01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Fowler, S., Roush, R., & Wise, J. (2013). Concepts of Biology. OpenStax. Free official edition: https://openstax.org/details/books/concepts-biology
章の要約
『Concepts of Biology』は、理系以外の専攻者向けの1学期制生物学入門課程のための OpenStax の教科書である。序文が指摘するように、この授業は多くの学生にとって大学で受ける唯一の科学の授業になる。全21章が六つの単元に分かれ、約600ページあり、周期表、地質年代、計量単位の付録がつく。序文によれば、本書は「進化を基盤とし」、事実や用語の暗記ではなく科学リテラシーを目指し、多くの非専攻者向け授業の範囲と順序に従っている。各章は写真と短い導入で始まり、重要用語、節ごとの要約、Visual Connection 問題、復習問題、批判的思考問題で終わる。Evolution Connection、Career Connection、Everyday Connection、Link to Learning のコラムが全体を通じて繰り返し登場する。
第1章:生物学入門
二つの節からなる。生物学の主題と概念(生命の性質、組織化の階層、生命の多様性と系統樹、生物学の諸分野)と、科学の過程(帰納的推論と演繹的推論、仮説と理論、基礎科学と応用科学、査読つきの発表)である。
第2~3章:生命の化学/細胞の構造と機能
第2章は原子と化学結合、水の性質と pH、そして四種類の生体高分子を扱う。第3章は顕微鏡と細胞説を導入し、原核細胞と真核細胞を比較し、真核細胞の細胞小器官を一通り紹介したうえで、細胞膜と受動輸送・能動輸送を説明する。
第4~5章:細胞はどのようにエネルギーを得るか/光合成
第4章はエネルギーと代謝(熱力学、ATP、酵素)を導入し、続いて解糖、クエン酸回路と酸化的リン酸化、発酵、他の代謝経路とのつながりを扱う。第5章は、あらゆる食事が光合成に依存していることを指摘して始まり、光合成の概要、光依存反応、カルビン回路を扱う。
第6~8章:細胞レベルでの増殖/遺伝の細胞学的基盤/遺伝の様式
第2単元はゲノムと細胞周期(がんと原核生物の分裂の節を含む)から、有性生殖と減数分裂(染色体数の変化などの減数分裂の異常を含む)へ進み、最後にメンデルの実験、遺伝の法則とその拡張(不完全優性、複対立遺伝子、連鎖など、メンデル比からの逸脱)を扱う。
第9~10章:分子生物学/バイオテクノロジー
第9章は DNA 分析の日常的な用途(科学捜査、親子鑑定、診断)から始まり、DNA の構造、複製、転写、翻訳、遺伝子調節を五つの節で扱う。第10章はクローニングと遺伝子工学、医療と農業におけるバイオテクノロジー、ゲノミクスとプロテオミクスを扱い、それらが提起する倫理的・社会的な問いを紹介する。
第11~12章:進化とその過程/生命の多様性
第11章は集団がどのように変化するか、進化のしくみ、その証拠、種分化を説明し、進化についてのよくある誤解を扱う節で終わる。第12章は分類と系統樹の作り方を紹介する。
第13~15章:微生物・菌類・原生生物の多様性/植物の多様性/動物の多様性
三つの概観の章。第1の章は原核生物の多様性と三ドメイン(カール・ウーズによるリボソーム RNA の研究を通じて導入される)、真核生物の起源、原生生物、菌類を扱う。第2の章は植物界から、種子をつくらない植物、裸子植物、被子植物へと進む。第3の章は動物界の特徴から無脊椎動物の諸グループ、そして脊椎動物へと進む。
第16~18章:体の器官系/免疫系と疾病/動物の生殖と発生
第5単元は動物生理学を一つの章の六つの節に凝縮している。ホメオスタシスと浸透圧調節、消化系、循環系と呼吸系、内分泌系、筋骨格系、神経系である。続いてウイルスと自然免疫・獲得免疫の章(天然痘の人痘接種の歴史で始まる)と、動物とヒトの生殖と発生の章が来る。序文はこの単元がヒトの解剖学と生理学に焦点を当てていると述べている。
第19~21章:個体群と群集の生態学/生態系と生物圏/保全と生物多様性
第6単元は、個体群の人口統計と成長、人口、群集生態学(外来種のアジアン・カープで始まる)、エネルギーの流れ、生物地球化学的循環、陸上と水域のバイオーム、そして生物多様性の重要性、それへの脅威(現在の絶滅速度は通常の背景絶滅速度の500~1000倍とされる)と保全を扱う。
主要概念
第1単元:生命の細胞的基盤(第1~5章)
- 生命の性質:秩序、刺激への応答、生殖、適応、成長、調節、ホメオスタシス、エネルギー処理。
- 科学的方法:仮説を立てて検証すること。仮説、理論、法則の違い。
- 細胞説と細胞膜:すべての生物は細胞からなり、細胞膜が出入りするものを制御する。
- 細胞呼吸と光合成:生命が依存する二つの相補的なエネルギー経路。
第2~3単元:細胞分裂、遺伝学、分子生物学(第6~10章)
- 体細胞分裂と減数分裂:成長と修復のための細胞分裂と、配偶子をつくる減数分裂。
- メンデルの法則:分離の法則と独立の法則、およびその拡張。
- 遺伝子からタンパク質へ:複製、転写、翻訳と、遺伝子発現の調節。
- バイオテクノロジー:PCR、ゲル電気泳動、クローニングなどの技術と、その医療・農業への応用。
第4単元:進化と多様性(第11~15章)
- 自然選択:生存と繁殖の差が適応をもたらすこと。
- 種分化:生殖隔離による新しい種の形成。
- 系統樹:進化的関係を表す図。
- 三ドメイン:細菌、古細菌、真核生物。
