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History and Theory in Anthropology(人類学の歴史と理論) cover

人類学

人類学

History and Theory in Anthropology(人類学の歴史と理論)

Alan Barnard

英語原題: History and Theory in Anthropology

人類学理論の展開を、その先駆者から現在までたどり、主要な学派を互いの関係の中で説明する教科書である。社会人類学者によって書かれ、理論をそれぞれ固有の問いと前提をもつ競合する視点の集まりとして扱い、イギリスと北米以外の人類学の伝統にも目を向けている。

前提知識: 文化人類学または社会人類学の入門科目を修了していることを前提とする。

難易度レベル
上級
学術レベル
上級
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Barnard, A. (2021). History and Theory in Anthropology(第 2 版). Cambridge University Press.

章の要約

第 2 版は十四章、本文約 200 ページからなり、そのあとに二つの付録(生没年一覧と約 40 ページ弱の用語集)、参考文献、索引が続く。ケンブリッジの章ごとの要旨によれば、大半の章は八~二十ページ程度と短い。本書は主に、おおよそ歴史順に学派を紹介していく構成であり、以下の要約は出版社の要旨に沿っている。

第1章:人類学のヴィジョン

冒頭の章は、北米でボアズと結びつく「四分野」アプローチ(生物、考古、言語、文化)を紹介し、本書が基本的に文化人類学についての本であることを述べる。また民族誌と理論の区別、パラダイムという考え、通時・共時・相互作用的視点の対比、社会への強調と文化への強調も導入される。

第2章:人類学的伝統の先駆者たち

近代人類学は十九世紀末に始まったが、その起源はもっと古くまでさかのぼる。この章は、グロティウス、プーフェンドルフ、ロック、ホッブズなど十七世紀の人物、何をもって完全な人間とみなすかをめぐる議論、モンテスキュー、ルソーほか、そして多元発生説と単元発生説の考えを検討する。

第3~4章:進化をめぐる見方の変化;伝播論と文化領域論

第 3 章は十九世紀の進化論がどう変化したかをたどる。存在の大いなる連鎖から、単系的・普遍的・多系的進化論を経て、近年の新ダーウィン主義に至る。第 4 章は、ドイツの文献学の伝統における先行者、ラッツェルら、英国の伝播論者エリオット・スミスとペリー、ウィスラーを含む文化領域論者、「オランダ構造主義」の地域的アプローチを扱い、例証的、全球サンプル的、統制的という三種の比較で終わる。

第5~7章:機能主義と構造機能主義;行為と過程;マルクス主義の視点

第 5 章は、二十世紀初頭の英国人類学を支配したマリノフスキーの機能主義とラドクリフ=ブラウンの構造機能主義を、デュルケーム社会学に根ざすものとして示す。第 6 章は一九五〇年代以降の動態的アプローチ、フレドリック・バルトらの取引論者とマンチェスター学派を扱い、三つの民族誌的論争(フリードマン対リーチ、ウィルムセン対リー、オベーセーカラ対サーリンズ)を論じる。第 7 章は一九七〇年代以降のマルクス主義への関心、とくにゴドリエの構造的マルクス主義とメイヤスーの「土地と労働」のマルクス主義を取り上げる。

第8章:相対主義から認知科学へ

この章は相対主義を中心に据える。それはボアズの構想の中心であり、ルース・ベネディクトとマーガレット・ミードに引き継がれた。これに対置されるのが、ある文化は他の文化より優れているとするレヴィ=ブリュルの見解である。ウォーフの言語相対論と、異なる親族範疇が思考様式にもつ含意にも触れる。題名からは、さらに認知科学へ進むことがうかがえる。

第9~10章:構造主義――言語学から人類学へ;ポスト構造主義者とフェミニスト

第 9 章は構造主義を、パターンの重視と、意味が関係から生まれるという考えとして説明する。言語学のソシュールに始まり、親族と神話に関するレヴィ=ストロースの仕事に続き、英国、ブラジル、オランダでのその後の展開に及ぶ。第 10 章はポスト構造主義とフェミニズムを、どちらも権力関係の理解にかかわるものとして一緒に取り上げ、デリダ、フーコー、ブルデュー、ジェンダー研究を論じる。

第11~12章:異端者たち;解釈的アプローチ

第 11 章は短く、グレゴリー・ベイトソン(国民性)とメアリー・ダグラス(「グリッドとグループ」)の二人を扱う。第 12 章は構造の拒否を扱い、エヴァンズ=プリチャードは人類学を歴史や翻訳に近いものとみなし、ギアーツは「厚い記述」を求めた。

