01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Thomas, G. (2021). Education: A Very Short Introduction (2nd ed.). Oxford University Press.
章の要約
本書はオックスフォード大学出版局のVery Short Introductionsシリーズの一冊(第347巻)である。7つの章が約125ページを占め、その後に参考文献、読書案内、索引が続く。著者のゲアリー・トマスはバーミンガム大学の教育学教授で、以前は教師および教育心理士として働いていた。研究の焦点はインクルージョン、特別支援教育、社会科学の研究方法である。初版は2013年に出た。出版社によれば、第2版は、政治、哲学、社会科学の影響に教育が何世紀にもわたってどう応えてきたかをたどる。特に、進歩主義的な教育と形式的な教育をめぐる論争、そしてアメリカとイギリスにおけるチャーター・スクール、アカデミー、「フリー」スクールの広がりに注目している。出版社によれば、この版で新しく加わったのは、COVID-19のパンデミック下でのオンライン学習への移行を踏まえたカリキュラムの見直し、人種、ジェンダー、社会的不平等への取り組みがなぜほとんど成果を上げていないのかという議論、教育は社会移動の原動力であるという主張への疑問、そして今後一世紀に教育がどう発展しうるかについての考察である。
第1章:Beginnings(始まり)
公式な教育の起源を扱う。出版社の紹介は、知識を学習者の集団に伝えるための特別な場を設けた古代エジプト人から説き起こしている。アンソニー・フェイラーが Times Higher Education に書いた初版の書評は、古代ギリシアとローマの教育についての生き生きとした記述に触れ、それが何千年たってもほとんど変わっていないことを示していると述べている。
第2章:Oil and water: the formal and the progressive(水と油――形式主義と進歩主義)
本書の中心にある対立、すなわち教師主導の形式的な教育と、子ども中心の進歩主義的な教育を扱う。フェイラーは、実際の教師が純粋な形式主義者や進歩主義者であることはまれで、クラスに応じてスタイルを切り替えるというトマスの指摘を紹介している。
第3章:The traditions unfold: ideas into practice(伝統の展開――考えから実践へ)
形式主義と進歩主義の伝統がどのように実践に移されたかを扱う。フェイラーは例として、18世紀のパリにおけるルソーの子ども中心の考えの衝撃と、子どもの遊びに対する心理学者スーザン・アイザックスの関心についての議論を挙げている。
第4章:Big ideas from the 20th century(20世紀の大きな考え)
学校教育を形づくった20世紀の主要な考えを扱う。本書の索引語にはデューイ、A・S・ニイル、ハドー報告とプラウデン報告、レッジョ・エミリア・アプローチが含まれており、言及の幅がうかがえるが、公開情報からはそれぞれがどの章で扱われているかはわからない。
第5章:Analysts and theorists: what did they ever do for us?(分析者と理論家――彼らは私たちに何をしてくれたのか)
学習の理論家たちと、彼らが教授法に与えた影響を扱う。フェイラーは、B・F・スキナーのような行動主義者からピアジェやヴィゴツキーのような発達心理学者までをわかりやすく概観していると述べており、出版社もピアジェとヴィゴツキーの名を挙げている。
第6章:The curriculum(カリキュラム)
何を教えるべきかを扱う。出版社による第2版の紹介によれば、パンデミックがオンライン学習を加速させた後、トマスは急速に変化する世界の中でカリキュラムがどのような形をとるべきかを改めて考えている。
第7章:Schools out(学校の外へ)
最終章は最も批判的である。フェイラーによれば、初版のこの章でトマスは学校が軍隊式に運営されていると描き、「成果志向で教育的に不毛な」西洋のモデルを批判し、学業不振の原因を子どもの内にある「困難」ではなく貧困に求め、学校の廃止を唱えたイヴァン・イリイチの提案に一節を充てている。不平等、社会移動、教育の将来についての第2版の新しい問いは、この章の関心と重なる。
主要概念
第1〜3章
- 形式主義的教育と進歩主義的教育:教師主導の授業と子ども中心の学習とを対比する、本書の軸となる対立。
