01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Charmaz, K. (2024). Constructing Grounded Theory (3rd ed.). SAGE Publications. Introducing Qualitative Methods series.
章の要約
第3版は12章、約400ページである。出版社は、これを構成主義的グラウンデッド・セオリーの実践の手引きと説明し、豊かなデータの収集とインタビューから、コーディング、研究のまとめ方まで、研究のすべての段階を読者に案内するとしている。章はその作業の順序に従う。この版では、オーストラリア、カナダ、日本、アメリカなどの研究者による、グラウンデッド・セオリー研究の実例9件の新しい事例研究、各章冒頭の学習目標、各章の読書案内が加わった。
第1章:An Invitation to Grounded Theory
冒頭の章は読者をグラウンデッド・セオリーへ招き入れ、本書が教える構成主義的なその版を導入する。
第2〜4章:Gathering Rich Data;Crafting and Conducting Intensive Interviews;Interviewing in Grounded Theory Studies
最初の実践的な章はデータ収集を扱う。第2章は豊かなデータの収集一般を扱い、第3・4章はインタビューに集中する。集中的インタビューの作り方と実施、そしてグラウンデッド・セオリー研究の中でのインタビューである。
第5〜6章:The Logic of Grounded Theory Coding Practices and Initial Coding;Focused Coding and Beyond
コーディングは二つの章で扱われる。第5章はグラウンデッド・セオリーのコーディングの論理と最初の段階である初期コーディングを示し、第6章は焦点的コーディングとその先へ進む。
第7章:Memo-writing
分析の間に書かれるメモの章で、目次はコーディングとサンプリングの間に置いている。
第8章:Theoretical Sampling, Saturation, and Sorting
この章は、理論的サンプリング、飽和、整理(ソーティング)を扱う。
第9章:Reconstructing Theorizing in Grounded Theory Studies
第9章はコーディングとサンプリングから理論化へ向かう。題名は、グラウンデッド・セオリー研究における理論化とは何かの捉え直しを示している。
第10章:Symbolic Interactionism and Grounded Theory
この章は、グラウンデッド・セオリーとシンボリック相互作用論の関係を扱う。
第11〜12章:Writing the Draft;Reflecting on the Research Process
最後の二章は、研究のまとめ方(草稿の執筆)と、研究過程全体の振り返りを扱う。
主要概念
第1〜4章
- 構成主義的グラウンデッド・セオリー:出版社によれば、本書が段階を追って教えるグラウンデッド・セオリーの版。
- 豊かなデータ:第2章が収集を求める種類の資料。
- 集中的インタビュー:第3・4章で扱われるインタビューの方法。
第5〜9章
- 初期コーディングと焦点的コーディング:第5・6章に挙げられた二つのコーディング段階。
- メモ書き:第7章の書く実践。
- 理論的サンプリングと飽和:第8章のサンプリングと打ち切りの考え方。
- 整理(ソーティング):第8章の題で理論的サンプリング、飽和と並べて挙げられている。
- 理論化:第9章の主題。
第10〜12章
- シンボリック相互作用論:第10章で論じられる視点。
- 草稿の執筆:第11章の書く段階。
- 研究過程の振り返り:第12章の主題。
批判的分析
長所
- 段階を追った設計。 目次は研究を進める順序に従っている。データ、インタビュー、コーディング、メモ書き、サンプリング、理論化、執筆、振り返りである。読者は本を傍らに置いて研究を始められる。
- 親しみやすい語り口。 出版社は、本書がキャサリン・シャーマズの「特徴的な温かく親しみやすい文体」を保ち、学部生、大学院生、研究者のいずれにも向けて書かれていると説明している。
- 学習のための仕掛け。 新版は各章に学習目標と読書案内を加え、数か国の研究者による9件の事例研究を載せるので、各技法を完成した研究の中で見ることができる。
- 前の版の評価。 出版社は第2版への賛辞を載せており、Norman K. Denzinはこれを「大きな達成」と呼び、Social Research Associationの Research Matters のPaul Webbは、読みやすく実践的な助言に富むと評した。
短所
- ひとつのアプローチ。 本書は構成主義的グラウンデッド・セオリーを教えるもので、社会調査全体の概観ではない。質的研究の諸伝統の概観や、グラウンデッド・セオリーのほかの版を求める読者には別の本が必要になる。
- 書評は前の版のもの。 出版社が載せる推薦は第2版についてのものなので、第3版での変更についてはほとんど語らない。
コースにおける位置づけ
研究法のコースでは、本書はグラウンデッド・セオリーによる質的分析の専門書である。Babbieの The Practice of Social Research とWallimanの Research Methods: The Basics は研究デザインと方法全体への入門であり、Brymanの Social Research Methods は量的・質的・混合法を扱う包括的なイギリスの教科書である。いずれも、グラウンデッド・セオリー研究がいつ適切な選択かを判断する文脈を与える。
CreswellとCreswellの Research Design は、質的・量的・混合の各アプローチで研究を計画し、計画書を書くための簡潔な手引きであり、グラウンデッド・セオリーの計画を研究計画書にまとめなければならないときの補完になる。MorganとWinshipの Counterfactuals and Causal Inference は方法の範囲の反対側にあり、観察データからの因果推論の大学院向け教科書であって、シャーマズの解釈的な目的との対照を与える。
本書の使い方
本書は、これから質的研究を行う大学院生や研究者、研究プロジェクトに取り組む上級の学部生に向く。質的インタビューと研究デザインの基本を含む研究法の一般的な授業が有益な準備である。
実際の読み方は次のとおり。
- まず第1・2章を読み、アプローチとそれが求めるデータの種類をつかみ、インタビューを始める前に第3・4章を読む。
- 分析しながら第5〜8章を読む。 作業マニュアルとして扱う。コーディングについて読みながら最初のインタビューをコード化し、第7章を読みながらメモを書き、次にどんなデータを集めるかを決めるときに第8章を読む。
- カテゴリーができたら第9・10章を読む。 分析を理論に変えることと、シンボリック相互作用論との関係づけに役立つ。
- 草稿を書く段階で第11・12章を読み、各章の事例研究と学習目標を自分のプロジェクトの点検に使う。
