01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Begon, M., & Townsend, C. R. (2021). Ecology: From Individuals to Ecosystems (5th ed.). Wiley.
章の要約
第5版は864ページ、22章から成り、前に序文、コンパニオンウェブサイトに関する説明、そして「Ecology and its Domain」(生態学とその領域)と題された序論があり、後ろに参考文献、生物名索引、事項索引が付く。出版社は、この版では応用的な話題だけを扱う章をいくつか加え、残りの章でも応用の実例を際立たせたと述べている。一方で、本書は「本質的には」生態学という科学の解説であり続ける。環境への取り組みは、その背後にある生態学の原理と同じ程度にしか確かになり得ないという考えによる。章の順序は、個体から個体群、種間相互作用、群集へと進み、最後に生態系と地球規模の変化に至る。
第1〜3章:Organisms in their Environments: the Evolutionary Backdrop(環境の中の生物:進化的背景)、Conditions(条件)、Resources(資源)
最初の3章は個体のレベルで舞台を整える。生物が生きる進化的な背景、次に生物に影響する環境条件と、生物が利用する資源を扱う。
第4〜7章:Matters of Life and Death(生と死の問題)、Intraspecific Competition(種内競争)、Movement and Metapopulations(移動とメタ個体群)、Life History Ecology and Evolution(生活史の生態と進化)
個体群のまとまり。第4章「Matters of Life and Death」がその口火を切り、第5章は同じ種の内部での競争、第6章は移動とメタ個体群を加え、第7章は生活史を生態と進化の問題として扱う。
第8〜13章:Interspecific Competition(種間競争)、The Nature of Predation(捕食の本質)、The Population Dynamics of Predation(捕食の個体群動態)、Decomposers and Detritivores(分解者と腐食者)、Parasitism and Disease(寄生と病気)、Facilitation: Mutualism and Commensalism(促進:相利共生と片利共生)
種間の相互作用を順に扱う。種間の競争(8)、捕食とその動態(9〜10)、分解者と腐食者(11)、寄生と病気(12)、正の相互作用(13)。
第14〜15章:Abundance(個体数)、Pest Control, Harvesting and Conservation(害虫防除、収穫、保全)
第14章は個体群の個体数を何が決めるかを問い、第15章はそれまでの個体群と相互作用の内容を害虫防除、収穫、保全に応用する。最初の応用の章である。
第16〜19章:Community Modules and the Structure of Ecological Communities(群集モジュールと生態群集の構造)、Food Webs(食物網)、Patterns in Community Composition in Space and Time(群集組成の空間的・時間的パターン)、Patterns in Biodiversity and their Conservation(生物多様性のパターンとその保全)
群集のレベル。出版社が公開している第16章のサンプルは、序論と3つの節から成る。競争が群集構造に及ぼす影響、捕食が群集構造に及ぼす影響、そして群集の構造化における多元性である。続いて食物網(17)、群集組成の空間的・時間的パターン(18)、生物多様性のパターンとその保全(19)がある。
第20〜22章:The Flux of Energy through Ecosystems(生態系を通るエネルギーの流れ)、The Flux of Matter through Ecosystems(生態系を通る物質の流れ)、Ecology in a Changing World(変化する世界の生態学)
第20章はエネルギーの流れを扱う。第21章のサンプルでは、節は序論から、陸域群集の栄養塩収支、水域群集の栄養塩収支を経て、地球規模の生物地球化学的循環へ進む。第22章「Ecology in a Changing World」は、出版社が述べる応用的な調子で本書を締めくくる。
