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Research Methods in Psychology(心理学研究法) cover

心理学

心理学

Research Methods in Psychology(心理学研究法)

Rajiv S. Jhangiani; I-Chant A. Chiang; Carrie Cuttler; Dana C. Leighton

英語原題: Research Methods in Psychology

心理学者が研究をどのように計画し、実施し、報告するかを学ぶ、無料でオープンライセンスの入門教科書。Paul C. Priceによる先行のオープン教科書を基に、科学的思考の論理から、測定、実験的・非実験的デザインを経て、基礎統計とAPAスタイルでの執筆までを扱い、各節末に練習問題がある。

前提知識: 心理学入門の授業を受けていると役立つ。数学は高校程度で足りる。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
research methodsexperimental designpsychological measurementresearch ethicsopen textbook

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Jhangiani, R. S., Chiang, I.-C. A., Cuttler, C., & Leighton, D. C. (2019). Research Methods in Psychology (4th ed.). Kwantlen Polytechnic University. Free official edition: https://kpu.pressbooks.pub/psychmethods4e/

章の要約

第1章:心理学という科学

冒頭の章は、私たちは自分の知っていることをどのようにして知るのかを問い、直観、権威、合理主義、経験主義、科学的方法を比較する。科学を3つの特徴(体系的な経験主義、経験的な問い、公共の知識)で定義し、科学と疑似科学を区別したうえで、行動を記述・予測・説明するという目標と、基礎研究と応用研究の区別を示す。常識の神話や素朴心理学に関する節は、懐疑心と不確かさへの耐性を求め、章の最後では実験心理学者と臨床心理学者を区別し、実証的に支持された治療法を紹介する。

第2章:科学的方法の概観

この章は研究のサイクルを単純なモデルとしてたどる。文献から生まれた問いが研究につながり、その公表結果が文献に戻っていく。研究テーマの見つけ方と文献検索(PsycINFOを用いる)、アイデアを経験的に検証可能な問いに変え、面白さと実行可能性から評価すること、仮説演繹法における理論と仮説の関係を扱う。続いて本書の残りを先取りし、変数と操作的定義、母集団と標本、実験研究と非実験研究、実験室研究とフィールド研究、記述統計と推測統計、第1種・第2種の過誤、そして科学者が「証明」という言葉を避ける理由を説明する。

第3章:研究倫理

倫理は、4つの道徳原則(リスクと利益の比較衡量、誠実さをもって責任ある行動をとること、正義の追求、権利と尊厳の尊重)を3つの集団――研究参加者、科学、社会――に当てはめる枠組みとして示される。章は倫理規範の歴史をニュルンベルク綱領からヘルシンキ宣言、ベルモント・レポートを経て米国連邦規則までたどり、APA倫理綱領の基準8(インフォームド・コンセント、欺瞞、デブリーフィング、動物研究、学術的誠実さ)と施設内審査委員会の役割を説明し、同意書の作成を含め、倫理的な研究を設計するための実践的な手順で締めくくる。

第4章:心理学的測定

測定は特性を表す得点を割り当てることと定義され、自己報告、行動、生理的測定が選択肢として示される。章は心理学的構成概念(ビッグファイブを例とする)、概念的定義と操作的定義、収束的操作、4つの測定水準を説明する。次に信頼性(再検査、内的一貫性、評定者間)と妥当性(表面的、内容的、基準関連、弁別的)を扱い、尺度を選ぶか作るか、実施し、新しいデータで再評価するという4段階の実践的手順を示す。

第5章:実験研究

実験は、独立変数の操作、従属変数の測定、剰余変数の統制によって定義され、その過程で交絡とプラセボ効果も説明される。章は参加者間計画(無作為割り当て、マッチング)と参加者内計画(持ち越し効果とカウンターバランス)を比較し、「4つの大きな妥当性」(内的、外的、構成概念、統計的)を導入し、実践的な事項――参加者の募集、手続きの標準化、実験者期待効果、操作チェック、予備実験――で終わる。

第6章:非実験研究

この章は操作を伴わない研究と、それが適切な選択となる場合を扱う。横断研究、縦断研究、コホート系列研究、相関研究と相関係数の解釈(相関は因果を意味しないという警告を伴う)、複雑な相関の手法(相関行列、因子分析、偏相関、重回帰)、質的研究と量的・質的「論争」、そして自然観察や参加観察から構造化観察、事例研究、アーカイブ研究に至る観察法を説明する。

