01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Calhoun, C., Gerteis, J., Moody, J., Pfaff, S., & Virk, I. (Eds.). (2022). Classical Sociological Theory (4th ed.). Wiley-Blackwell.
章の要約
本書は連続した叙述の教科書ではなく、選文集(リーダー)である。全576ページに、書籍や論文からの抜粋を中心とする45本の番号付き選文(目次では多くが「from ...」と表記される)を10部に分けて収める。編者は巻頭に総序論を置き、各部にも独自の序論を付している。出版社の説明では、これらの序論が各選文を思想的・歴史的文脈の中に位置づける。以下では目次の題名をそのまま用いる。
第I部:社会学理論の先駆(Precursors to Sociological Theory、第1–4編)
啓蒙期および近代初期の4編で、編者はこれを学問の「前史」と位置づける。トマス・ホッブズ「Of the Natural Condition and the Commonwealth」、ジャン=ジャック・ルソー「Of the Social Contract」、イマヌエル・カント「What is Enlightenment?」、アダム・スミス「The Wealth of Nations」。
第II部:社会秩序の自由主義理論(Liberal Theories of Social Order、第5–10編)
トクヴィル『アメリカのデモクラシー』からの3編(「Influence of Democracy on the Feelings of the Americans」「Tyranny of the Majority」「What Sort of Despotism Democratic Nations Have to Fear」)に、ハリエット・マーティノー「Society in America」、ジェーン・アダムズ「'A Belated Industry'」、カール・ポランニー「Freedom in a Complex Society」が続く。
第III部:カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの社会学理論(The Sociological Theory of Karl Marx and Friedrich Engels、第11–17編)
7編を収める。「The German Ideology」「Economic and Philosophic Manuscripts of 1884」「Manifesto of the Communist Party」「Wage-Labour and Capital」「Classes」「The Fetishism of Commodities and the Secret Thereof」「The General Formula for Capital」。最後の2編は『資本論』の抄録版からである。
第IV部:エミール・デュルケームの社会学理論(The Sociological Theory of Emile Durkheim、第18–21編)
『社会学的方法の規準』『社会分業論』『宗教生活の原初形態』『自殺論』からそれぞれ1編ずつ。
第V部:マックス・ヴェーバーの社会学理論(The Sociological Theory of Max Weber、第22–27編)
「'Objectivity' in Social Science」「Basic Sociological Terms」「The Protestant Ethic and the Spirit of Capitalism」「The Distribution of Power within the Political Community: Class, Status, Party」「The Types of Legitimate Domination」「Bureaucracy」。最初に方法論と基本概念があり、そのあとに宗教、権力、正統性、組織を扱う実質的な研究が続く。
第VI部:自己と社会(Self and Society、第28–33編)
ジョージ・ハーバート・ミード「The Self」、ゲオルク・ジンメル「The Stranger」「The Triad」「The Metropolis and Mental Life」、W. E. B. デュボイス「The Souls of Black Folk」「The Damnation of Women」。
第VII部:批判理論(Critical Theory、第34–37編)
マックス・ホルクハイマー「Traditional and Critical Theory」、ホルクハイマーとテオドール・アドルノ「The Culture Industry」、ヘルベルト・マルクーゼ「One-Dimensional Man」、ハンナ・アーレント「'Reflections on Violence'」。
第VIII部:知識社会学(Sociology of Knowledge、第38–40編)
カール・マンハイム「Ideology and Utopia」、ピーター・バーガーとトーマス・ルックマン「The Social Construction of Reality」、アルフレッド・シュッツ「The Phenomenology of the Social World」。
第IX–X部:機能主義、社会的交換(Functionalism; Social Exchange、第41–45編)
