である。
出版社は共通する構成要素を次のように説明している。授業上、カリキュラム上、学習上の問題に対応する授業を設計するために用いるテクノロジー統合の計画モデル。特定の教室の問題を解決するためにテクノロジーをどう選び使うかを示す「Technology Integration in Action」のシナリオ。ISTEの児童生徒向けスタンダード(2016年)や州の基準に対応した授業例。継続的な学習、テクノロジー統合におけるリーダーシップのための方略と自己評価ルーブリックを含む「Teacher Growth」の節。そして授業を計画し、実践し、評価するための「Technology Integration Workshops」である。この版では、デジタル格差に関する要素と、ブレンド型および完全オンラインの授業の計画と実施についての内容が新たに加わった。
第1章–第3章:文脈の中の教育テクノロジー/理論から実践へ/変革的なテクノロジー統合のための学習とリーダーシップ
基礎の章では、教育におけるテクノロジーの文脈を示し、学習理論と実践を結びつけ、副題のいう学習の変革のための計画の方法を提示する。出版社によれば、テクノロジーの利用をどう計画し、選び、評価するかを示すために学習理論と研究に基づく実践が用いられている。第3章の題名は、テクノロジー統合のリーダーとしての教師に対する本書の関心も示している。
第4章–第7章:ウェブとウェブ上のコンテンツ/学習のための教育コンテンツ・ソフトウェア/デザイン、分析、創作/コミュニケーション、協働、ものづくり
デジタルツールの種類を扱う4つの章。ウェブ上の資源、教育内容を提示するソフトウェア、児童生徒がデザインし分析し創作するためのツール、そしてコミュニケーション、協働、ものづくりのためのツールである。
第8章:ブレンド型学習とオンライン学習
ブレンド型および完全オンラインの環境での授業を扱う章で、出版社はこの版で新たに拡充された領域として挙げている。
第9章–第15章:特別支援教育/英語・国語/第二言語・外国語/理科・工学・数学/社会科/音楽・美術/体育・保健におけるテクノロジーを用いた教授と学習
教科別の章で、計画の方法を個々の教科に当てはめる。いくつかの章は複数の領域を扱っており(理科・工学・数学、音楽・美術、体育・保健)、そのため7つの章で12の教科領域に及ぶ。特別支援教育には独立した章がある。
主要概念
第1章–第3章:基礎
- テクノロジー統合の計画:明確にされた授業上、カリキュラム上、学習上の問題に応じてテクノロジーを選ぶための体系的な方法。
- 変革的なテクノロジー統合:テクノロジーを用いて教科を越えて学習を変革するという、副題に示された目標。
- 理論から実践へ:テクノロジーに関する判断を学習理論と研究に基づかせること。
- 教師のリーダーシップ:教師が学校におけるテクノロジー統合のリーダーとして成長すること。
第4章–第8章:ツールと環境
- 教育コンテンツ・ソフトウェア:児童生徒に内容や練習を提示するプログラム。
- デザイン、創作、ものづくり:児童生徒が自分の作品を生み出せるツール。
- コミュニケーションと協働:学習者同士をつなぐツール。
- ブレンド型学習とオンライン学習:対面の授業をオンラインと組み合わせる、あるいはオンラインに置き換える授業。
第9章–第15章:教科
- 教科に即した統合:各教科の目的と実践にテクノロジーを合わせること。
- デジタル格差:テクノロジーへのアクセスの不平等と、それが子どもの教育上の成功に及ぼす影響。この版で新たに重視された点である。
批判的分析
長所
- 全体を貫く計画の枠組み。 本書は、テクノロジーをいつどのように使うかを決めるためのモデルを軸に構成されており、ツールからではなく教室の問題から出発する。これにより、教職課程の学生は新しいテクノロジーにも応用できる方法を手にする。
- 幅広い教科の網羅。 12の教科領域を扱う7つの教科別の章に加え、特別支援教育の章があるため、多くの教科の読者が自分の教科に近い事例を見つけられる。
- 組み込まれた実践。 出版社が説明するシナリオ、基準に対応した授業例、ワークショップ、自己評価ルーブリックは、学生が授業を設計し評価する教科教育法の授業に適している。
- 現在の関心事。 第9版はデジタル格差と、ブレンド型およびオンラインの授業への注意を加えている。
短所
- 学校中心で、アメリカ向け。 授業例はISTEのスタンダードや州の基準に対応しており、本書は教員養成のために書かれている。大学の教員やアメリカ国外の読者は読み替える必要がある。
- ツールはすぐに古くなる。 ソフトウェアやウェブ・コンテンツの種類ごとに構成された章は、版と版の間にどうしても古くなる。個々のツールは例として扱うべきである。
- テクノロジーへの批判は少ない。 本書の目的は効果的な統合であり、テクノロジーを使うべきかどうか、あるいはその商業的・政治的な文脈を問うことは意図していない。
コースにおける位置づけ
教育テクノロジーのリストの中で、ヒューズとロブライヤーの本は実践的な教員養成の教科書である。ニール・セルウィンの Education and Technology: Key Issues and Debates はその批判的な対になる本で、教育テクノロジーをどう統合するかではなく、それをめぐる社会的・政治的な問いを投げかける。2冊を併読すれば、方法と論争の両方が得られる。トニー・ベイツの Teaching in a Digital Age は、授業の設計とメディアや提供形態の選択についてのオープン教科書であり、主に中等後教育での授業を念頭に置いている。
ルース・クラークとリチャード・メイヤーの e-Learning and the Science of Instruction と、メイヤーの Multimedia Learning は、マルチメディア教材を設計するための研究に基づく原理を示しており、概説的な教科書よりも深く、デジタルの授業設計の背後にある証拠を知るための本である。The Cambridge Handbook of the Learning Sciences は、この分野の研究に進もうとする学生のための研究ハンドブックである。
本書の使い方
本書はテクノロジー統合や教科教育法の授業を受ける教職課程の学生に向けて書かれており、体系的な方法を求める現職教員にも役立つ。基本的なコンピュータとインターネットのスキルがあれば十分で、教育テクノロジーの授業を受けたことは前提としない。
実践的な読書計画:
- 中核: 第1章–第3章を順に読む。計画の方法とその学習理論上の根拠は、以降のすべての章で使われるからである。
- ツール: 第4章–第8章は、自分の学校で使えるツールを念頭に置いて読む。オンラインやブレンド型で教える予定のある人にとって第8章は不可欠である。
- 自分の教科: 自分が教える教科の章と、教科を問わず関係する特別支援教育の章を読む。
「Technology Integration in Action」のシナリオに取り組み、少なくとも一つのTechnology Integration Workshopで自分の教科の授業を設計し評価してみるとよい。授業の初めと終わりにTeacher Growthの自己評価を使って成長を確かめる。計画する授業の前提を検証するために、セルウィンの本を並行して読むとよい。
