01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Drury, C., & Tayles, M. (2023). Management and Cost Accounting (12th ed.). Cengage Learning.
章の要約
本書は26章を6部に分け、約900ページからなる。Cengage は、本書が理論と実務を結びつけ、管理会計の仕事と職業資格試験に必要な内容を網羅すると説明している。各部の流れは、原価の概念から始まり、原価の集計と意思決定のための情報、計画と統制、戦略とデジタルの主題へと進み、最後に定量的手法の補遺で終わる。
第1部、第1〜2章:管理会計入門;原価の用語と概念の入門
管理会計の役割と、以降のすべての章で使う原価の用語を扱う。
第2部、第3〜6章:原価の割当;総合原価計算;連産品・副産物の原価計算;原価集計方式の違いが利益に与える影響
棚卸資産の評価と利益測定のための原価の集計。この部の最終章は、原価集計方式の違いが報告される利益にどう影響するかを比較する。
第3部、第7〜13章:原価・営業量・利益分析;意思決定のための関連原価と収益の測定;価格決定と収益性分析;活動基準原価計算;リスクと不確実性下の意思決定;設備投資の意思決定:評価方法;設備投資の意思決定:資本制約、税、インフレ、リスクの影響
意思決定のための情報の部で、最も分量が多い。短期の意思決定と価格設定、活動基準原価計算、リスクと不確実性下の意思決定、そして2章にわたる投資評価を扱い、後者の章では資本制約、税、インフレ、リスクへと手法を拡張する。
第4部、第14〜19章:マネジメント・コントロール・システム;予算編成の過程;標準原価計算と差異分析(1);標準原価計算と差異分析(2):さらなる側面;事業部の財務業績;事業部制企業における移転価格
計画、統制、業績測定のための情報。統制システム、予算編成、2章に分けた標準原価計算と差異分析、そして移転価格を含む事業部の財務業績を扱う。
第5部、第20〜24章:戦略的業績管理;戦略的コスト・マネジメントと価値創造;管理会計──現在の技術とデータ分析;サステナビリティと環境管理会計;概観と将来への課題
戦略的な業績・コスト管理、デジタル化、サステナビリティ、そして学問分野の将来。Cengage は、データ分析と環境管理会計が今版の新しい章であり、戦略的業績・コスト管理、価値創造、品質管理の扱いも拡充されたとしている。
第6部、第25〜26章:原価の推定と原価態様;在庫の計画と統制のための定量モデル
管理会計への定量的手法の応用に関する補遺。
主要概念
第1〜2部:原価用語と原価集計
- 原価の割当:原価を原価計算対象に割り当てること。
- 総合原価計算、連産品・副産物の原価計算:連続生産と複数の産出物の原価計算。
- 異なる原価集計方式:方式の選択が報告利益に及ぼす影響。
第3部:意思決定のための情報
- 関連原価と関連収益:特定の意思決定に影響すべき項目。
- 活動基準原価計算:活動を通じて原価を集計する方法で、独立した章で扱う。
- リスクと不確実性下の意思決定:結果が確実でないときの意思決定の方法。
- 設備投資の評価:評価方法に加え、資本制約、税、インフレ、リスク。
第4〜6部:統制、戦略、定量的手法
- 標準原価計算と差異分析:標準と差異を2章で扱う。
- 移転価格:事業部制企業の部門間の価格設定。
- 戦略的業績管理:戦略と結びついた業績測定。
- 環境管理会計:サステナビリティに関する新しい章。
- 原価の推定と原価態様:定量的な補遺。
批判的分析
長所
- 用途別の構成。 各部は情報の用途に沿って名づけられている。棚卸資産評価と利益測定、意思決定、計画と統制、戦略的業績である。何のための情報かを問えば、該当する手法が見つかる。
- 意思決定と投資の主題が深い。 リスクと不確実性下の意思決定には独立した章があり、設備投資は2章ある。これに対し Horngren の目次では、資本予算は1章である。
- 試験への対応。 Cengage によれば、各章に「Employability Skills」の問いと会計試験機関の復習問題があり、著者紹介は、Drury の教科書が主要な職業会計団体から試験用に広く推奨されてきたと述べている。
- デジタルとサステナビリティの更新。 第12版は、データ分析と環境管理会計の章を加えた。
- 長い継続性。 本書の初版は1985年に出版された。Colin Drury は2019年に亡くなり、現在は Mike Tayles が改訂を続けている。
短所
- 分量。 896ページは1科目を超えており、読者は章を選ぶ必要がある。
- 定量的な手法が最後にある。 原価の推定と原価態様は巻末の補遺に置かれ、原価・営業量・利益分析から18章も離れている。早い段階で必要な読者は先へ飛ぶ必要がある。
- 試験向けの枠組み。 復習問題は会計試験機関のものであり、職業資格試験の出題範囲を念頭に書かれているため、職業資格を目指さない学位課程の読者には必要以上に感じられるかもしれない。
- 原価集計が意思決定より先。 第2部は意思決定の各章より前にある。意思決定から始める授業では、各部を別の順序で使うことになる。
コースにおける位置づけ
この管理会計コースでは、Drury と Tayles の本は包括的な中級以上の教科書である。その前に、やさしい2冊がある。OpenStax の Principles of Accounting, Volume 2: Managerial Accounting は、原価の概念から予算と設備投資まで進む無料の入門書であり、Seal と Rohde の Management Accounting は Garrison と Noreen の教科書を英国・欧州向けに翻案したものである。
Datar と Rajan の Horngren's Cost Accounting は、同じレベルの主な代替である。米国志向で、「目的が異なれば原価も異なる」を軸にした24章構成であるのに対し、Drury と Tayles はリスク下の意思決定と設備投資に別々の章を割き、試験向けの復習問題を備えている。Merchant と Van der Stede の Management Control Systems は大学院向けの教科書で、第4部の統制、事業部業績、移転価格の主題をより深く扱う。Atrill と McLaney の Management Accounting for Decision Makers も、もう一つの選択肢である。
本書の使い方
本書は、会計、金融、経営学の上級学年の学部生、職業資格試験を準備する学生、そして詳細な参考書を必要とする修士課程の学生に向いている。会計の入門科目を履修しておくことが自然な準備となる。
実践的な読み方は次のとおり。
- 中核: 第1部と第3部(原価用語、原価・営業量・利益分析、関連原価、価格設定、投資)。統制の授業ではさらに第4部(予算、標準原価、事業部業績)。
- 第2部: 授業で製品原価計算と棚卸資産評価を扱うときに読む。意思決定から始める授業では第3部のあとでもよい。
- 第5部: 関心に応じて章を選ぶ。第22章と第23章は、データ分析とサステナビリティの新しい内容である。
- 第6部: 参考として使い、原価態様が必要になったときに第25章を読む。
例題は手で解き、そのあと復習問題に取り組むとよい。試験機関の問題は、職業試験で求められる水準を示してくれる。出版社は、学習ノートを備えた付属ウェブサイトと MindTap のプラットフォームも用意している。
