01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Freeman, S., Quillin, K., Allison, L., Black, M., Carmichael, J., Taylor, E., Podgorski, G., & Hsu, J. (2024). Biological Science (8th ed.). Pearson.
章の要約
第8版は生物学専攻向けの大学入門教科書で、54章が八つの単元にまとめられ、別立ての「バイオスキルズ」部分と、解答と周期表を収めた付録がある。出版社は本書を、探究型で学生中心であり、暗記ではなく高次の思考、スキルの習得、能動的学習を重視するものと説明している。この版では、最新の内容と中核的な内容が、メタ認知、学習方略、定量的推論の重視と一体になっているという。
第1章とバイオスキルズ
第1章「生物学:生命の研究」が本書の幕開けである。続く「バイオスキルズ」は各単元が使うスキルをまとめた部分で、目次には見出ししか示されていない。
第1単元:生命の分子的起源と進化(第2–6章)
この単元は「水と炭素:生命の化学的基盤」から、「タンパク質の構造と機能」「核酸とRNAワールド」「炭水化物入門」を経て、「脂質、膜、最初の細胞」へと進む。見出しは枠組みを示している。生命の化学は、細胞の起源をめぐる物語の一部として提示される。
第2単元:細胞の構造と機能(第7–12章)
「細胞の内部」「エネルギーと酵素:代謝入門」「細胞呼吸と発酵」「光合成」「細胞間相互作用」「細胞周期」の各章。
第3単元:遺伝子の構造と発現(第13–21章)
九つの章は「減数分裂」「メンデルと遺伝子」「DNAと遺伝子:合成と修復」「遺伝子はどう働くか」「転写、RNAプロセシング、翻訳」「細菌における遺伝子発現の制御」「真核生物における遺伝子発現の制御」「分子革命:バイオテクノロジー、ゲノミクス、新たなフロンティア」「遺伝子、発生、進化」である。遺伝と遺伝子の分子生物学が一つの単元に収められている。
第4単元:進化のパターンとプロセス(第22–25章)
「自然選択による進化」「進化の過程」「種分化」「系統樹と生命の歴史」が進化の中核をなす。
第5単元:生命の多様化(第26–33章)
八つの章で分類群を概観する。「細菌と古細菌」「真核生物の多様化」「緑藻と陸上植物」「菌類」「動物入門」「前口動物」「後口動物」「ウイルス」。
第6単元:植物はどう働くか(第34–38章)
「植物の形態と機能」「植物における水と糖の輸送」「植物の栄養」「植物の感覚系、シグナル、応答」「被子植物の生殖と発生」。
第7単元:動物はどう働くか(第39–48章)
十章からなる。「動物の形態と機能」「動物の水と電解質のバランス」「動物の栄養」「ガス交換と循環」「動物の神経系」「動物の感覚系」「動物の運動」「動物の化学シグナル」「動物の生殖と発生」「動物の免疫系」。
第8単元:生態学(第49–54章)
「生態学入門」「行動生態学」「個体群生態学」「群集生態学」「生態系と地球規模の生態学」「生物多様性と保全生物学」。
主要概念
第1章と第1単元
- 生命の研究:冒頭の章が示す、本書全体の主題としての生物学。
- RNAワールド:単元名が核酸を生命の起源の初期段階と結びつけている。
- 膜と最初の細胞:脂質が最初の細胞という文脈に置かれている。
第2–3単元
- 代謝:エネルギーと酵素に始まり、呼吸、発酵、光合成へ。
- 細胞周期と減数分裂:遺伝の前に置かれた細胞分裂の章。
- 遺伝子発現とその制御:転写、RNAプロセシング、翻訳に加え、細菌と真核生物の制御がそれぞれ別の章になっている。
- バイオテクノロジーとゲノミクス:独立した章で扱われる。
第4–5単元
- 自然選択と種分化:進化的変化と種の起源の枠組みを与える二つの章。
- 系統樹:第5単元で概観する多様性を整理する道具。
第6–8単元
- 植物と動物の生理学:形態、輸送、栄養、感覚、生殖、免疫。
- 行動から生物多様性までの生態学:個体から生態系までの尺度。
批判的分析
長所
- 明示された教育方法。 出版社は本書を探究型で能動的学習を軸にしたものと位置づけ、第8版ではメタ認知、学習方略、定量的推論が加わった。「バイオスキルズ」はスキル重視の目に見える表れである。
- 進化が構造に織り込まれている。 第1単元は生命の起源と進化を枠組みとし、第3単元は「遺伝子、発生、進化」で終わり、第4単元は多様性の概観の前に置かれているため、生物を記述する前に進化の考え方が使える。
- 専攻向けの網羅性。 八つの単元が分子、細胞、遺伝子、進化、多様性、植物・動物の生理、生態学を覆う。
- デジタルと紙の選択肢。 Pearson は紙版、電子教科書、Mastering Biology 版を挙げており、オンライン課題の有無を選んで採用できる。
短所
- 分量。 54章は一学期の授業には多すぎ、教員や独習者は単元を選ぶ必要がある。
- 版の履歴。 第1版(2002年)は単著だったが、第8版は八人の著者による八単元54章であり、旧版向けの資料は対応しない。
コースにおける位置づけ
このコースの生物学概説の書目の中で、Freeman は能動的学習と定量的スキルを重視する、専攻向けの本格的な教科書である。Campbell Biology は、同じく八つの単元で構成されるもう一つの大型総合教科書で、両者は自然な代替関係にある。OpenStax の Biology 2e は同様の専攻向けの課程をカバーし、無料で入手できるため、低コストの補助または代替になる。Concepts of Biology は初学者や非専攻者向けの短い概説である。Life: The Science of Biology はもう一つの総合的な専攻向け教科書である。
Cell Biology by the Numbers と Lodish の Molecular Cell Biology は最初の授業を超える内容で、前者は数量を通じて細胞生物学を教え、後者は実験を軸にした細胞・分子生物学の教科書である。Freeman の細胞と遺伝子の単元を読んだ後にどちらかを読むとよい。
本書の使い方
生物学専攻向けの二学期以上の入門課程を履修する学生と、体系的な独習用教科書を求める読者に向く。主な準備は基礎的な化学で、水・炭素・高分子の初期の章が細胞の単元に必要な内容を補う。
実用的な読み方:
- 出発点: まず第1章とバイオスキルズを読み、各単元が必要とするときに学習スキルと定量スキルが使えるようにする。
- 中核の道筋: 第1〜第4単元を順に読むと、以降の内容に必要な分子・細胞・遺伝・進化の枠組みが得られる。
- 授業に応じて選ぶ: 多様性なら第5単元、植物・動物の生理なら第6・第7単元、生態学なら第8単元。細胞と遺伝子が中心の授業は第3単元までで足りる。
- 練習: 章末問題と解答の付録を使い、授業で使うなら Mastering Biology の教材も用いる。
