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Ecology: The Economy of Nature(生態学:自然の経済) cover

生物学

生物学

Ecology: The Economy of Nature(生態学:自然の経済)

Rick Relyea

英語原題: Ecology: The Economy of Nature

各テーマを適応と進化、そして生態学者がデータをどう集め分析するかという観点から組み立てる生態学の教科書。物理的環境と生物の適応から、個体群と種間相互作用を経て、群集、生態系、地球規模の変化へと進み、生態学データを扱う演習も含む。

前提知識: 入門生物学。基礎的な代数と、グラフや簡単なモデルを読み解こうとする姿勢。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
ecologypopulationscommunitiesecosystemsadaptation教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Relyea, R. (2025). Ecology: The Economy of Nature (10th ed.). Macmillan Learning.

章の要約

本書は7部24章からなり、付録として、グラフの読み方、統計表、「Working with Ecological Data」演習の解答、そして用語集が付く。出版社は、生態学コースの主要概念を学生に順に学ばせ、概念・定量的な道具・図について批判的に考えさせる問いを備えた本だと説明している。各章は事例研究で始まり、定番の囲み記事として、Ecology Today、Working with Ecological Data、章末のGraphing the Data活動がある。以下の部と章の題名は出版社のものである。

第1章:生態学入門

第I部の前に置かれた導入の章。

第I部:気候、気候変動、バイオーム(第2〜4章)

各章は、地球の気候、地球規模の気候変動、陸域と水域のバイオームである。第10版は最初の2章を独立の章とし、後の地球規模の変化に関する議論の土台とした。第3章には、気候偏差の計算に関するWorking with Ecological Dataの演習、気候変動を理解する際の先住民の知識と「ふたつの目で見る」(Two-Eyed Seeing)についてのEcology Today、そして北極の氷床融解に関する課題演習が含まれる。

第II部:環境への適応(第5〜8章)

進化生態学、水環境への適応、陸上環境への適応、変動する環境への適応。生物が生息条件にどう適合しているかを、進化的な背景から説き起こす。

第III部:生活史、繁殖戦略、社会行動(第9〜11章)

生活史、繁殖戦略、社会行動。個体の成長と繁殖のスケジュール、および同種の成員間の相互作用を扱う。

第IV部:個体群(第12〜14章)

個体群の分布、個体群の成長と調節、時間と空間にわたる個体群動態。

第V部:種間相互作用(第15〜18章)

捕食と植食、寄生と感染症、競争、相利共生。主要な相互作用の型ごとに1章が当てられる。

第VI部:群集と生態系(第19〜22章)

群集構造:生物多様性と食物網、群集の遷移、生態系におけるエネルギーの流れ、生態系における栄養循環。

第VII部:地球規模の生態学(第23〜24章)

景観生態学と地球規模の生物多様性、地球規模の生物多様性の保全。

主要概念

第1〜11章:環境、適応、生活史

  • 地球の気候と気候変動:独立した第2・3章の主題。
  • バイオーム:第4章の陸域・水域のバイオーム。
  • 進化生態学と適応:第5章、および水環境・陸上環境・変動環境に関する3つの章。
  • 生活史、繁殖戦略、社会行動:第9〜11章。

第12〜18章:個体群と相互作用

  • 個体群の分布、成長、調節、動態:第12〜14章。
  • 捕食、植食、寄生、競争、相利共生:第15〜18章。

第19〜24章:群集、生態系、地球規模の生態学

  • 生物多様性と食物網、遷移:第19・20章。
  • エネルギーの流れと栄養循環:第21・22章。
  • 景観生態学と地球規模の生物多様性の保全:第23・24章。

批判的分析

長所

  • 定量的技能が組み込まれている。 出版社は、統計とデータ分析の道具を「Your turn」の問いとともに教えるWorking with Ecological Dataの囲み記事、各章末のGraphing the Data活動、グラフの読み方と統計表を扱う付録を挙げている。
  • 気候変動を前面に。 地球の気候と気候変動を早い段階の独立した章(第2・3章)に置き、後の章に地球規模の変化の議論を織り込んで「Global Change」アイコンで示すことで、この主題を締めくくりの話題ではなく枠組みの一部にしている。
  • 適応という筋道。 1つの部全体(第5〜8章)が水環境・陸上環境・変動環境への適応にあてられ、進化生態学を入口として、そのあとで個体群へ移る。
  • 更新された視点。 第10版は、STEM分野で過小評価されてきた集団による研究、研究者の写真を増やし、長期的な生態観察の源としての先住民の知識を強調している。

短所

  • 応用的内容が後ろにある。 保全は最終章にしか現れず、応用的な話題はコースの最後の数週間に回ることになる。ただし地球規模の変化は全編で示されている。
  • 分量。 7部24章は1学期で通常扱える範囲を超えており、第III・V・VI・VII部の中から選ぶ必要がある。
  • 個体群が遅く登場する。 個体群生態学は第12章まで始まらず、気候、バイオーム、適応、生活史のあとに置かれているため、個体群を早く学びたいコースでは章の順序を入れ替える必要がある。

コースにおける位置づけ

Relyeaは入門コース向けの教科書で、気候とバイオームから適応と個体群を経て、群集と地球規模の生態学へ進む。BowmanとHackerのEcologyが最も近い比較対象である。同じく入門コース向けだが、生物とその物理的環境から出発して7つの単元で積み上げる。事例研究の方法に魅力を感じるなら有力な代替で、2冊を並べて読めば同じ主題を別の角度から見られる。SherとMollesのEcology: Concepts and Applicationsは、少数の中心概念を軸に各主題を組み立て、野外・実験室の研究で裏づけている。

BegonとTownsendのEcology: From Individuals to Ecosystemsはより広範な教科書で、入門コースの後に原理・保全・環境変化を体系的に学びたい学生に向く。MittelbachとMcGillのCommunity Ecologyは大学院レベルの総説で、第VI部が扱い終えたところから先を受け持つ。GhazoulのEcology: A Very Short Introductionは予備知識不要の簡潔な概説で、予習に使える。

本書の使い方

本書は、生物学入門を履修し、グラフを読んだり簡単なモデルを扱ったりできる、最初の生態学コースの学生を対象とする。実践的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第1、5、9、12〜13章と第15〜19章。適応から個体群と相互作用を経て群集構造へ至る主線をなす。
  • 地球規模の変化の土台: 第2〜4章は後の章が前提とする気候とバイオームの背景を与える。授業で後に回す場合でも、第VII部の前には読んでおくとよい。
  • 選択: 第6〜8章、第10〜11章、第14章、第20〜22章、第23〜24章。コースの重点に応じて選ぶ。

Working with Ecological Dataの問いは、出てきた時点で解き、付録で答えを確かめ、各章の締めくくりにGraphing the Data活動を行う。各章冒頭の事例研究は、読了後に立ち戻るための問いとして使うとよい。