第13~14章:ポストモダニズムとその余波;結論

第 13 章は、ポストモダニズムと、グローバル化、先住性、ナショナリズムへの関心の再燃の役割を扱う。第 14 章は、十八世紀初頭から新型コロナのパンデミックまでの人類学史の主要なテーマを概観し、人類学史と先住民問題、各国の伝統、ブラック・ライヴズ・マターを含む現代の問題についても考察する。

主要概念

第1~4章

  • 四分野:人類学の生物、考古、言語、文化の各部分。本書が扱うのは文化人類学である。
  • パラダイム:学問の発展における包括的な枠組み。
  • 単系的・普遍的・多系的進化論:十九世紀の進化思想の相次ぐ形態。
  • 伝播論と文化領域:伝播と地域的なまとまりによって文化の類似を説明するもの。

第5~8章

  • 有機体のアナロジーと機能主義:社会を有機体にたとえる見方、マリノフスキーのフィールドワークに基づく機能主義、ラドクリフ=ブラウンの自然科学モデル。
  • 取引論とマンチェスター学派:行為と過程に注目した動態的アプローチ。
  • 相対主義:どの文化も他の文化より優れていないというボアズの見方と、言語相対論。

第9~14章

  • 構造主義:意味は事物のあいだの関係にあるとする、ソシュールからレヴィ=ストロースへの系譜。
  • ポスト構造主義とフェミニズム:権力関係を中心とするアプローチ。
  • 厚い記述:ギアーツのアプローチで、解釈的アプローチの章では構造に対置される。
  • 先住性とグローバル化:ポストモダニズムの章の主題。

批判的分析

長所

  • 幅広く比較的な扱い。 出版社は、学問の始まり、進化論、機能主義、構造主義、マルクス主義から、グローバル化、ポストコロニアリズム、「人種」や「先住」の概念に至る範囲を扱うと説明している。
  • 欧米を超えて。 紹介文は、この版が世界の他の地域の先駆者たちの貢献も明らかにするとしており、最終章は各国の伝統を論じている。
  • 簡潔な章と参照用の装置。 出版社によれば、大半の章は短く自己完結しており、生没年一覧、充実した用語集、「受賞歴のある図」が付く。
  • 学派だけでなく論争も。 第 6 章は具体的な民族誌的論争を用いて、人類学が解釈をめぐって争いのない学問ではないことを示す。

短所

  • 一部の学派の扱いが短い。 本文は約 200 ページで、八ページしかない章(異端者たち、解釈的アプローチ)もあり、一部の学派は簡潔にしか論じられない。どれかを深く追うには原典が必要である。
  • 文化人類学が中心。 第 1 章が本書は基本的に文化人類学についてのものだと述べており、他の三分野は背景として現れるにすぎない。
  • 概説であり批判ではない。 出版社は本書を、概念を明快かつ包括的に扱うものとして紹介している。学問の政治についての持続的な批判的読解を求める読者は、別の資料を足す必要がある。

コースにおける位置づけ

文化人類学入門のコースでは、バーナードの本は理論を読むための一冊である。ゲストの『Cultural Anthropology: A Toolkit for a Global Age』とエリクセンの『Small Places, Large Issues』は概念と民族誌的主題を扱う入門教科書であり、ミードの『サモアの思春期』は古典的な単一共同体の民族誌で、その著者はバーナードの相対主義の章で名前が挙がるボアズの弟子の一人である。ウルフの『ヨーロッパと歴史のない人々』は種類の異なる本で、政治経済学を世界規模で適用する持続的な歴史的議論である。

順序としては、まず入門教科書の一冊を読み、そこで出会った概念を思想的な文脈に置き直したいときにバーナードを読み、それからウルフか一次の民族誌で理論的視点の適用を見るとよい。

本書の使い方

本書は二、三年次の学部生や概観を必要とする大学院生向けで、文化人類学または社会人類学の入門課程を前提としている。まず第 1 章で本書の枠組みをつかみ、そのあと章を順に読む。後の学派は先の学派への反応として定義されるからである。章が短いので、各学派に古典的な読み物を一つ組み合わせられる。たとえば第 5 章にマリノフスキー、第 9 章にレヴィ=ストロース、第 12 章にギアーツである。

各学派の主要人物、中心的な問い、主な批判を比較する表を作り、復習には用語集と生没年の付録を使うとよい。結論の章は本書の主要テーマをまとめているので、復習やエッセイ・学位論文の枠組みづくりに役立つ。