タルコット・パーソンズ「The Position of Sociological Theory」、ロバート・K. マートン「Manifest and Latent Functions」「'Social Structure and Anomie'」、続いてジョージ・ホーマンズ「Social Behavior as Exchange」とピーター・ブラウ「Exchange and Power in Social Life」。
主要概念
第I–II部:先駆者と社会秩序の自由主義理論
- コモンウェルスと社会契約:ホッブズとルソーの政治哲学の語彙で、第1編・第2編の題名に現れる。
- 多数者の専制:民主的支配に対するトクヴィルの懸念で、第6編の題名。
- 複雑な社会における自由:ポランニーの選文の題名で、この部の最後の編。
第III–V部:マルクス、デュルケーム、ヴェーバー
- 商品の物神性と資本の一般的定式:第III部の『資本論』からの2編。
- 階級:マルクスの「Classes」が単独で扱う主題であり、ヴェーバーの権力配分の選文では身分・政党と並べられる。
- 社会的事実と方法:デュルケームの『社会学的方法の規準』が同部の冒頭を飾る。
- 正統的支配と官僚制:第26・27編でのヴェーバーの支配の類型と組織研究。
第VI–X部:自己、批判、知識、機能、交換
- 自己、よそ者、三者関係:個人と小規模な社会形式についてのミードとジンメルの議論。
- 文化産業と一次元的人間:第VII部の批判理論の選文。
- 現実の社会的構成:第39編の中心的な用語。
- 顕在的機能と潜在的機能、アノミー:第IX部のマートンの2編。
- 社会的交換:最終部の主題。
批判的分析
長所
- 一次文献に解説が付く。 各部に独自の序論があり、出版社は選文が理論的な洗練とアクセスしやすさの組み合わせで選ばれたと強調している。学生は要約ではなく、著者自身の言葉に触れることになる。
- 定番の三人にとどまらない広がり。 マルクス、デュルケーム、ヴェーバーは45編のうち17編を占めるが、目次にはマーティノー、アダムズ、デュボイス(2編)、フランクフルト学派、アーレント、そして啓蒙の背景を示す第I部も含まれる。出版社によれば、第4版は啓蒙期とトクヴィルの選文を加えて統合している。
- 人物別と学派別の編成。 第III–V部は三人の創始者にそれぞれ一まとまりを与え、ほかの部は主題でまとめているため、授業のシラバスに対応させやすい。
短所
- 抜粋のみである。 選文の多くは抜粋(「from ...」)であり、『社会分業論』や『資本論』のような著作全体を読む代わりにはならない。
- 叙述的な入門書ではない。 学問の流れを連続して説明する部分はなく、総序論と各部の序論が唯一のつなぎの文章である。
- 二十世紀半ばで終わる。 最後の部はパーソンズ、マートン、ホーマンズ、ブラウまでで、それ以降の理論は姉妹編『Contemporary Sociological Theory』(ゴフマン、ブルーマー、コリンズで始まる)にあり、出版社は両者をセットでも販売している。
- フロイトには独立した選文がない。 出版社の紹介は理論家の一人として彼の名を挙げているが、目次にフロイトの選文はなく、索引に現れるだけである。
コースにおける位置づけ
このコースの書目の中で、本書は一次資料の軸となる。イアン・クレイブの『Classical Social Theory』は創始者たちへの短く平明な入門であり、ケネス・アランとサラ・ダインズの『Explorations in Classical Sociological Theory』は、従来の叙述が省きがちな人物も含めて対話的な文体で紹介する。どちらも本書の前、または並行して読むのに向いており、抜粋だけでは得られない説明を補う。アンソニー・ギデンズの『Capitalism and Modern Social Theory』はマルクス、デュルケーム、ヴェーバーの資本主義論を比較するもので、第III–V部を読んだあとの自然な続きとなる。ロバート・ニスベットの『The Sociological Tradition』は、個々の思想家ではなく五つの「単位観念」で学説史を組み立てる。
書目に含まれる単行の著作、すなわちデュルケームの『The Division of Labor in Society』とヴェーバーの『The Protestant Ethic and the Spirit of Capitalism』は、本書では一部しか収められていない著作の全文を提供する。同じ創始者たちをポストコロニアルの視点から読み直したい場合は、バンブラとホルムウッドの『Colonialism and Modern Social Theory』が参考になるが、これはこの書目の別のコースに属する。
本書の使い方
出版社は本書を、社会理論・社会学理論を学ぶ学部生と大学院生向けとし、人文地理学、人類学、犯罪学、都市研究のコースにも適するとしている。前提条件は示されていない。各部の序論が歴史的・思想的文脈を補うよう作られているため、社会学の入門科目を一つ履修していれば十分である。
1学期のコースでの実際的な進め方は次のとおり。
- **中核:**総序論に続いて第III・IV・V部(マルクスとエンゲルス、デュルケーム、ヴェーバー)。各部の序論を読んでから選文に進む。
- **その次:**第VI部(ミード、ジンメル、デュボイス)と、自由主義の伝統とその批判者(トクヴィルやマーティノー)を知るための第II部。
- **任意または抜粋で:**背景としての第I部。二十世紀へ進むコースには第VII–X部。
各部の序論を先に読み、そのあと選文を読み、著者がどんな問いに答えているのかを一行でメモしておくとよい。短い抜粋は図書館で原著と見比べると、省かれた部分が分かる。二十世紀後半を知りたい読者は、姉妹編の現代理論の巻へ進むとよい。