第7章:調査研究

調査研究は、慎重に選ばれた標本に対する自己報告による測定として示され、その起源は社会調査、市場調査、世論調査にある。章は調査項目への回答を認知過程としてモデル化し、言い回し、順序、回答選択肢が文脈効果を生むことを示し、リッカート尺度やBRUSO原則(簡潔、関連性、明確、具体的、客観的)を含む項目作成の指針を与える。最後に確率標本抽出の方法、標本抽出バイアスと無回答バイアス、対面・電話・郵送・オンライン調査の長所と短所を扱う。

第8章:準実験研究

準実験は、無作為割り当てなしに独立変数を操作する。章は3つの1群デザイン(事後テストのみ、事前・事後テスト、中断時系列)と5つの非等価群デザインを説明し、内的妥当性が最も高いとされるスイッチング・レプリケーションのデザインで終わる。履歴、成熟、テスト効果、測定器具の変化、平均への回帰、自然寛解といった脅威が、心理療法は効くのかという問いを含む例を通じて説明される。

第9章:要因計画

要因計画は、2つ以上の独立変数を組み合わせ、一方の各水準が他方のすべての水準と組み合わされるようにする。章はそのような計画の設定と表し方(性別のような操作されない変数や非実験的な要因研究を含む)を示し、次に結果のグラフ化と、主効果、さまざまなタイプの交互作用、単純効果の解釈を説明する。演習では、2×2計画で起こりうる8通りの結果パターンをすべて描くよう求める。

第10章:単一事例研究

この章は単一事例研究を、少数の個人を詳しく調べる量的・実験的研究として示し、主に行動分析と結びついたものとして紹介する。反転デザインと多層ベースラインデザイン(参加者間、行動間、場面間)、グラフ化したデータの水準・傾向・潜時による視覚的分析、そしてデータ分析と外的妥当性をめぐる単一事例研究者と群研究者の意見の相違を説明し、両者は相補的であり、収束的な証拠が重要だと結論づける。

第11章:研究の発表

この章はAPAスタイルを3つのレベル(構成、高次のスタイル、低次の規則)で教え、文献リストと引用の書式を示す。実証的研究報告の各セクション(タイトルページと要約、導入部とその書き出し・文献展望・結び、方法、結果、考察、文献)を説明し、APAスタイルの報告例を収録する。さらに展望論文や理論論文、学位論文や学生のレポート、学会での口頭発表とポスターも扱う。

第12章:記述統計

学生は、度数分布表とヒストグラム、代表値(平均値、中央値、最頻値)と散布度(範囲、標準偏差)で分布を記述し、パーセンタイル順位とz得点で得点の位置を示すことを学ぶ。群の差はコーエンのdで、関係はピアソンのrで表し、それぞれに小・中・大の効果の慣例的な目安が示される。さらに、APAスタイルの本文・図・表での結果の報告方法、データの準備、計画的分析と探索的分析の区別を扱う。

第13章:推測統計

最終章は、帰無仮説検定の論理、しばしば誤解されるp値、関係の強さと標本サイズが共同で有意性を決めることを説明し、統計的有意性と実際的な有意性を区別する。1標本、対応あり、独立2群のt検定、一元配置・反復測定・要因分散分析、ピアソンのrの検定を例を通じて扱い、続いて第1種・第2種の過誤、検定力、帰無仮説検定への批判を論じる。最後の「再現性の危機」の節では、再現性プロジェクト、pハッキングやHARKingといった問題のある研究実践、事前登録・オープンデータ・TOPガイドラインといったオープンサイエンスによる対応を論じる。

主要概念

第1章:心理学という科学

  • 科学の3つの特徴:体系的な経験主義、経験的な問い、公共の知識であり、これらが科学を疑似科学から区別する。
  • 科学の目標:行動を記述し、予測し、説明することであり、基礎研究または応用研究を通じて追求される。
  • 実証的に支持された治療法:科学的研究によって有効性が示された臨床的介入。

第2章:科学的方法の概観

  • 研究文献:主に専門誌と学術書に公表された研究で、PsycINFOなどのデータベースで検索する。
  • 理論と仮説:理論は広範な知見を説明し、仮説はそこから導かれる具体的で検証可能な予測である。
  • 第1種・第2種の過誤:真の帰無仮説を棄却すること、あるいは偽の帰無仮説を棄却しそこなうこと。

