01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Urry, L. A., Cain, M. L., Wasserman, S. A., Minorsky, P. V., & Orr, R. B. (2020). Campbell Biology (12th ed.). Pearson.
章の要約
第12版は全56章を8つの単元に分け、冒頭に生物学の主題を扱う章が置かれ、巻末には付録(解答、生物の分類、光学顕微鏡と電子顕微鏡の比較、科学的スキルの復習)がある。出版社はこれを、学習者がコースの各単元を進むのを導く教科書と説明し、概念をスケールを越えて結びつけ、データを解釈し、科学的スキルを身につける助けになるとしている。以下は出版社の目次に従い、章番号は順に数えたものである。
第1章:Evolution, the Themes of Biology, and Scientific Inquiry(進化、生物学の主題、科学的探究)
冒頭の章は、本書を貫く主題を紹介する。その筆頭が進化であり、あわせて仕事の仕方としての科学的探究を扱う。
第1単元:生命の化学(第2〜5章)
4つの章:「The Chemical Context of Life」(生命の化学的背景)、「Water and Life」(水と生命)、「Carbon and the Molecular Diversity of Life」(炭素と生命の分子的多様性)、「The Structure and Function of Large Biological Molecules」(生体高分子の構造と機能)。続く細胞の諸章に化学的な基礎を与える。
第2単元:細胞(第6〜12章)
7つの章:「A Tour of the Cell」(細胞の探訪)、「Membrane Structure and Function」(膜の構造と機能)、「An Introduction to Metabolism」(代謝入門)、「Cellular Respiration and Fermentation」(細胞呼吸と発酵)、「Photosynthesis」(光合成)、「Cell Communication」(細胞間コミュニケーション)、「The Cell Cycle」(細胞周期)。この単元は細胞の構造からエネルギーと代謝へ進み、さらにシグナル伝達と分裂へと進む。
第3単元:遺伝学(第13〜21章)
9つの章:「Meiosis and Sexual Life Cycles」(減数分裂と有性生活環)、「Mendel and the Gene Idea」(メンデルと遺伝子の概念)、「The Chromosomal Basis of Inheritance」(遺伝の染色体的基礎)、「The Molecular Basis of Inheritance」(遺伝の分子的基礎)、「Gene Expression: From Gene to Protein」(遺伝子発現:遺伝子からタンパク質へ)、「Regulation of Gene Expression」(遺伝子発現の調節)、「Viruses」(ウイルス)、「DNA Tools and Biotechnology」(DNAツールとバイオテクノロジー)、「Genomes and Their Evolution」(ゲノムとその進化)。古典的な遺伝から分子遺伝学、ゲノム科学へと進む配列である。
第4単元:進化のメカニズム(第22〜25章)
4つの章:「Descent with Modification: A Darwinian View of Life」(変化を伴う由来:ダーウィン的生命観)、「The Evolution of Populations」(集団の進化)、「The Origin of Species」(種の起源)、「The History of Life on Earth」(地球上の生命の歴史)。
第5単元:生物多様性の進化的歴史(第26〜34章)
9つの章。「Phylogeny and the Tree of Life」(系統発生と生命の樹)に始まり、「Bacteria and Archaea」(細菌と古細菌)、「Protists」(原生生物)、2つの植物の章(「Plant Diversity I: How Plants Colonized Land」植物の多様性I:植物はいかに陸上に進出したか、「Plant Diversity II: The Evolution of Seed Plants」植物の多様性II:種子植物の進化)、「Fungi」(菌類)、「An Overview of Animal Diversity」(動物の多様性の概観)、「An Introduction to Invertebrates」(無脊椎動物入門)を経て、「The Origin and Evolution of Vertebrates」(脊椎動物の起源と進化)に至る。
第6単元:植物の形態と機能(第35〜39章)
5つの章:「Vascular Plant Structure, Growth, and Development」(維管束植物の構造、成長、発生)、「Resource Acquisition and Transport in Vascular Plants」(維管束植物における資源の獲得と輸送)、「Soil and Plant Nutrition」(土壌と植物の栄養)、「Angiosperm Reproduction and Biotechnology」(被子植物の生殖とバイオテクノロジー)、「Plant Responses to Internal and External Signals」(内外のシグナルに対する植物の応答)。
第7単元:動物の形態と機能(第40〜51章)
