01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Escobar, A. (2011). Encountering Development: The Making and Unmaking of the Third World(2012 年版の新しい序文つき). Princeton University Press.(初版 1995 年。)
章の要約
本書は、2012 年版のために書かれた長い序文、1995 年の元の序文、六つの章からなり、注、参考文献、索引が続く。以下は、公表されている章題、出版社の紹介文、公刊された書評に基づく。
2012 年版への序文
出版社はこの序文を、かなりの分量の新しい序論だと説明している。エスコバルはここで、1995 年の初版以降のグローバル化とポスト開発をめぐる議論を振り返り、ポスト開発の概念は現在の状況に合わせて再定義されなければならないと主張し、ラテンアメリカの近年の運動を例に、「プルリヴァース(多元世界)研究」という分野を提唱する。約四十ページ近くあり、短い付記ではなくそれ自体が独立した文章である。
開発と近代性の人類学
冒頭の章は本書の取り組み方を示す。出版社によれば、エスコバルは 1980 年代に利用できるようになった社会的現実の表象を分析する新しい手法を、開発の言説と実践全般の分析に適用している。ある書評は中心的な提案を、開発を「歴史的に特異な経験」として、三つの軸に沿って分析することだとまとめている。すなわち、開発を生み出す知の形態、その実践を規制する権力の体系、そして人々が自らを「開発された」あるいは「低開発」とみなすようになる主体性の形態である。
三つの世界の物語と開発
この章は戦後の状況に移る。出版社の枠組みでは、北米とヨーロッパがアジア、アフリカ、ラテンアメリカの社会の手本とみなされるようになり、戦後の開発言説は事実上「第三世界」を知と介入の対象として作り出した。
成長と資本の物語
出版社は、開発言説における経済学者の役割を特に強調している。章題は、この言説における経済成長と資本の物語を指しており、出版社の経済学者についての説明からは、この章が経済学者が開発の形成にどう関与したかを検討するものだと考えられる。
食と飢えの物語
本書のコロンビア事例研究である。出版社によれば、「食の経済化」が野心的な計画とより多くの飢えをもたらしたことを示す。書評は、食と栄養は、貧困や公衆衛生と同様に、本書では所与の事実ではなく開発のパラダイムの内部で作られた概念として扱われていると付け加える。
農民・女性・環境の物語
議論はここで開発の他の分野へ広がる。出版社によれば、この章は、農民、女性、自然が「専門家のまなざし」のもとで知の対象、権力の標的となった過程を示す。
ポスト開発の時代を想像する
最後の章は、開発イデオロギーが崩壊したのちの代替的なビジョンを論じる。書評は、エスコバル自身の代替案の提案は本書ではまだ素描にとどまり、のちの「プルリヴァース」についての著作でさらに展開されると指摘している。
主要概念
2012 年版序文と冒頭の章
- 言説としての開発:開発を中立的な過程ではなく、知の形態、権力の体系、主体性の形態によって作られた思考と行動の領域とみなす考え方。
- ポスト開発:開発イデオロギーの外で考え、生きる可能性。2012 年版の序文は、この概念を再定義する必要があると論じる。
- プルリヴァース研究:新しい序文でエスコバルが提唱する分野で、ラテンアメリカの近年の運動を例にしている。
第三世界・成長・食に関する章
- 知の対象としての第三世界:開発言説が、自らが記述すると称した範疇を作り出す手助けをしたという議論。
- 食の経済化:飢えを経済問題として扱うこと。本書はコロンビアの事例で検討する。
農民・女性・環境・ポスト開発に関する章
- 専門家のまなざし:農民、女性、自然が、知られ、管理されるべきものとなる仕組み。
批判的分析
長所
- 明確な中心的問い。 出版社の紹介は、本書全体を、工業国が世界の他の地域の手本とみなされるようになったのはなぜか、またそれがどのように「第三世界」を作り出したのかという問いのもとに位置づけている。各章題(三つの世界、成長、食、農民・女性・環境)は、その問いが追究される領域を示している。
- 理論と事例の結合。 開発言説の一般的な分析に、食と栄養についてのコロンビアの持続的な事例を結びつけているため、議論が抽象にとどまらない。
- 更新された版。 2012 年版の序文は 1995 年の議論を、その後のグローバル化とポスト開発をめぐる議論に結びつけ、初版以降に何が変わったかを判断する手がかりを与える。
- 後続研究への影響。 『Journal of Ethnic and Diversity Studies』の 2024 年の書評(Phang、Olmedo、Pue)は、刊行から三十年近くを経ても、本書は開発批判とプルリヴァースな世界の可能性について示唆を与え続けていると述べている。
短所
- 代替案は素描にとどまる。 同じ書評は、本書の代替案の提案は哲学的な認識論の領域にとどまっており、「まだマニフェストではない」と判断し、エスコバルのその後のプルリヴァースに関する著作とあわせて読むことを勧めている。
- 理論的に濃密。 出版社の説明は言説分析と権力・表象の考え方に依拠しているため、理論的な議論についていける読者を前提とし、開発実務の手引きではない。
- 事例が古く、範囲が限られる。 主な経験的事例はコロンビアで、主な分析は戦後から 1990 年代までを扱う。本書を現在に近づけているのは新しい序文であるため、より新しい開発研究とあわせて読むとよい。
コースにおける位置づけ
グローバル化と開発の人類学のコースでは、『Encountering Development』は理論的に歯ごたえのある批判の書である。人類学と開発についての教科書は二冊ある。クルーとアクセルビーの入門書は開発を、援助国、政府、組織、そして彼らが助けようとする人々のあいだの関係として扱う。ガードナーとルイスの批判的な教科書は、1990 年代以降の開発の思想と実践の変化を検討する。エリクセンの『Globalization: The Key Concepts』は、グローバルなつながりが地域の生活をどう変えるかについての短い入門である。タラル・アサドの『Anthropology and the Colonial Encounter』は人類学と植民地主義の関係を批判的に検討しており、開発政策が植民地的な統制に匹敵する統制の仕組みになったというエスコバルの議論と組み合わせやすい。
順序としては、まず教科書の一冊で援助の語彙と歴史を押さえ、次にエスコバルで言説中心の批判を読み、最後にもう一冊の教科書かアサドで、その批判がどう議論されているかを見るとよい。
本書の使い方
本書は、理論的な議論についていける、人類学、地理学、開発研究、ポストコロニアル理論の上級学部生と大学院生向けである。社会理論の素養(書評は、権力はどこにでもあるというフーコーの考えに触れている)があると役に立つ。開発政策の入門書ではない。
実際的な読み方は、まず 2012 年版の序文と冒頭の章を読むことである。そこに取り組み方と、知・権力・主体性の三つの軸が述べられているからだ。次に「三つの世界の物語と開発」と「成長と資本の物語」を議論の中核として読む。「食と飢えの物語」は本書の詳しい事例で、方法の適用を見るのに最適である。「農民・女性・環境の物語」はその拡張であり、「ポスト開発の時代を想像する」は最後に、できればエスコバルのその後のプルリヴァース論とともに読むとよい。読みながら、本書がどの範疇(貧困、飢え、成長、農民)を構築されたものとして扱っているかの一覧を作り、各主張を支える根拠を問うとよい。具体的な開発プロジェクトの民族誌を併読すると対照になる。
