01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Walliman, N. (2026). Research Methods: The Basics (4th ed.). Routledge.
章の要約
第4版は346ページで、序論のあと二部に分かれる。第I部は研究の理論と実践(第1〜5章)、第II部は主な研究方法(第6〜13章)である。出版社は第I部を知識の本質と研究を行う理由を扱う部分、第II部を研究プロジェクトを遂行するための具体的な方法と、それをどう提案・計画・実施・執筆するかを説明する部分と述べている。各節の終わりには学習課題があり、重要用語集と推薦文献の案内も付く。
第I部:研究の理論と実践
- 第1章:Research basics(研究の基本)。 研究とは何か、なぜ行うのかを導入する章。出版社は、研究プロジェクトを行う理由、動機と成果物の質を本書の主題に挙げている。
- 第2章:Research theory(研究理論)。 出版社が第I部の説明で挙げる知識の本質を扱う章で、方法の章に先立つ。
- 第3章:Structuring the research project(研究プロジェクトの構成)。 紹介文の「研究プロジェクトの構成と計画」に対応する章。
- 第4章:Research ethics(研究倫理)。 研究に伴う倫理的問題に充てられた章。
- 第5章:Finding and reviewing the literature(文献の探索とレビュー)。 プロジェクトが土台とする既存の研究を探し、評価する章。
第II部:主な研究方法
- 第6章:The nature of data(データの性質)。 出版社が挙げる、さまざまな種類のデータとその測定方法を、目次がここに位置づけている。
- 第7章:Collecting and analysing secondary data: Modern, historical and archival(二次データの収集と分析:現代・歴史・文書館資料)。 現代の記録から歴史的資料、公文書資料まで、既存の資料を証拠として使う。
- 第8章:Collecting primary data(一次データの収集)。 研究者自身が直接集めるデータ。
- 第9章:Quantitative data analysis(量的データの分析) と 第10章:Qualitative data analysis(質的データの分析)。 数値データと非数値データの分析を扱う対の章。
- 第11章:Mixed-methods and interdisciplinary research(混合研究法と学際研究)。 複数のアプローチを組み合わせ、分野の境界を越える章。
- 第12章:Writing the proposal and planning the research project(提案書の作成と研究計画) と 第13章:Writing up the research(研究の執筆)。 最後の二章は、提案と計画から報告書の執筆までプロジェクトを導く。
第4版は研究における人工知能に関する節を加えている。目次にはその位置が示されていないため、ここでは特定の章に割り当てられない。
主要概念
第I部(第1〜5章)
- 知識の本質:何が証拠となるか、なぜ研究を行うかを問うための理論的基盤。
- プロジェクトの構成:各部分が噛み合うよう計画を立てること。
- 研究倫理:人とその情報を研究する際の倫理的問題。
- 文献レビュー:先行研究を見つけ、検討すること。
第II部(第6〜13章)
- データの種類と測定:さまざまな種類のデータとその測定方法。
- 一次データと二次データ:研究者が集めるデータと既存のデータ(歴史・文書館資料を含む)。
- 量的分析と質的分析:数値データと非数値データを別々の章で分析する。
- 混合研究法と学際研究:アプローチや分野を組み合わせること。
- 提案書と執筆:研究提案を作り、研究を書き上げること。
批判的分析
長所
- 短く、幅広い。 出版社は、初めて研究に取り組む読者のための、理解しやすく使いやすい研究理論・方法・実践の入門として位置づけ、自然科学、社会科学、人文学を明示的に対象にしている。
- プロジェクト全体の流れ。 目次は知識の本質から、倫理、文献、データ、分析、提案、最終的な執筆まで進むので、初めて研究する人がアイデアから報告書までの流れを追える。
- 学習の助け。 各節の終わりに学習課題があり、用語集と推薦文献の案内もある。この版では、出版社がチェックリスト、事例研究、分野別の例、討論課題、学習のヒント、練習問題をオンラインで追加している。
- 新しい版。 第4版は、人工知能ツールを研究にどう使えるかについての内容を加えている。
短所
- 圧縮。 346ページに13章、データ分析は2章に分けられており、各方法の概観にとどまり実務マニュアルではない。自分で統計やコーディングを行う学生には専門の教科書が必要である。
- 分野を限定しない。 自然科学・社会科学・人文学を一緒に対象とするため、社会学に特化した方法論書のような分野別の詳細は得られない。
- 補助資料はオンライン。 事例研究、問題、チェックリストなどの追加支援の多くは、書籍ではなく付属サイトにある。
コースにおける位置づけ
コースの研究方法の本の中で、Walliman は短く幅広い最初の一冊である。Babbie の The Practice of Social Research は、社会調査の論理、測定、標本抽出、観察の様式、分析を軸にした長い入門書で、実験、調査、フィールド研究を別々の観察様式として扱う。Bryman の Social Research Methods は量的・質的・混合研究法にわたる研究過程全体を扱う包括的な英国の教科書、Creswell と Creswell の Research Design は研究の計画と提案書の執筆に関するコンパクトな手引きである。
さらに、Charmaz の Constructing Grounded Theory は一つの質的アプローチに特化した専門書、Morgan と Winship の Counterfactuals and Causal Inference は因果推論の大学院向け教科書、King、Keohane、Verba の Designing Social Inquiry は質的研究と量的研究が推論の一つの論理を共有すると論じる。Walliman は全体の見取り図を与えることで、これらへの準備になる。
本書の使い方
研究方法の訓練を受けていない読者を想定しており、初めての研究プロジェクトや卒業論文を計画する学部生や実務家を含む。
実践的な進め方は次のとおり。
- 第I部を先に読む。 第1〜5章が基礎を築く。データ収集を始める前に、第4章(倫理)と第5章(文献)を読む。
- 第II部はプロジェクトの種類に応じて選ぶ。 第6章でデータを学び、二次データ、一次データ、必要な分析の章へ進む。
- 第12〜13章で締めくくる。 提案書を準備するときと、執筆するときに読む。
- 学習課題を行い、 オンライン資料を使い、専門的な方法が必要になったらより長い教科書に移る。
