01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Finkel, E. J., & Baumeister, R. F. (Eds.). (2019). Advanced Social Psychology: The State of the Science (2nd ed.). Oxford University Press.
章の要約
第2版は21章からなる編著の教科書で、各章はその領域で活動中の研究者が執筆している。ロイ・バウマイスター(Roy Baumeister)自身による本書の説明では、主な読者は社会心理学の大学院1年生だが、上級の学部課程や、マーケティングや組織行動などの近接分野の博士課程の学生にも向く。章の執筆者はそれぞれの主題の第一人者とされ、この分野に入ったばかりの学生にとって魅力的でわかりやすいように書いたという。この版は、研究方法、道徳、計算心理学の章と、再現性をめぐる論争を扱う新しい序章を加えている。
第1~3章:社会心理学:危機とルネサンス/社会心理学小史/研究方法の新展開
最初の3章は、再現性の課題と、厳密さと信頼性を高めるための改革を論じる。ブライアン・ノセク(Brian Nosek)は、これらの章が、科学には議論の余地のない事実の正典はなく、あらゆる発見、主張、理論が異議にさらされうるという考えの舞台を整えると書いている。第1章は編者二人、歴史の章は Harry Reis が執筆し、方法の章は今版で新しく加わった内容に含まれる。
第4~7章:社会的認知/自己/態度の構造と変容/社会的影響
次のまとまりは、人が自分や他者についてどう考え、どう影響を受けるかという核心的な過程を扱う。Susan Fiske が社会的認知、Roy Baumeister が自己、Richard Petty、Pablo Briñol、Lee Fabrigar、Duane Wegener が態度、Robert Cialdini と Vladas Griskevicius が社会的影響を書いている。
第8~11章:攻撃/魅力と拒絶/親密な関係/集団間関係
これらの章は、人と人、集団と集団の関係に向かう。Brad Bushman が攻撃、編者二人が魅力と拒絶、Shelly Gable が親密な関係、Marilynn Brewer が集団間関係を書く。
第12~13章:偏見、ステレオタイプ、差別/道徳
Jack Dovidio と James Jones が偏見、ステレオタイプ、差別を書く。Linda Skitka と Paul Conway が道徳の章を書いており、これは今版で新しい。
第14~17章:感情/社会神経科学/進化社会心理学/文化心理学
このまとまりは、感情と、生物的、進化的、文化的な説明のレベルを見る。章の執筆者は Wendy Berry Mendes、Thalia Wheatley、Jon Maner、Steve Heine である。
第18~21章:健康、ストレス、対処/判断と意思決定/パーソナリティ/計算心理学
最後のまとまりは、応用と近接領域とのつながりに向かう。健康、判断と意思決定(今版で新しい章で、Kathleen Vohs と Mary Frances Luce が執筆)、パーソナリティ(Charles Carver)、そして同じく新しい計算心理学(Michal Kosinski)である。
主要概念
第1~7章:基礎と核心的な過程
- 再現性と改革:冒頭の章の焦点で、厳密さと信頼性を高めるための課題と改革を論じる。
- 社会的認知:人が他者についての情報をどう処理するか。
- 自己:第5章の話題。
- 態度と社会的影響:態度の構造と変容、そして影響の原理。
第8~17章:関係、集団、説明のレベル
- 攻撃、魅力と拒絶、親密な関係:対人関係の章。
- 集団間関係、偏見、ステレオタイプ:集団レベルの章。
- 道徳:今版で新しい。
- 感情、社会神経科学、進化的・文化的アプローチ:説明のレベルで整理された章。
第18~21章:展開
- 健康、ストレス、対処:健康に応用された社会心理学。
- 判断と意思決定:新しい章。
- パーソナリティ:第20章の話題。
- 計算心理学:計算的方法についての新しい章。
批判的分析
長所
- 専門家が自分の主題を書く。 バウマイスターは章の執筆者を世界的に著名な第一人者と述べており、小売のページにある Brian Nosek、Paul van Lange、Rick Hoyle、Jeffry Simpson、Mahzarin Banaji の推薦文は、この本を分野のリーダーたちによる集団的な成果と述べている。
- 再現性に正面から取り組む。 ノセクの書評は、最初の3章が再現性と改革に取り組み、魅力、道徳、健康、計算の章が、それぞれの領域での再現性の成功と課題を扱う点で際立つと述べている。
- 扱う範囲が広い。 21章は態度と影響から神経科学、文化、健康、計算にまで及び、これは大学院生が社会心理学全体の学術論文を読むのに必要な幅である。バウマイスターは、本書を読めば、この分野のほとんどの学術論文や学会発表が理解できるようになるはずだと述べている。
- 更新された版。 Hoyle は、研究方法、道徳、計算心理学の新しい章と、この分野の将来について前向きな見方をとる序章に言及している。
短所
- 再現性の扱いにばらつきがある。 ノセクは、章によって違いがあると指摘する。この問題に直接取り組む章、言及しないことで暗に取り組む章、そして「再現性危機」の知らせを見逃したように思われ、引用するすべての主張を同じ確かさで扱う章が少数ある。したがって読者は、主張に頼る前にどれだけ裏づけがあるかを確かめるべきである。
- 概観であり、深掘りではない。 各主題に1章ずつなので、本書は読者に全体を見渡させるが、どの領域についても文献を指し示すだけで、代わりにはならない。
- 予備知識を前提とする。 本書は入門的な内容をすでに知っている読者向けに書かれており、有益な準備は学部の社会心理学の授業と、研究方法・統計の基礎であって、本書はそれらの復習を行わない。
コースにおける位置づけ
社会心理学のコースでは、本書は大学院レベルの概観である。より穏やかな本はその前に読む。Richard Crisp の Social Psychology: A Very Short Introduction はこの分野の簡潔な概観であり、Robert Cialdini の Influence は第7章とつながる説得についての本、Aronson の教科書や Gilovich、Keltner、Chen、Nisbett の教科書は分野全体の学部向けの概観である。入門的な内容がまだ新しくないなら、これらのどれもが最初の一歩としてふさわしい。
Susan Fiske の Social Cognition: From Brains to Culture は、人が自分や他者についてどう考えるかを論じる上級のテキストで、本書の第4章が扱う領域を一冊の分量で扱う。社会心理学の全範囲を知るには本書を、社会的認知を深く知るには Fiske の本を読む。
本書の使い方
本書は、大学院1年生、ゼミの上級の学部生、そして社会心理学の概要を知る必要のある近接分野の研究者に向く。学部の社会心理学の授業に加え、研究方法と統計が有益な準備である。
実際の読み方は次のとおり。
- 第1~3章から始める。 再現性をめぐる論争を踏まえて残りの章をどう読むかの枠組みを与えるので、あらゆる経験的主張についてその枠組みを念頭に置く。
- **核心的な過程(第4~7章)と対人・集団の章(第8~12章)**を、授業の主要部分として読む。
- 第13~21章は関心に応じて選ぶ。 道徳、感情、神経科学、進化、文化はこの分野の説明のレベルを示し、健康、意思決定、パーソナリティ、計算は他の領域につながる。
- 文献をたどる。 各章はその領域の研究者による概観なので、全文を読む論文を選ぶのに使える。
