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A General Theory of Entrepreneurship: The Individual-Opportunity Nexus(アントレプレナーシップの一般理論:個人と機会の結びつき) cover

ビジネス

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A General Theory of Entrepreneurship: The Individual-Opportunity Nexus(アントレプレナーシップの一般理論:個人と機会の結びつき)

Scott Shane

英語原題: A General Theory of Entrepreneurship: The Individual-Opportunity Nexus

アントレプレナーシップ研究のための統一的な枠組みを提案するスコット・シェーンの研究書。アントレプレナーシップを、企業家的な個人と価値ある機会との結びつきとして捉え、機会がどこから生まれるか、誰がそれを発見し追求するか、資源がどのように集められ事業が組織されるかに関する実証研究を総合する。

前提知識: アントレプレナーシップまたはイノベーションの入門授業を前提とする。実証研究を読み慣れていると役立つ。

難易度レベル
上級
学術レベル
大学院
entrepreneurship theoryentrepreneurial opportunitynew ventures研究monograph

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Shane, S. (2004). A General Theory of Entrepreneurship: The Individual-Opportunity Nexus. Edward Elgar.

章の要約

本書は Edward Elgar 社の「起業研究の新地平(New Horizons in Entrepreneurship)」シリーズに収められた研究書で、Sankaran Venkataraman による序文と全11章からなる。中心にある考え方は、起業とは、起業家精神をもつ個人と価値ある機会とが出会う地点で理解するのが最もよい、というものである。各章は起業プロセスの順序に沿って進み、機会の存在、その発見、開発の決定、資源の調達、そして事業の組織化へと続く。

第1章:序論

この分野に対する包括的な概念枠組みをつくるという目標を示し、後続の章で展開される「個人と機会の結節点(individual-opportunity nexus)」を導入する。

第2章:機会の役割

起業研究の出発点として機会を検討し、そのうえで機会に働きかける人へと関心を移す。

第3章:起業機会の発見

機会がどのように発見されるかを扱う。出版社の内容紹介が本書の中心に据えている二つの過程(発見と開発)のうち、前者にあたる。

第4–5章:個人差と開発の決定/心理的要因と開発の決定

どちらも結節点の「個人」の側を扱う章で、機会が存在するとき、なぜ開発に踏み切る人とそうでない人がいるのかを問う。前者は個人差、後者は心理的要因から切り込む。

第6–7章:起業活動における産業間の差異/起業の環境的文脈

視野を個人から、起業活動が起こりやすい、あるいは起こりにくい条件へと広げる。産業間の違いと、より広い環境が扱われる。

第8–10章:資源の獲得/起業戦略/組織化のプロセス

分析の最後の章は、進めると決めた後の事業を追う。資源の獲得、戦略の選択、企業の組織化である。出版社の紹介にある、機会を組織し開発するための技能と戦略に対応する。

第11章:結論

議論をまとめる。巻末には参考文献と索引がある。

主要概念

第1–3章:枠組みと機会

  • 個人と機会の結節点:本書の中心的な考え方で、起業は起業家精神をもつ個人と価値ある機会との結びつきから生じるとする。
  • 機会:理論の中で独自の位置を与えられ、それを認識する個人とは区別される。
  • 発見:機会が最初に認識される過程。

第4–7章:誰が、どこで開発するか

  • 開発の決定:発見された機会に基づいて行動するかどうかの選択。個人差と心理的要因から検討される。
  • 産業間の差異:部門ごとの起業活動の量の違い。
  • 環境的文脈:起業活動を促す、または妨げる外部条件。

第8–10章:事業を築く

  • 資源の獲得:起業家が機会を追求する手段をどのように得るか。
  • 起業戦略:新規事業が取りうる戦略上の選択。
  • 組織化のプロセス:機会を開発するために企業をどう構成するか。

批判的分析

長所

  • 散在する分野に一つの枠組みを与える。 出版社は本書を、起業プロセスの各部分を一貫した形で説明する包括的な概念枠組みとして紹介している。章の配列もこの主張に沿っており、機会、発見、開発、環境、資源、戦略、組織が一つのプロセスとして扱われる。
  • 幅広い研究の集約。 出版社が掲げる推薦文は包括的な知識の集成と評している。パデュー大学の Arnold Cooper は多様な文献を用いている点を指摘し、カルガリー大学の Ed McMullan は博士課程、MBA、学部の学生に本書を用いていると述べる。
  • 機会そのものを主題とする。 起業家を扱う章より前に、機会とその発見に二つの章が充てられており、性格や動機づけだけから始める書物との違いになっている。出版社が引用する Venkataraman の序文は、本書が孤立した個人や孤立した機会ではなく、その結節点に目を向けていることを強調する。
  • 章ごとの役割分担が明確。 個人レベルの章(第4–5章)、産業と環境の章(第6–7章)、事業構築の章(第8–10章)という三つのまとまりとして読める。

短所

  • 実務家向けの手引きではない。 章題は理論と研究上の証拠に関するもので、目次には事業計画、資金調達の手段、起業のツールを扱う章がない。会社の立ち上げ方を段階的に学びたい読者には、プロセス重視の教科書が別に必要である。
  • 想定読者は研究者。 出版社は読者層を専門家・学術読者としており、本書は教室用のテキストではなく研究書で、演習や事例を軸に構成されてはいない。
  • 証拠の基盤が古い。 本書の初版は2003年(ペーパーバックは2004年)であり、デジタル起業、クラウドファンディング、プラットフォーム市場などに関するその後の研究は含まれない。

コースにおける位置づけ

起業とイノベーションの書目の中で、本書は理論・研究志向の一冊である。実務の側から導く本が二種類ある。『The Lean Startup』は顧客とともに素早くアイデアを検証する実践者の記録であり、OpenStax の『Entrepreneurship』と Barringer と Ireland の『Entrepreneurship』は事業を始める過程を順に追う教科書である。Shane は、そのいずれかを読んだあとに、機会がなぜ存在し、誰がそれに行動し、なぜ企業ごとに違いが生じるのかについて、研究が何を述べているかを知りたくなった時に読むのが適している。

併読には、Clayton Christensen の『The Innovator's Dilemma』がある。既存企業が新規参入者に後れをとる仕組みを論じ、機会を既存企業の側から見る補完的な視点を与える。Tidd と Bessant の『Managing Innovation』は、組織内部のイノベーションを扱う研究に基づく教科書である。問いが、企業や製品の管理ではなく、学術分野としての起業にあるとき、Shane を選ぶとよい。

本書の使い方

起業またはイノベーションの入門科目を修め、実証研究を読める大学院生、博士課程の学生、研究者に向く。その素養をもつ上級の学部生は、章を選んで利用できる。

実際の読み進め方:

  • 中核: 第1–3章で枠組みと機会の扱いを学び、第11章で議論がどうまとめられるかを確かめる。
  • 個人の側: 第4–5章で開発の決定を扱う。同じ問いを二つの角度から論じるので、続けて読むとよい。
  • 環境と事業: 第6–7章で産業と環境、第8–10章で資源、戦略、組織化を読む。戦略や組織設計に特に関心があれば、第1章のあとで該当の章に直接進んでもよい。
  • 併用: 参考文献を原典研究への地図として使い、具体例が必要なときは事例やプロセスを中心とした教科書と組み合わせる。