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Horngren's Cost Accounting(ホーングレンの原価計算) cover

ビジネス

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Horngren's Cost Accounting(ホーングレンの原価計算)

Srikant M. Datar; Madhav V. Rajan

英語原題: Horngren's Cost Accounting

原価計算を簿記の手続きとしてではなく、経営上の意思決定と戦略のための道具として扱う、長く改訂が続く原価計算の教科書です。意思決定の目的が違えば用いるべき原価も異なるという考え方を展開し、価格設定、予算編成、管理、業績評価に応用しています。

前提知識: 財務会計と管理会計の入門科目を修了し、代数と表計算ソフトに慣れていることが前提です。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Datar, S. M., & Rajan, M. V. (2025). Horngren's Cost Accounting (18th ed.). Pearson.

章の要約

目次によれば、本書は24章、約1,000ページからなる。Pearson は、本書が「目的が異なれば原価も異なる」というテーマで構成され、原価計算を手続きの集まりではなく事業戦略の道具として扱うと説明している。章の流れは、原価用語と損益分岐点分析から始まり、原価計算システム、予算と差異、意思決定と戦略、原価配賦を経て、最後に統制と業績測定へ至る。

第1〜3章:マネジャーと管理会計;原価の用語と目的の入門;原価・営業量・利益分析

冒頭の章では、管理会計をマネジャーの仕事の中に位置づけ、原価の用語とその目的を整理し、原価・営業量・利益分析を導入する。

第4〜5章:個別原価計算;活動基準原価計算と活動基準管理

原価を製品や製造指図書にどう割り当てるかを扱う2章で、個別原価計算から活動基準原価計算とそのマネジメントでの利用へと進む。

第6〜8章:総合予算と責任会計;変動予算、直接費の差異とマネジメント・コントロール;変動予算、間接費の差異とマネジメント・コントロール

計画と統制の部分。総合予算と責任会計に続き、変動予算と差異を、直接費の差異と間接費の差異の2章に分けて扱う。

第9〜11章:在庫原価計算と生産能力の分析;原価態様の決定;データ分析的思考と予測

在庫の原価計算と生産能力を扱ったあと、原価態様に進む。Pearson によれば、第11章は今版で改訂され、ビッグデータと最新の分析手法を収益とコストの管理に用いる方法が明確にされた。

第12〜14章:意思決定と関連情報;戦略、バランスト・スコアカード、戦略的収益性分析;価格決定とコスト管理

意思決定に必要な関連情報、戦略からバランスト・スコアカードへのつながり、価格決定とコスト管理を扱う。

第15〜17章:原価配賦、顧客収益性分析、販売差異分析;補助部門費・共通費・収益の配賦;原価配賦:連産品と副産物

配賦に関する章群。顧客への配賦、補助部門からの配賦、連産品と副産物にわたる配賦を扱う。

第18〜19章:総合原価計算;仕損、手直し、くず

総合原価計算に続いて、仕損、手直し、くずのコストを扱う。

第20〜22章:バランスト・スコアカード:品質と時間;在庫管理、ジャスト・イン・タイム、簡素化された原価計算法;資本予算と原価分析

品質と時間に関する業績、在庫管理とジャスト・イン・タイム、そして資本予算。

第23〜24章:マネジメント・コントロール・システム、移転価格、多国籍の観点;業績測定、報酬、多国籍の観点

最後の2章は、統制システム、移転価格、業績測定と報酬を扱い、それぞれ多国籍の観点を含む。Pearson によれば、第23章には製薬会社を題材にした新しい通しの例が加わり、技術系企業が知的財産を海外に保有することが多い理由を説明している。

主要概念

第1〜8章:原価用語、原価計算システム、予算と差異

  • 目的が異なれば原価も異なる:出版社が掲げるテーマで、原価の測り方は意思決定に合わせるべきだという考え方。
  • 原価・営業量・利益分析:営業量に応じて原価と利益がどう変わるか。
  • 活動基準原価計算と活動基準管理:活動を通じて原価を割り当て、その情報を管理に活用する。
  • 変動予算と差異:実際の活動量に合わせて調整した予算と成果を比較し、直接費と間接費に分けて分析する。