第5~6単元:動物の構造と生態学(第16~21章)
- ホメオスタシス:内部環境を正常な範囲内に保つこと。
- 自然免疫と獲得免疫:一般的な防御と、記憶をともなう特異的な応答。
- 個体群の成長:指数的成長とロジスティック成長、環境収容力。
- 生物多様性:生命の多様さ、その価値、そしてそれへの脅威。
批判的分析
長所
- 対象読者に合わせて設計されている。 序文は、非専攻者には「事実と用語」ではなく意味があって読みやすい教材が必要だと明言しており、各章の導入は日常的な事柄から始まる。食べ物と光合成、科学捜査や親子鑑定での DNA、外来種のコイなどである。キャリアや日常への応用を扱うコラムは、科学リテラシーという掲げられた目標を支えている。
- 扱いやすい分量。 21章で、各章は二~六節と短いので、1学期で全体を、あるいはほぼ全体を現実的に扱える。これは専攻者向け教科書ではめったにないことである。
- 進化と誤解。 進化が本書の枠組みとして示され、第11章には進化についてのよくある誤解を扱う独立した節がある。疑いや誤った考えを抱えてこのテーマに出会う学生に役立つ。
- 無料で改変可能。 本書はオープンライセンス(CC BY-NC-SA 4.0)で、オンラインと PDF で無料で利用できる。序文は教員に章を任意の順序で課すよう勧めている。
短所
- 個体の生理学は薄く、植物の機能は扱われない。 動物の器官系はすべて一つの章(第16章)にまとめられ、植物の構造、輸送、生殖を扱う章はない。植物が登場するのは光合成の章と第14章の多様性の概観だけである。
- 古く、あまり手入れされていない本。 初版の刊行は2013年である。序文には更新されていない記述が残っている。WileyPLUS の「Fall 2013 Pilot」への参加の呼びかけ、「College Physics の豊富な図に基づく」とされる PowerPoint スライド、「社会学」の変化に言及する正誤表の注記などである。バイオテクノロジーやゲノミクスのような変化の速い分野の内容も古くなっていく。
- 米国中心の事例。 イリノイ州やミズーリ州の河川のアジアン・カープ、ミネソタ州からニューヨーク州にかけてのオーク・マツ疎林のカーナーブルー(チョウ)などの事例は、アメリカの読者を想定している。
コースにおける位置づけ
『Concepts of Biology』はこのコースで最も軽い総合的な教科書であり、非専攻者や、専攻者向けの本の前に生物学を一通り見ておきたい人にとって自然な選択である。本書は OpenStax の『Biology 2e』と素材を共有しており、細胞をれんが壁にたとえる導入からハチドリ、ホッキョクギツネ、アジアン・カープまで、いくつもの章の冒頭が同じか、ほぼ同じである。『Biology 2e』で難しいと感じたテーマがあれば、まず本書の対応する章を読んでから戻るとよい。『Biology 2e』、『Campbell Biology』、サダヴァらの『Life: The Science of Biology』、フリーマンの『Biological Science』はいずれも2学期制の本格的な専攻者向け入門書であり、本書が意図的に省いている深さ、とくに遺伝学、生理学、植物生物学の深さを与えてくれる。
コースのより専門的な本、ロディッシュらの『Molecular Cell Biology』とマイロとフィリップスの『Cell Biology by the Numbers』は、少なくとも専攻者レベルの1年目の学習を前提としており、本書からの直接の次の段階ではない。
本書の使い方
本書は一般教育科目として生物学を履修する学生や、社会人・独学者に適している。大学レベルの科学は前提とせず、必要な化学は第2章で補われる。
1学期の計画:
- 中核: 第1~3章(科学、化学、細胞)、第6~9章(細胞分裂、遺伝、分子生物学)、第11章(進化)。これらが本書の中心的な考え方を担っている。
- エネルギー: 第4~5章は最も技術的である。リテラシーを重視する授業なら、すべての段階ではなく、概要の節(4.1、5.1)と、呼吸と光合成がどうつながるかという全体像を目標にする。
- 関心に応じて選ぶ: 第10章(バイオテクノロジー)と第17章(免疫系と疾病)は健康や時事問題に最も直接つながる。第12~15章(多様性)は拾い読みでもよい。第19~21章(生態学と保全)は授業の締めくくりにふさわしい。
章の導入でその日常的なきっかけを読み、各節を読み進め、章末の要約で自分の理解を確かめる。Visual Connection 問題で図を読む練習をする。思い描きにくい過程については Link to Learning のアニメーションを見る。一部の問題の解答は学生用リソースのページで入手できる。後に専攻者向けの授業に進む学生は、『Biology 2e』の対応する章で学習を続けることができる。
版と出典
本ガイドは Concepts of Biology(初版刊行2013年。主要執筆者は Samantha Fowler、Rebecca Roush、James Wise で、ほかに約30名の執筆協力者・査読者がいる)に基づき、OpenStax の書籍ページ https://openstax.org/details/books/concepts-biology からリンクされた無料の公式 PDF(現行版、著作権ページは2026年、CC BY-NC-SA 4.0 ライセンス)で読んだ。序文(対象、単元ごとの範囲、特色、解答の方針、リソース)、目次全体、そして全21章について章の導入、すべての節見出し、節ごとの章末要約を参照し、あわせて Evolution・Career・Everyday Connection の各コラムの題も確認した。