主要概念
第1〜7章
- 条件と資源:第2章と第3章が区別する、2種類の環境要因。
- 種内競争:同じ種の個体間の競争。第5章。
- メタ個体群と生活史:第6章と第7章。
第8〜15章
- 種間競争、捕食、寄生、相利共生、片利共生:主な相互作用の型で、それぞれ1章または複数の章がある。
- 分解者と腐食者:第11章で扱う消費者のグループ。
- 害虫防除、収穫、保全:第15章の応用。
第16〜22章
- 群集モジュール:群集構造を理解するために使う、相互作用する少数の種の小さな組み合わせ(第16章)。
- 食物網と群集のパターン:第17〜18章。
- エネルギーと物質の流れ:第20〜21章。第21章には栄養塩収支と地球規模の生物地球化学的循環が含まれる。
- 変化する世界の生態学:第22章。
批判的分析
長所
- 一続きの展開。 章の順序は書名が示す階層に従う。個体(1〜3)、個体群(4〜7)、相互作用(8〜13)、そして個体数、応用、群集、生態系である。読者は、ある話題が全体の中のどこに位置するかを見て取れる。
- 応用的な内容。 出版社は、第5版が応用的な話題に充てた章を加え、他の章にも応用の例を配していると強調している。第15章(害虫防除、収穫、保全)、第19章の保全に関する部分、第22章が、それを目次の上で見えるものにしている。
- 新しい証拠。 出版社は、この版が1,000件を超える最近の研究の結果を取り込んでおり、現在はフルカラーだと述べている。
- 実績ある著者。 出版社によれば、本書の以前の版は著者に英国生態学会の「Exceptional Life-time Achievement Award」をもたらした。
短所
- 非常に大きい。 864ページ、22章は、一つの講義で使える量を超える。教員は章を選ぶ必要がある。
- 教育上の工夫についての公開情報が少ない。 出版社のページは目次を挙げ、取り組み方を説明しているが、演習問題の情報や各章の数学の水準は示していない。読者は、出版社が公開している2つの章(第16章と第21章)のサンプルで、文章の水準を判断できる。
- 群集の最前線では深さより広さ。 生態学全体を扱う一冊は、群集レベルの話題に数章(16〜19)しか割かない。共存やメタ群集について専門的な解説が欲しい読者は、より焦点を絞った本が必要になる。
コースにおける位置づけ
このコースの他の生態学の本は、より短いか、より専門的である。Ghazoul の Ecology: A Very Short Introduction はこの学問の短い概説である。Bowman と Hacker の Ecology、Sher と Molles の Ecology: Concepts and Applications、Relyea の Ecology: The Economy of Nature は最初の講義向けの教科書で、それぞれ独自の枠組みをもつ。Bowman と Hacker は各章を貫く事例とともに個体の生理から生物圏までを進み、Sher と Molles は野外と実験室の研究に裏づけられた少数の中心概念を通して教え、Relyea は適応とデータ解析を軸に話題を組む。Mittelbach と McGill の Community Ecology は、群集レベルだけを扱う大学院レベルの総合である。
Begon と Townsend の本は、このグループの中で最も包括的な一般教科書であり、最初の講義の後の参考書として、あるいは要求水準の高い講義の主教科書として使える。Mittelbach と McGill の本との組み合わせもよい。第16〜19章が群集レベルの概観を与え、専門書がそれを深く展開するからである。
本書の使い方
本書は、一般生物学を修了し、生態学の原理を一続きのものとして学びたい学生に向く。フロントマターは、グラフ、基礎的な代数、記述統計に慣れていると役立つとしている。
実践的な進め方は次のとおり。
- 中核: 個体と個体群の土台として第1〜3章と第4〜5章、続いて競争と捕食の第8〜10章。
- 次に: 第12〜14章(寄生、相利共生、個体数)と、群集を扱う第16〜19章。
- 応用と生態系の内容: 応用は第15、19、22章、エネルギーと物質の流れは第20〜21章。これらは相互作用の章とは独立に読める。
- 参照用: 第6〜7章、第11章、第17〜18章は必要に応じて参照する。出版社は第16章と第21章をサンプルとして公開しており、本書を使うと決める前に文体を手早く確かめる方法になる。