第9〜17章:生産能力、意思決定、戦略、配賦

  • 原価態様:活動量の変化に原価がどう反応するか。
  • 関連情報:特定の意思決定にとって意味のある情報。
  • バランスト・スコアカード:戦略と結びついた業績指標の組で、品質と時間に関する章がもう1つある。
  • 連産品と副産物:同時に生じる産出物の共通費を配賦すること。

第18〜24章:総合原価計算、資本予算、統制

  • 総合原価計算;仕損、手直し、くず:連続生産の原価計算と、不良品のコスト。
  • 資本予算:長期投資の分析。
  • 移転価格:同一組織内の部門間の価格設定。
  • 報酬:業績指標と報酬との関係。

批判的分析

長所

  • 全体を貫く1つの考え方。 「目的が異なれば原価も異なる」というテーマが、長い章の連なりに共通の問いを与えている。どの原価の測り方がどの意思決定に合うのか、という問いである。
  • 全体にわたる学習の工夫。 Pearson は、章頭の事例(新版では IKEA の原価戦略が加わった)、「Concepts in Action」コラム、概念や計算のあとの「Try It!」演習、章末問題を挙げている。
  • 最近の話題。 新版は、生成 AI、パンデミックの影響、炭素排出に関する法規制などサステナビリティの内容、そして家具小売業の予算編成やホテルチェーンの業績測定といった商業・サービス業の事例を加えている。
  • モジュール式で柔軟。 Pearson によれば、各モジュールは授業の必要に合わせて調整でき、最初から最後まで順に読まない教員や読者に向いている。

短所

  • 1学期では読み切れない。 24章、約1,000ページは1科目の容量を超えており、読者は取捨選択を迫られる。
  • 一部の原価計算の主題が後ろにある。 総合原価計算と、仕損・手直し・くずは第18〜19章にあり、予算、意思決定、戦略のあとに来る。製品原価計算を先に教える授業では順序の入れ替えが必要になる。
  • 最初の会計の本ではない。 Pearson は学部と MBA の原価計算・管理会計の科目向けに位置づけているので、会計の入門科目を先に履修しておくのが妥当である。
  • 米国向けの演習素材。 Pearson の MyLab の機能には米国公認会計士試験の形式の Becker 問題が含まれ、主に米国の資格に関係する。書中の例も米国と世界経済に言及している。

コースにおける位置づけ

この管理会計コースでは、Horngren は中間に位置する。その下に2つの入門書がある。OpenStax の Principles of Accounting, Volume 2: Managerial Accounting は、原価の概念から予算、差異分析、資本投資へ進む無料の教科書であり、Seal と Rohde の Management Accounting は、Garrison と Noreen の教科書を英国・欧州向けに翻案したもので、この分野に初めて触れる学生を対象とする。

同じレベルでは、Drury と Tayles の Management and Cost Accounting が、職業資格試験を意識して書かれた、分野全体を扱う英国の教科書である。戦略と結びついた、米国志向の枠組みを求める読者には Horngren が代わりの選択肢となる。Atrill と McLaney の Management Accounting for Decision Makers も別の選択肢で、関連原価、原価・営業量・利益分析、全部原価計算の章を持つ。Merchant と Van der Stede の Management Control Systems は、結果・行動・人・文化による統制を軸にした大学院向けの教科書で、Horngren の最後の2章と重なるが、はるかに深く掘り下げる。

本書の使い方

本書は、原価計算や管理会計の科目を履修する学部生と MBA の学生、そして原価計算、予算、業績測定の参考書を必要とする実務者に向いている。財務会計と管理会計の入門科目を終えてから取り組むとよい。

実践的な読み方は次のとおり。

  • 中核: 第1〜3章、第4〜5章、第6〜8章、第12〜14章、第22章。原価用語、原価計算システム、予算と差異、意思決定、価格設定、投資を扱う。
  • 中核と併せて: 第10章(原価態様)は第3章と並べて読むとよく、第11章(データ分析)は読み直す価値がある。
  • 選択的に: 第15〜21章は、配賦、総合原価計算、在庫に関する専門的な主題で、授業の必要に応じて選ぶ。
  • 統制を扱う授業: 第23〜24章。できれば専門のマネジメント・コントロールの教科書と併せる。

「Try It!」の演習を読みながら解き、予算と差異分析を表計算ソフトで作り直すと、数式が各章の提起する価格設定、製品構成、統制の問題と結びつく。