- 伝統から実践へ:教育の考えが現実の学校の日常的なやり方になっていく過程。
第4〜5章
- 20世紀の改革思想:学校教育を作り変えた運動と公式報告書。
- 学習理論:行動主義と発達心理学の説明(スキナー、ピアジェ、ヴィゴツキー)と、それが教授にとって持つ意味。
第6〜7章
- カリキュラム:学校が何を教え、それがどう変わるべきか。
- 教育と不平等:社会移動という学校教育の約束と、その結果との隔たり。
- 脱学校化:制度としての学校に反対するイリイチのラディカルな議論。
- 新しいタイプの学校:チャーター・スクール、アカデミー、フリー・スクール。
批判的分析
長所
- 非常に短く読みやすい。 本文は約125ページで、一日で読み通せる。フェイラーは初版の軽やかな筆致とユーモアを称賛し、教育を初めて学ぶ読者にも研究者にも役立つと評価した。
- 明快な問い。 形式主義と進歩主義の対比によって、初学者は歴史、理論、政策を一本の筋に沿ってたどることができる。フェイラーは議論がおおむねバランスがとれていると見ている。
- 幅広さ。 小さな紙幅の中で、古代の学校教育から啓蒙期と20世紀の思想家、学習理論、カリキュラム、現在の政策までを扱う。
- 2020年代に合わせた更新。 出版社の説明によれば、第2版はパンデミック、オンライン学習への移行、そして人種、ジェンダー、社会的不平等を加えている。
短所
- 入門書であると同時に主張の書でもある。 最終章ははっきりと論争的である。フェイラーは、そこで「手袋が外される」と書いている。読者はトマスによる概観と、現在の学校教育に対する彼自身の批判とを区別して読む必要がある。
- イギリスとアメリカに偏った焦点。 政策の例(アカデミー、フリー・スクール、チャーター・スクール、NCLB、初版ではGCSE)はイングランドとアメリカのものであり、他の制度はほとんど扱われない。
- 短さゆえに深さに限界がある。 この長さの本では、デューイ、ピアジェ、ヴィゴツキーのような主要な思想家にもそれぞれ数ページしか割けない。本書はさらに読むべきものへの地図であって、その代わりにはならない。
- 書評は初版についてのもの。 フェイラーのような公刊された書評は2013年版を扱っている。第2版の新しい内容については出版社の説明が主な公開情報なので、古い版を使う場合は何が変わったかを確認するとよい。
コースにおける位置づけ
教育学の基礎のコースにおいて、本書は最も短く最も幅広い出発点であり、原典に進む前の最初の一冊に適している。ネル・ノディングズの Philosophy of Education は性格の異なる入門的概説で、哲学の伝統をたどり、知識、倫理、平等、学校教育の目的といった問いに哲学の道具を適用している。哲学的な議論をさらに深く知りたい読者にとって、自然な二冊目である。
コースの他の本の多くは、トマスの各章の背後にある原典である。デューイの How We Think と Democracy and Education は、第2〜4章で論じられる進歩主義の伝統の背景にある。イリイチの Deschooling Society は、トマスが最終章で取り上げるラディカルな批判の出典である。フレイレの Pedagogy of the Oppressed、ベル・フックスの Teaching to Transgress、ジャーヴィス・ギヴンズの Fugitive Pedagogy は、第2版が提起する抑圧、人種、自由の問いを担っている。まずトマスを読み、その各章を手がかりに、これらのうちどれを通読するかを決めるとよい。
本書の使い方
本書は、教育を学び始めるすべての人、すなわち1年生、教員志望の学生、一般の読者に向いている。教育学、哲学、心理学の予備知識は必要ない。
- 全体を順に読む。 一、二回で読み通せる短さであり、第2章の形式主義と進歩主義という筋が残りの章を貫いている。
- 基礎のコースでの中核の章: 主要な考えと理論家については第2、3、5章、カリキュラムについては第6章、現在の論争については第7章。
- 巻末の参考文献と読書案内を使って 次の一歩を計画する。各章が名前を挙げる思想家の著作の多くは、コースのリストに載っている。
読みながら、形式主義と進歩主義の立場を二列に分けたノートを作り、思想家を一方の側に、あるいはより多くの場合その間のどこかに書き加えていくとよい。第7章を読んだら、トマスの学校教育批判に対する短い応答を書き、それをデューイやイリイチなどの原典一冊と照らし合わせて検討する。イギリスとアメリカ以外の学生は、学校の種類や全国テストなど、本書が提起する政策課題に自国の制度がどう対応しているかを調べるとよい。