12の章。「Basic Principles of Animal Form and Function」(動物の形態と機能の基本原理)、「Animal Nutrition」(動物の栄養)、「Circulation and Gas Exchange」(循環とガス交換)から、「The Immune System」(免疫系)、「Osmoregulation and Excretion」(浸透圧調節と排出)、「Hormones and the Endocrine System」(ホルモンと内分泌系)、「Animal Reproduction」(動物の生殖)、「Animal Development」(動物の発生)を経て、「Neurons, Synapses, and Signaling」(ニューロン、シナプス、シグナル伝達)、「Nervous Systems」(神経系)、「Sensory and Motor Mechanisms」(感覚と運動の仕組み)、「Animal Behavior」(動物の行動)に至る。
第8単元:生態学(第52〜56章)
5つの章:「An Introduction to Ecology and the Biosphere」(生態学と生物圏入門)、「Population Ecology」(個体群生態学)、「Community Ecology」(群集生態学)、「Ecosystems and Restoration Ecology」(生態系と復元生態学)、「Conservation Biology and Global Change」(保全生物学と地球規模の変化)。
主要概念
第1章と第1〜2単元
- 生物学の主題と科学的探究:本書の統一的な考え方で、第1章の題に示されている。
- 生命の分子的多様性:炭素の化学と生体高分子が生命系をどう支えるか。
- 代謝、呼吸、光合成:細胞単元のエネルギーに関する章。
- 細胞間コミュニケーションと細胞周期:細胞がどのように信号を伝え、分裂するか。
第3〜4単元
- 遺伝と遺伝子発現:メンデル遺伝と染色体遺伝、そして遺伝子からタンパク質への経路とその調節。
- バイオテクノロジーとゲノム:DNAツールとゲノムの章。
- 変化を伴う由来:進化単元の冒頭にあるダーウィン的な生命観。続いて集団の進化、種分化、生命の歴史が扱われる。
第5〜8単元
- 系統発生と多様性:生命の樹を枠組みとして、細菌、原生生物、植物、菌類、動物を捉える。
- 形態と機能:植物と動物がどのように作られ、その系がどう働くか。
- 生態学と地球規模の変化:個体群と群集から、生態系、保全、地球規模の変化まで。
批判的分析
長所
- 一冊で網羅的。 目次は化学、細胞、遺伝学、進化、多様性、植物と動物の生理、生態学に及び、一冊で入門の全課程を支えられる。
- 章に組み込まれた学習ツール。 出版社は、データを解釈するための「科学的スキル」演習、章末の「重要概念のまとめ」の問い、試験形式の問題に備える「理解度チェック」の問いを挙げている。付録には科学的スキルの復習がある。
- 組織原理としての進化。 第1章は進化を生物学の主題の一つに位置づけ、その後、多様性の単元に先立って、そのメカニズムを扱う単元がまるごと置かれている。
短所
- 1学期では終わらない。 全56章のため、教員も学生も取捨選択が必要で、8つの単元を1学期で網羅することはできない。
- 演習ツールは別売り。 出版社はMastering Biologyを電子教科書とは別の製品として挙げている。オンラインのチュートリアルが必要な学生は、受講するコースに含まれるかを確認する必要がある。
- 入門的な概観である。 本書は生物学全体を56章で扱う。細胞・分子の分野で研究水準の深さが必要なコースには、同じコース一覧にあるLodishらの Molecular Cell Biology のような、より専門的な教科書が要る。
コースにおける位置づけ
一般生物学のコースでは、『Campbell Biology』は生物学専攻向けの包括的な概観である。Clark、Douglas、Choiの Biology 2e は生物学専攻向けの2学期の入門書で、範囲は本書とよく重なる。Fowler、Roush、Wiseの Concepts of Biology は、専攻課程の深さまでは要らず主要な考え方を知りたい学生向けの親しみやすい概観である。Freemanの Biological Science は、証拠と実験を通して主要分野を結びつける探究型の入門書であり、Sadavaらの Life: The Science of Biology はもう一つの包括的な入門教科書である。
さらに深めたい場合、Lodishらの Molecular Cell Biology は入門課程の細胞・分子のトピックを研究水準の深さで扱い、MiloとPhillipsの Cell Biology by the Numbers は数量と見積もりを通して細胞生物学を教える。どちらも、Campbellの第6〜12章と第13〜21章を終えてから読むのがよい。
本書の使い方
出版社は本書を「専攻向けの生物学」に分類しているので、生物学や生命科学の学位を始める学部生を対象としている。出版社のページには前提条件が書かれておらず、本書は化学の単元から始まる。
使い方の例:第1章を読み、2学期の課程なら単元の順に進める。第1学期に第1〜4単元、第2学期に第5〜8単元である。1学期だけなら、第1章と第1〜4単元を読み、さらに授業で使う後半の単元から数章を加える。科学的スキルの演習でグラフやデータの読み方を練習し、各章の終わりには「重要概念のまとめ」で自分を試してから先へ進む。付録(解答と科学的スキルの復習)は参照用として使う。
大学のリーディングリスト出典
- MIT OpenCourseWare — 7.01SC Fundamentals of Biology (Fall 2011)
2011年のシラバスは第8版(2008年)を指定しています。本書の過去の採用例であり、本ページの第12版の採用を示すものではありません。
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