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Essential Mathematics for Economic Analysis(経済分析のための基礎数学) cover

経済学

経済学

Essential Mathematics for Economic Analysis(経済分析のための基礎数学)

Knut Sydsæter; Peter Hammond; Arne Strøm; Andrés Carvajal

英語原題: Essential Mathematics for Economic Analysis

経済学を学ぶ学生に必要な数学を、経済学者が解説した入門教科書である。初歩的な代数から始め、1変数・多変数の微分積分、最適化、線形代数の基礎へと進み、常に手法を経済学の例と結びつけ、多数の例題と練習問題で裏づける。

前提知識: 基本的な代数と関数までの高校数学が前提で、冒頭の章でその内容を復習する。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
mathematics for economists微積分最適化linear algebra教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Sydsæter, K., Hammond, P., Strøm, A., & Carvajal, A. (2021). Essential Mathematics for Economic Analysis (6th ed.). Pearson.

章の要約

第6版は5部20章からなり、そのあとに幾何学の付録、ギリシャ文字一覧、参考文献、演習問題の解答が続く。ピアソン社は本書を、中級レベルで経済学を学ぶのに必要な数学的道具への広範な入門書と位置づけ、初歩的な話題からより高度な話題へと進む構成だと説明している。各章には例題と演習問題が組み込まれ、章末には復習問題がある。この版では構成が改められた。行列代数が多変数の微積分の前に移され、1変数の凹関数・凸関数の章と重積分の章が新設され、最後の4章はすべて最適化に充てられ、制約付き最適化は二つの章に分けられた。

第I部 第1〜5章:準備

第1章(論理と集合論の基礎)は、集合、論理、数学的証明、数学的帰納法を導入する。第2章(代数)は、実数、累乗、分数、不等式、絶対値、符号図、総和記号、二項定理を復習する。第3章(方程式を解く)は、パラメータを含む方程式、二次方程式といくつかの非線形方程式、含意の矢印、2変数の連立一次方程式を扱う。第4章(1変数関数)は、線形モデル、二次関数、多項式、べき関数、指数関数、対数関数を扱い、第5章(関数の性質)は、グラフの平行移動、逆関数、方程式のグラフ、平面上の距離、一般の関数を扱う。

第II部 第6〜11章:1変数の微積分

第6章(微分)は、曲線の傾きと接線から導関数を組み立て、経済への応用、極限への簡単な導入、微分の規則を扱う。第7章(導関数の活用)は、陰関数の微分、逆関数定理、線形近似と多項式近似、テイラーの公式、弾力性、連続性、中間値の定理、数列、ロピタルの定理を扱う。新設の第8章(凹関数と凸関数)は、直観から出発して定義、一般的な性質、1階と2階の導関数による判定、変曲点へと進む。ピアソン社によれば、優勾配と劣勾配も含まれる。第9章(最適化)は、極値点、最大値・最小値の定理と平均値の定理、経済の例を扱う。第10章(積分)は、不定積分と定積分、経済への応用、部分積分と置換積分、無限区間の積分を扱う。第11章(金融と動学の話題)は、実効利率、連続複利、現在価値、等比級数、住宅ローンの返済、内部収益率、そして差分方程式と微分方程式の初歩を扱う。

第III部 第12〜13章:多変数の代数

第12章(行列代数)は、行列とベクトル、連立一次方程式、行列の演算、転置、ガウスの消去法、ベクトル・直線・平面の幾何学を導入する。第13章(行列式、逆行列、二次形式)は、行列式、余因子展開、逆行列、クラメルの公式、レオンチェフ・モデル、そしてこの版で新たに拡充された固有値、対角化、二次形式を扱う。

第IV部 第14〜16章:多変数の微積分

第14章(多変数関数)は、2変数以上の関数、偏導関数、凸集合、凹関数と凸関数、経済への応用、偏弾力性を導入する。第15章(偏導関数の活用)は、連鎖律、等高線に沿った陰関数の微分、代替の弾力性、同次関数と相似拡大的関数、線形近似、全微分、連立方程式の微分を扱う。新設の第16章(重積分)は、二重積分と多変数の積分を扱う。

第V部 第17〜20章:多変数の最適化

第17章(制約なし最適化)は、2つの選択変数から多変数へと進み、必要条件と十分条件、二次の目的関数をもつ線形モデル、最大値・最小値の定理、比較静学と包絡線定理を扱う。第18章(等式制約)は、ラグランジュ乗数法、その解釈、なぜこの方法がうまくいくのか、十分条件、比較静学を展開する。第19章(線形計画法)は、図による方法から始めて双対理論と相補性条件へ進む。第20章(非線形計画法)は、不等式制約と非負制約を扱う。