第3章:研究倫理

  • インフォームド・コンセント:参加の判断に合理的に影響しうることをすべて伝えたうえで、同意を得て記録すること。
  • 欺瞞とデブリーフィング:欺瞞は厳しい条件のもとでのみ許され、参加者にはできるだけ早く真実を伝えなければならない。
  • 施設内審査委員会(IRB):研究計画が倫理基準に適合しているかを審査する委員会。

第4章:心理学的測定

  • 構成概念と操作的定義:自尊心のような直接観察できない変数と、それを特定の手続きによって測定可能にすること。
  • 測定水準:名義、順序、間隔、比率の各尺度であり、使用できる統計を決める。
  • 信頼性と妥当性:得点の一貫性と、得点が意図した変数を表している程度。

第5章:実験研究

  • 交絡変数:独立変数と系統的に共変する剰余変数。
  • 無作為割り当てとカウンターバランス:参加者間計画と参加者内計画で、剰余変数が交絡になるのを防ぐ技法。
  • 内的妥当性と外的妥当性:因果的結論の裏づけと、他の人や状況への一般化可能性。

第6章:非実験研究

  • 相関は因果を意味しない:XとYの関係は、YがXを引き起こしている場合や、第3の変数が両方を引き起こしている場合もありうる。
  • 偏相関と重回帰:複雑な相関研究で第3の変数を統計的に統制する方法。
  • 質的研究:幅広い問い、面接などの豊かなデータ、統計によらない分析を特徴とし、仮説の生成によく用いられる。

第7章:調査研究

  • 文脈効果:言い回し、項目の順序、回答選択肢が回答に及ぼす影響。
  • BRUSO:項目は簡潔で、関連があり、明確で、具体的で、客観的であるべきだという原則。
  • 無回答バイアス:回答しなかった人が回答者と異なることから生じるゆがみで、回答率を高めることで減らせる。

第8章:準実験研究

  • 準実験:無作為割り当てやカウンターバランスなしに独立変数を操作すること。
  • 非等価群:処置の前から異なっている可能性のある比較群。
  • スイッチング・レプリケーション:比較群にも後で処置を与えるデザインで、内的妥当性を高める。

第9章:要因計画

  • 要因計画:一方の独立変数の各水準を他の独立変数の各水準と組み合わせた研究。
  • 主効果と交互作用:ある変数の全体的な効果と、ある変数の効果が他の変数の水準によって変わること。
  • 単純効果:他の変数の各水準におけるある変数の効果で、交互作用を分解するために用いられる。

第10章:単一事例研究

  • 反転(ABA)デザイン:ベースライン、処置、ベースラインへの復帰によって、変化が処置に続いて起こることを示す。
  • 多層ベースラインデザイン:参加者、行動、場面ごとに異なる時点で処置を導入する。
  • 視覚的分析:水準、傾向、潜時の変化からグラフ上で効果を判断すること。

第11章:研究の発表

  • APAスタイル:心理学の文章作法の指針であり、構成、高次のスタイル、低次の規則の3つのレベルがある。
  • 実証的報告の構造:要約、導入、方法、結果、考察、文献からなり、文献展望はその研究を行う意義を論証する。

第12章:記述統計

  • 代表値と散布度:平均値・中央値・最頻値と、範囲・標準偏差。
  • z得点:平均からの距離を標準偏差単位で表した値。
  • 効果量:平均値の差にはコーエンのd、量的変数間の関係にはピアソンのrを用いる。

第13章:推測統計

  • p値:帰無仮説が正しいとした場合に、標本の結果と同じかそれ以上に極端な結果が得られる確率であり、帰無仮説が正しい確率ではない。
  • 検定力:予想される効果と標本サイズのもとで、偽の帰無仮説を棄却できる確率。
  • 問題のある研究実践:選択的報告、HARKing、pハッキングなど、誤った知見を増やす実践。
  • オープンサイエンス:透明性と再現性を高めるための事前登録、資料の公開、データの公開。

