01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bowman, W. D., & Hacker, S. D. (2020). Ecology (5th ed.). Sinauer Associates, an imprint of Oxford University Press.
章の要約
本書は25章からなり、導入の1章に続いて7つの単元があり、生態学で用いられるメートル法の単位をまとめた付録が付く。出版社は、読みやすく整理された入門書で、事例を軸にした概念中心のアプローチをとり、応用とデータに基づく例を強調し、気候変動・侵略的外来種・汚染に注意を払うと説明している。以下の単元と章の題名は出版社のものである。
第1章:生命の網
第1単元の前に置かれた、導入のための1章。
第1単元:生物とその環境(第2〜5章)
各章は、物理的環境、生物圏、環境変動への対処:温度と水、環境変動への対処:エネルギーである。まず背景(物理的環境と生物圏)を述べ、次に温度・水・エネルギーの変動に生物がどう対処するかへ進むので、本書は個体のレベルから始まる。
第2単元:進化生態学(第6〜8章)
進化と生態学、生活史、行動生態学。生態的パターンを進化的な説明や個体の行動の選択と結びつける。
第3単元:個体群(第9〜11章)
個体群の分布と多さ、個体群動態、個体群の成長と調節。個体群がどこに存在するかから、その数がどう変化し、どう制限されるかへ進む。
第4単元:種間相互作用(第12〜15章)
4つの章が相互作用を一つずつ取り上げる。捕食、寄生、競争、相利共生と片利共生。
第5単元:群集(第16〜19章)
群集の本質、群集の変化、生物地理学、群集における種多様性。種の集まりがどう組織され、時間とともにどう変化し、空間的にどう分布し多様であるかを考える。
第6単元:生態系(第20〜22章)
生産、エネルギーの流れと食物網、栄養の供給と循環。エネルギーと栄養の観点から生態系を扱う。
第7単元:応用生態学と大規模生態学(第23〜25章)
保全生物学、景観生態学と生態系管理、地球規模の生態学。応用的で大規模な話題で本書を締めくくる。
主要概念
第1〜8章:個体と進化
- 環境の変動:温度・水・エネルギーの違いに生物がどう対処するか(第4・5章)。
- 生活史:生物の成長・繁殖・生存のパターン(第7章)。
- 行動生態学:行動の生態学的・進化学的研究(第8章)。
第9〜15章:個体群と相互作用
- 個体群動態、成長と調節:第10・11章の題名。
- 捕食、寄生、競争、相利共生、片利共生:それぞれ章が当てられた5つの相互作用。後の2つは第15章を共有する。
第16〜25章:群集、生態系、応用
- 遷移と生物地理学:群集の変化と種の地理的分布(第17・18章)。
- 生産、エネルギーの流れ、栄養循環:生態系の各章(第20〜22章)。
- 保全生物学、景観生態学、地球規模の生態学:応用を中心とする最後の単元。
批判的分析
長所
- 事例と応用を軸にした構成。 マイアミ大学キャンパスストアの紹介文は、本書が事例中心のアプローチをとると述べており、出版社の新機能の一覧には著者が解説する15本のケーススタディ動画も含まれる。内容は具体的な物語に根ざすよう設計されている。
- 自己確認のしくみ。 第5版では、主要な節ごとの末尾に自己評価問題、各章に学習目標、複雑な図を段階的に読み解くシークエンス・イメージが加わった。
- スケールを順に上げる論理。 7つの単元は個体から個体群、相互作用、群集、生態系、地球へと積み上がるので、目次がそのまま授業計画の骨子として使える。
- 最近の話題への配慮。 出版社によれば、本版は海洋生態学と微生物の扱いを増やし、人間の健康に関わる例を示す「健康とのつながり」一覧を新設し、写真のおよそ4分の1から半分を差し替えた。
短所
- 分量。 25章は1学期で通常扱える範囲を超えており、とくに第5〜7単元では選択が必要になる。
- オンライン環境を要する学習補助がある。 15本のケーススタディ動画は動画であり、印刷物ではなく電子書籍やオンライン資料に依存する。
- 入門コース向けの位置づけ。 出版社は本書を生態学の基礎入門として示している。生態学の理論をより深く学びたい学生には、もっと高度な本が必要になる。
コースにおける位置づけ
BowmanとHackerは入門コース向けの教科書で、生物とその物理的環境から出発して積み上げていく。RelyeaのEcology: The Economy of Natureは最も近い比較対象で、同じく物理的環境と生物の適応から、個体群、相互作用、群集、生態系、地球規模の変化へと進み、データ分析の演習が加わるため、追加の定量的練習の材料になる。SherとMollesのEcology: Concepts and Applicationsは、少数の中心的概念を軸に組み立てられ、それぞれが野外・実験室の研究に裏づけられており、同じ内容への別の入口になる。
本書を終えてさらに深く学びたい読者には、BegonとTownsendのEcology: From Individuals to Ecosystems(個体から個体群、群集、生態系へと進む幅広い教科書)がある。MittelbachとMcGillのCommunity Ecologyは、第5単元の主題を土台とする大学院レベルの群集生態学の総説である。GhazoulのEcology: A Very Short Introductionは、予備知識を必要としない簡潔な概説で、本書の前の予習に使える。
本書の使い方
本書は、生物学入門を修了し、最初の生態学コースを受ける学生を対象とする。実践的な進め方は次のとおり。
- 中核: 第1章、続いて第4〜7章(生物と進化)、第9〜15章(個体群と種間相互作用)、第16〜17章と第20〜22章(群集と生態系)。
- 必要に応じて: 物理的環境と生物圏の背景として第2〜3章、行動を扱う場合は第8章、生物地理学と多様性として第18〜19章。
- 応用で締める: 第23〜25章は実践的・地球規模の文脈を与えるもので、土台となる主題と並行して早めに読んでもよい。
各章の前に学習目標を読み、主要な節の末尾の自己評価問題に答え、電子書籍が使えるならケーススタディ動画を見る。事例研究を、各章の概念をつなぐ糸として使うとよい。