主要概念

第I部:準備

  • 数学的証明と帰納法:冒頭で導入され、全編を通じて用いられる論証の形式。
  • 符号図と総和記号:不等式を分析し、和を扱うための道具。

第II部:1変数の微積分

  • 弾力性:ある変数の別の変数に対する相対的な変化率で、経済への応用の中心となる。
  • 凹関数と凸関数:その形状によって停留点が最大点または最小点であることが保証される関数。
  • 現在価値と内部収益率:金融の章で扱う評価の道具。

第III〜IV部:行列と多変数の微積分

  • ガウスの消去法とクラメルの公式:連立一次方程式を解く方法。
  • 二次形式と固有値:2階条件を分類するための道具。
  • 同次関数と相似拡大的関数:生産関数や効用関数の性質。

第V部:多変数の最適化

  • 包絡線定理:問題の最適値がパラメータとともにどう変化するか。
  • ラグランジュ乗数:等式制約付き最適化の方法と、そのシャドー・プライスとしての解釈。
  • 双対性と相補性条件:線形計画問題とその双対問題との関係。

批判的分析

長所

  • 幅広く体系的。 20の章が集合論と論理から非線形計画法までを扱い、ピアソン社が中級レベルで経済学を学ぶのに必要と述べる数学的道具を網羅している。証明と帰納法が第1章で導入されるため、学生は技法だけでなく数学的な論証にも触れる。
  • 数学の中に組み込まれた経済への応用。 微分、導関数、最適化、積分、多変数関数の章に経済への応用や経済の例の節があり、弾力性、レオンチェフ・モデル、代替の弾力性、比較静学も扱われる。
  • 解答付きの豊富な演習。 ピアソン社は、多数の例題と演習問題、各章末の復習問題、本とオンラインで提供される演習問題の解答を強調しており、独習に向いている。オンライン課題を使う授業ではMyLab Economicsを利用できる。
  • 第6版の筋の通った構成。 行列代数を多変数の微積分より前に移したことで、2階条件に二次形式と固有値を使えるようになり、最後の4章は最適化に一つの部を与えている。

短所

  • 基礎が弱い学生には速い復習。 第I部は論理と証明から始まり、続く4章で代数、方程式、関数を復習する。学校の代数を忘れかけている学生は、まずより穏やかな本が必要かもしれない。
  • 動学の扱いが少ない。 差分方程式と微分方程式は第11章の末尾の数節で扱われるだけで、動学的最適化は扱われない。
  • 分量が多い。 20章は一つの授業でカバーできる量を超えており、教員は取捨選択する必要がある。

コースにおける位置づけ

このコースの文献リストの中で、シドセーターらの本書は、経済学者のための数学の主要な汎用教科書である。リスとロッサーの Basic Mathematics for Economists はさらに手前から始め、算術と代数を立て直し、金融数学により多くの紙幅を割いている。学校数学が弱い学生にはそちらが最初の一冊として適しており、本書はその後の自然な一歩となる。イアン・ジャックの Mathematics for Economics and Business も、ビジネスと経済学の学生を対象とした教科書である。

チャンとウェインライトの Fundamental Methods of Mathematical Economics は内容の重なりが大きく、経済モデルと動学にさらに踏み込んでいる。同じ道具の別の説明として、あるいは比較静学と動学分析の次の一歩として使える。ブロックとマリアリスの Differential Equations, Stability, and Chaos in Dynamic Economics は、第11章が予告するにとどまる動学を扱う大学院レベルの本である。

本書の使い方

本書は、経済学部の1〜2年生と、中級のミクロ経済学・マクロ経済学に備えるすべての人を対象としている。第I部で復習されるため、学校で学ぶ代数と関数の基礎があれば始められる。

  • 1学期目: 第I部(なじみのある代数は流し読み)と第II部。第6〜9章が中核で、第10〜11章が積分と金融の部分となる。
  • 2学期目: 第III〜V部。中級の経済学には第12〜15章と第17〜18章が中核であり、第16章、第19章、第20章はシラバスに応じて選ぶ。
  • 独習: 解答を見る前に演習問題に取り組み、各章末の復習問題を次に進む前のテストとして使う。

第I部が速すぎると感じる学生は、まずリスとロッサーの前半の章に取り組むとよい。大学院進学を考える学生は、証明を扱う第1章、凹性を扱う第8章、最適化を扱う第17〜20章に特に注意を払うとよい。