批判的分析

長所

  • 再現性の危機を真剣に扱う。 序文は心理学の「知識」を確立した真理として示さないと約束し、本書はそれを実行している。第1章はMany Labs再現プロジェクトを紹介し、第3章は最近の不正事例から始まり、第13章は問題のある研究実践とオープンサイエンス改革を説明する。学生は方法論を現在の議論の文脈の中で学ぶことになる。
  • 体系的な教授設計。 各節は学習目標から始まり、各章は要点と演習で終わる。演習には実践課題(単一事例研究の設計や、2×2計画の8つのパターンを描く課題など)と討論課題が混在する。用語集と教員向け資料(スライド、テストバンク、学生用実習ガイド)の一覧も授業での利用を支える。
  • 幅広い研究デザイン。 実験と相関にとどまらず、調査、準実験、要因計画、単一事例研究にそれぞれ1章を充て、質的方法や観察法も含むため、学生は心理学で用いられるデザインの幅を知ることができる。
  • 実践的な研究スキル。 PsycINFOによる文献検索、同意書の作成、質問紙の作成、予備実験、APAスタイルの完全な報告例は、学生が自分のプロジェクトを実施し、まとめる準備になる。

短所

  • 統計は入門レベル。 2つの統計の章は記述統計、t検定、分散分析、rの検定を概念的に、また例題とともに扱うが、回帰モデル、ノンパラメトリック検定、信頼区間による推定の詳細、ベイズ的アプローチは扱わず、ソフトウェアの使い方の説明もない。
  • 米国中心の倫理とスタイル。 倫理の章はAPA倫理綱領、IRB、米国連邦規則を軸に構成されており、APAスタイルの規則も2019年以降変わっている可能性がある。他国の学生にはそれぞれの地域の指針が必要である。
  • 深さのむら。 質的研究は非実験研究の章の中の1節にすぎず、因子分析などいくつかの話題は概略しか示されない。
  • 改訂の痕跡。 本書はいくつもの版と著者を経ており、2019年版でも多くの節の移動やリンクの削除が記されている。一部の例やウェブ資料はなお古くなっている可能性がある。

コースにおける位置づけ

研究法と統計のコースにおいて、本書は方法論を先に学ぶための入門書である。挙げられている他の本は統計に重点を置いている。リーディとダンシーの『Statistics without Maths for Psychology』とフィールドの『Discovering Statistics Using IBM SPSS Statistics』は統計分析を教える本とされ、後者はSPSSを用いる。マクスウェル、デラニー、ケリーの『Designing Experiments and Analyzing Data』はモデル比較を通じて実験計画の分析を展開し、マケルリースの『Statistical Rethinking』はRとStanによるベイズモデリングを教える。

ジャンジアーニらの本を最初に読むべきである。第1〜11章は統計書が前提とする研究デザイン、測定、倫理の背景を与え、第12〜13章は記述統計と帰無仮説検定の概念的な入門となる。その後、実践的な分析のためにリーディとダンシーかフィールドに進み、さらにマクスウェルらやマケルリースへと進むことができる。第13章の再現性に関する内容は、それらの本の動機となっているp値への批判への橋渡しとして役立つ。

本書の使い方

本書は、心理学で初めて研究法の授業を受ける学部生向けに書かれている。入門心理学の授業を受けていると例が理解しやすく、統計の章に必要なのは中学・高校レベルの代数だけである。

1学期の研究法の授業では、測定と実験計画が他のすべての土台となるため、第1〜5章を順に読み、その後、授業で重視するデザインに応じて第6〜10章から選ぶとよい。第11章は実験レポートを書くときに読み、APAスタイルの論文例をひな形として使う。第12〜13章は統計の単元と並行して、あるいはその前に読む。統計が別科目になっている場合は、第12〜13章を復習として扱える。

各節を読む前に学習目標をチェックリストとして使い、復習には要点を使うとよい。各章末の「Practice」の演習は少なくともすべて取り組み、討論用の演習は勉強会で使うとよい。オンライン版には動画や各種ツール(オンラインの検定力計算機など)へのリンクが埋め込まれており、巻末には教員が採用できるスライド、テストバンク、学生用実習ガイドが挙げられている。

版と出典

本ガイドは『Research Methods in Psychology』第4版(2019年、Kwantlen Polytechnic University、CC BY-NC-SA 4.0)に基づいており、https://kpu.pressbooks.pub/psychmethods4e/ の公式無料Pressbooks版を用いた。謝辞、「About this Book」(版の歴史と第4版での変更点)、著者紹介、序文、全13章(各節の学習目標と見出し、各節の冒頭、各章の要点と演習のすべて)、全文を読んだ再現性の危機とオープンサイエンスの節、そして巻末の教員向け資料の一覧を参照した。