01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bodie, Z., Kane, A., Marcus, A. J., & Racculia, N. (2026). Investments (2026 release). McGraw Hill.
章の要約
出版社は本書を、投資分析の講義を主な対象とする大学院(MBA)レベルの教科書と位置づけている。全28章が7つの部に分かれ、巻末に CFA 問題の参照がある。著者は二つの主題で全体を組み立てている。証券市場はほぼ効率的であり、競争的な市場は参加者に「ただ飯」を与えないこと。そしてリスクとリターンのトレードオフであり、資産配分を重視するとともに、先物・オプション・デリバティブを深く扱う。CFA 協会のカリキュラムとの整合は、設計上の目標として明示されている。各部は、市場と商品から、ポートフォリオ理論、価格決定モデル、債券、証券分析、デリバティブ、ポートフォリオ運用へと進む通常の道筋をたどる。
第I部、第1–4章:投資環境/資産クラスと金融商品/証券はどのように取引されるか/投資信託とその他の投資会社
導入の部で、投資家が置かれる環境、すなわち利用できる商品、取引の仕組み、投資信託などの集合的な投資手段を説明する。
第II部、第5–8章:リスク、リターンと過去の記録/リスク資産への資本配分/効率的な分散投資/インデックス・モデル
ポートフォリオ理論の中核である。過去のリスクとリターンから、リスク・ポートフォリオと安全資産のあいだの選択、多数の証券にわたる分散、そして入力値の推定を簡単にするインデックス・モデルへと進む。
第III部、第9–13章:資本資産価格モデル/裁定価格理論とリスク・リターンの多因子モデル/効率的市場仮説/行動ファイナンスとテクニカル分析/証券収益に関する実証的証拠
均衡価格とその検証。二つの章が期待収益の単一因子モデルと多因子モデルを扱い、続く二つの章は効率的市場仮説を行動ファイナンスやテクニカル分析と対比する。最後の章は収益に関する実証的証拠を検討する。
第IV部、第14–16章:債券価格と利回り/金利の期間構造/債券ポートフォリオの運用
債券:価格と利回り、期間構造、債券ポートフォリオの運用を扱う。
第V部、第17–19章:マクロ経済・産業分析/株式評価モデル/財務諸表分析
トップダウンの証券分析。マクロ経済と産業の状況から、株式評価モデル、財務諸表の読み方へと進む。
第VI部、第20–23章:オプション市場入門/オプションの評価/先物市場/先物、スワップとリスク管理
デリバティブ:オプション市場の仕組み、オプションの評価、そして先物とスワップおよびリスク管理への利用を扱う。
第VII部、第24–28章:ポートフォリオのパフォーマンス評価/国際分散投資/オルタナティブ資産/アクティブ運用の理論/投資方針と CFA 協会の枠組み
ポートフォリオ運用の応用編。パフォーマンス評価、国際分散投資、オルタナティブ資産、アクティブ運用の理論、そして CFA 協会の枠組みに沿って投資方針を扱う最終章である。
主要概念
第I部:序論
- 資産クラスと金融商品:ポートフォリオを構成する証券。
- 投資会社:投資信託を含む集合的な投資手段。
第II–III部:ポートフォリオ理論と均衡
- 資本配分:ポートフォリオをリスク資産と安全資産に分けること。
- 効率的な分散投資:複数の証券を組み合わせてリスクを減らすこと。
- インデックス・モデル:リスクとリターンの推定を簡単にする方法。
- CAPM と APT:期待収益の単一因子モデルと多因子モデル。
- 効率的市場仮説:価格が入手可能な情報を反映するという前提で、行動ファイナンスと対比される。
第IV–VI部:債券・評価・デリバティブ
- 金利の期間構造と債券ポートフォリオの運用。
- 株式評価モデルと財務諸表分析。
- オプション、先物、スワップ:評価とリスク管理での利用。
第VII部:ポートフォリオ運用の応用
- パフォーマンス評価、国際分散投資、オルタナティブ資産、アクティブ運用の理論。
批判的分析
長所
- 主題が明示されている。 出版社は二つの主題、すなわち市場のほぼ効率的な性質とリスク・リターンのトレードオフを挙げており、目次もそれに呼応している。効率的市場仮説、行動ファイナンス、実証的証拠の3章がポートフォリオ理論の章と並ぶ。
- 一冊で幅広く扱う。 7つの部が金融商品、ポートフォリオ理論、価格決定モデル、債券、証券分析、デリバティブ、ポートフォリオ運用を扱い、一冊で投資論の講義全体を支えられる。
- 専門実務との接続。 本書は CFA 協会のカリキュラムと整合しており、最終章と CFA 問題の参照が内容をその枠組みに結びつける。
- デリバティブに十分な紙幅。 第VI部に4章があり、紹介文も先物・オプション・デリバティブの深い扱いをうたっている。
短所
- 分量と取捨選択。 28章は多くの講義が扱える範囲を超え、教員も読者も選択が必要になる。
- 定量的な内容。 本書は大学院レベルの読者を対象とし、インデックス・モデル、多因子モデル、オプション評価などの章は本質的に定量的なため、統計と基礎的な微積分に慣れていると役に立つ。
- 専門性より広さ。 債券とデリバティブにはそれぞれ数章が充てられている。固定収益やデリバティブ価格付けを詳しく学びたい読者は専門書を参照すべきである。
コースにおける位置づけ
Bodie、Kane、Marcus の本は、投資と金融市場の書目における大学院レベルの主要な概説書である。Malkiel の『A Random Walk Down Wall Street』は、市場が証券をどう値付けするかを一般読者向けに語ったもので、効率的市場の内容への準備になる。Jordan、Miller、Dolvin の『Fundamentals of Investments』は実践的な意思決定を重視する入門書であり、Mishkin と Eakins の『Financial Markets and Institutions』は投資が行われる機関と市場を扱う。どちらを先に読んでもよい。
第IV部と第VI部を超えて深めたいなら、専門書がその続きを担う。Tuckman と Veronesi の固定収益の本、Sundaresan の『Fixed Income Markets and Their Derivatives』、Hunt らと Bingham らのデリバティブの教科書である。
本書の使い方
MBA や修士課程の学生、および金融と統計の入門を終えた学部上級生に向く。
- 中核: 第II部(第5–8章)と第9章、第11章。ポートフォリオ理論と市場の効率性の骨格である。
- 次に: 債券の第IV部と、株式評価・財務諸表分析の第18–19章。
- デリバティブ: 債券と基本的なポートフォリオ理論のあとで第20–23章。
- 任意: 市場に不慣れな読者は第I部、第VII部は講義に応じて、CFA を目指す読者は第28章。
- CFA の表示がある問題を解き、章末問題の理解を確かめる。
