01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Adébísí, F. (2023). Decolonisation and Legal Knowledge: Reflections on Power and Possibility. Bristol University Press.
章の要約
背景と論旨
本書は約200頁の理論的な小著で、学問分野としての、また知の体系としての法が、植民地主義とどう結びついているかを論じる。出版社の紹介によれば、出発点は、法が人種化された階層秩序の創出、維持、再生産に深く関わっており、それが深刻な地球規模の格差を生み、維持しているということである。アデビシは、脱植民地化が何を意味するのか、その答えが法の教育、研究、実践に何を意味するのかを検討する。本書は、法の基礎が植民地的な思考と絡み合っており、そこには身体や時間・空間を商品化の対象とみなす見方も含まれると論じ、脱植民地化の理論と実践を用いて、「花開く未来」のための法的知識を構想する。舞台はロースクール、特に英国のそれであり、主な読者は法を学ぶ人、教える人だが、議論はより広い脱植民地的・批判的人種研究に依拠している。
構成は、序論、六つの章、結論である。第1章は理論を示し、第2章は法という学問分野に向かい、第3〜5章は法が規定する「主体」についての三部作をなし、第6章と結論はロースクールと大学に戻る。
序論:ロースクールと学問分野の場面設定
序論は、ロースクールをより広い文脈に置き、本書がこの後取り上げる、法学教育と、不平等を維持するうえでこの学問分野が果たす役割についての問いを準備する。
第1章:脱植民地化の諸理論、あるいは、すべての机を壊し、私たち皆が生き延びるのに必要な世界をつくるために
この章は脱植民地化の諸理論を概観し、この語が何を意味するかを問う。脱植民地化を比喩ではなく政治的プロジェクトとして扱い、それは植民地にも宗主国にも関わるとし、本書の残りで用いられる語彙を準備する。
第2章:あなたは何をしてきたのか、どこにいたのか、ヨーロッパ近代の法学界よ? 法の植民地的存在論の骨を掘り起こす
この章は、近代の法的知識と教育の植民地的基礎、著者が「ヨーロッパ近代的」と呼ぶものを検討し、法的思考が世界や人間とは何かについての植民地的な前提をどう担っているかを検討する。この学問分野が変わるためには、まずこれらの前提を吟味しなければならないと論じる。
第3章:法の主体を定義する I:「地に呪われたる者」を(解き)つくる
法の主体についての三つの章の最初のもので、法が人や集団をどのようにつくり、また解体するかを問う。題名はファノンを響かせている。誰が完全な法的主体と数えられ、誰がそうでないかを定めるために、法的カテゴリーがどう使われてきたかを考察する。
第4章:法の主体を定義する II:法と植民地主義の「犠牲区域」の創出
第二の章は、「犠牲区域」、すなわち使い捨てられてよいものとして扱われる場所と共同体、そしてそれらの創出と維持において法が果たす役割を検討する。
第5章:法の主体を定義する III:法、時間、植民地主義の緩慢な暴力
第三の章は時間の次元を加える。緩慢な暴力、つまり徐々に蓄積し、しばしば暴力として認識されない害を、植民地的な法的取り決めの特徴として扱い、脱植民地化の作業が何に取り組まなければならないかを問う。
第6章:ロースクール:植民地のグラウンド・ゼロ――人間と時空における植民地的収束
この章はロースクールに戻り、人間や時間・空間についての植民地的観念が収束する場所と呼ぶ。ロースクールは教育と制度的実践を通してそれらを再生産しており、したがって変革を追求すべき場所だと論じる。
結論:もう一つの大学が必要である――多元宇宙的世界へ向けて
結論は、大学が、多元的で脱植民地的な知の生産の場として再構想される必要があると提案する。目指すのは、さまざまな知り方と在り方が認められる「プルリヴァーサル(多元宇宙的)」な世界である。
主要概念
序論〜第2章
- 政治的プロジェクトとしての脱植民地化:言葉のあやだけでなく、物質的・制度的な関係の変革。
- ヨーロッパ近代の法的知識:ヨーロッパの植民地大国から生まれ、普遍的であるかのように自らを示す支配的な法の伝統。
- 法の植民地的存在論:法の基礎が前提とする、世界と人間についての見方。
第3〜6章と結論
- 法的主体性:法が、誰を資格のある人とみなすかを定める仕方。
- 犠牲区域:使い捨てられてよいものとして扱われる場所と共同体。
- 緩慢な暴力:時間とともに徐々に蓄積する害。
- 多元宇宙的世界:多くの世界を含む世界であり、複数の知り方が尊重される。
批判的分析
長所
- 対象が具体的。 本書は法と法学教育に焦点を絞ることで、知の脱植民地化という一般的な観念に具体的な場を与え、一つの学問分野にそれがどう適用できるかを示す。
- 明快な順序。 各章は、理論から、法の基礎、法的主体の形象、ロースクールという制度、そして大学へと進み、議論に目に見える秩序を与えている。
- 伝統を横断する読解。 本書は、ファノン、ミニョーロ、エスコバルなど脱植民地思想の著者や、批判的人種研究と法学の研究に依拠しており、それらの文献への入口として使える。
短所
- 理論的な語りが濃密。 本書は専門用語(植民地的存在論、ヨーロッパ近代的、深淵線、死の政治的)を用いるため、脱植民地理論に不慣れな読者には追いにくいことがある。
- ロースクールへの焦点。 詳細は法学教育と学問分野としての法に関わるため、他分野の読者は議論を自分の場面に置き換える必要がある。
- 実践的な指針は限られる。 本書は権力と可能性についての考察として自らを示しており、カリキュラムを変えるための段階的な計画ではなく、方向性と一組の概念を提供する。
コースにおける位置づけ
ポストコロニアルとデコロニアルの思想を扱うこのコースで、本書は上級の、特定分野に即した著作である。ヤングの『ポストコロニアリズム:ごく短い入門』とファノンの『黒い皮膚・白い仮面』はポストコロニアル思想の背景を与え、バンブラとホルムウッドの『植民地主義と近代社会理論』とバンブラの『近代性の再考』は、この議論が社会学でどう働くかを示す。スミスの『脱植民地化の方法論』とハリソンの『人類学の脱植民地化』は、研究方法と人類学で同様の作業をしており、アデビシの本は法学の側からの自然な比較対象となる。
本書の使い方
本書は、法学、社会学、関連分野の大学院生や上級学部生に向いている。脱植民地理論やポストコロニアル理論の事前の読書は非常に役立つ。順序としては、序論、枠組みを示す第1章、次に第2章がよい。第3〜5章は一組として、あるいは関心に応じて選んで読めるし、第6章と結論は議論を制度のレベルへ導く。
読みながら、本書の主要用語の短い用語集を作り、それぞれが導入される箇所を書き留めておくとよい。各章を読み終えたら、自分が受けた授業にとってそれが何を意味するか、法、人、時間についてのどのような前提を問い直すのかを考えてみる。参考文献(158〜189頁)は、本書が依拠する文献への道筋になる。
