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Quantum Mechanics(量子力学) cover

物理学

物理学

Quantum Mechanics(量子力学)

Alastair I. M. Rae; Jim Napolitano

英語原題: Quantum Mechanics

学部で初めて学ぶ量子力学の授業向けのコンパクトな入門教科書で、英国で長く使われてきた一冊を、本版で共著者を迎えて改訂したもの。実験事実から波動力学を組み立て、演算子、角運動量とスピン、近似法、多粒子系へと進み、最後に量子論が測定と実在について何を語るかを論じる。

前提知識: 微積分、常微分方程式、複素数、波動の初歩。線形代数を知っていると役立つ。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
quantum mechanicsschrodinger equationhydrogen atomangular momentum教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Rae, A. I. M., & Napolitano, J. (2015). Quantum Mechanics (6th ed.). CRC Press.

章の要約

第6版は約440ページ(xxiv+413ページ)で、初めて5部16章に分けられ、各章の末尾には問題がある。アラステア・レイはバーミンガム大学で量子物理学のリーダーを務めて退職した人物で、1970年代に初めてこの分野を教えたことが初版の刊行につながった。この版では、テンプル大学で実験核物理・素粒子物理学を研究するジム・ナポリターノが共著者に加わっている。出版社によれば、この版では前提となる物理と数学を復習する三つの章、応用についての短い解説、そして難易度の幅をもたせた章末問題が新たに加えられた。

第I部、第1–4章:波の物理と数学;マクスウェル方程式と電磁波;粒子の力学、相対性理論、光子;量子力学の初期の発展

新たに加わった復習の部である。第1章は単振動、張った弦の運動方程式、定在波とフーリエ級数、フーリエ変換を扱う。第2章はマクスウェル方程式を積分形と微分形で示し、ベクトル解析の面積分定理、電磁波と電磁放射を扱う。第3章は特殊相対性理論における時空、運動量、エネルギーを復習する。第4章は量子論の証拠に向かい、光電効果とコンプトン効果、線スペクトル、ド・ブロイ波、波動と粒子の二重性を扱い、本書の残りの部分の概要で締めくくる。

第II部、第5–6章:一次元のシュレーディンガー方程式;三次元のシュレーディンガー方程式

時間に依存する方程式と依存しない方程式、境界条件、無限井戸型と有限井戸型ポテンシャル、トンネル効果、調和振動子を扱い、続いて直交座標と球座標での変数分離から水素型原子へと進む。

第III部、第7–9章:量子力学の基本的な仮説;角運動量I;角運動量II

第7章は仮説を述べる。波動関数、力学変数の演算子、確率分布、交換関係、不確定性原理、時間依存性、縮退を扱い、調和振動子を再び取り上げ、コンプトン散乱による運動量の測定を分析する。第8章は角運動量演算子、固有値と固有関数、実験による測定、固有値問題の一般解を扱う。第9章は行列表示、パウリのスピン行列、スピンと測定、ディラックの記法、スピン軌道相互作用とゼーマン効果、角運動量の合成を導入する。

第IV部、第10–13章:時間に依存しない摂動論と変分原理;時間依存性;散乱;多粒子系

縮退のない準位と縮退のある準位の摂動論と変分原理。時間に依存しないハミルトニアン、突然近似、時間に依存する摂動論、原子準位間の遷移、エーレンフェストの定理、アンモニア・メーザー。一次元と三次元の散乱、ボルン近似、部分波解析。そして同種粒子、多粒子系、ヘリウム原子、同種粒子の散乱を扱う。

第V部、第14–16章:相対性理論と量子力学;量子情報;量子力学の概念的な問題

第14章はディラック方程式、反粒子、その他の波動方程式、そしてスピンと統計の定理を伴う場の量子論を導入する。第15章は量子暗号、量子もつれ、複製と量子テレポーテーション、量子計算を扱う。この部で最も長い第16章は、隠れた変数の理論、非局所性、測定問題、存在論的な問題を検討する。

主要概念

第I–II部:基礎と波動力学

  • フーリエ変換:波を異なる波長の成分に分解すること。第1章でフーリエ級数とともに復習される。
  • 波動と粒子の二重性:光と物質が波と粒子の両方のふるまいを示すという証拠。
  • トンネル効果:古典的には禁じられた障壁を粒子が通り抜けること。
  • 水素型原子:球座標でシュレーディンガー方程式を変数分離して得られるエネルギー準位と波動関数。

第III部:形式

  • 仮説:波動関数と演算子を測定結果に結びつける規則。
  • 交換関係と不確定性:交換しない観測量は同時に確定した値をもてない。
  • スピンとパウリ行列:2×2行列で表される固有の角運動量。
  • ディラックの記法:状態と演算子を表すブラ・ケット記法。

第IV–V部:近似と発展的な話題

  • 摂動論と変分原理:厳密解が得られないときにエネルギーを見積もる方法。
  • ボルン近似と部分波:散乱断面積を求める二つの方法。
  • 同種粒子:ヘリウム原子や同種粒子の散乱の基礎となる対称性の要請。
  • 量子もつれと非局所性:量子情報と第16章の概念的な問題の中心にある相関。

批判的分析

長所

  • 前提知識の復習を組み込んでいる。 第I部は波、フーリエの方法、マクスウェル方程式、相対性理論を復習する。出版社が引用する書評者(ブラウン大学の V. F. ミトロヴィッチ、フロリダ国際大学のピート・マーコウィッツ)は、これが物理の基礎が弱い学生に役立つ点を挙げ、マクスウェル方程式が競合する教科書ではしばしば省かれていることを指摘している。
  • モジュール式の構成。 Il Nuovo Saggiatore 誌(2017年)で本書を評したフランチェスコ・モンタレンティは、五つの部に分かれていることで教員が学生に合った話題を選びやすいと述べている。ブラウン大学のロバート・ペルコヴィッツは、優等生向けの入門課程から上級の課程まで使える用途の広い本と評している。
  • 理論と並ぶ応用。 引用された書評によれば、磁気共鳴画像法、電子顕微鏡と走査型トンネル顕微鏡、超伝導などの応用についての短い解説が、量子力学が可能にしたものを示している。
  • 充実した最後の章。 モンタレンティは、第15章を量子暗号、量子計算、テレポーテーションへの例題付きのわかりやすい入門と評し、第16章を哲学的な帰結まで含めて量子測定を深く分析したものと評価している。

短所

  • 形式より先に波動力学。 ディラックの記法は第9章になってようやく登場する。最初から状態ベクトルに基づく授業に進む学生は、その差を埋める必要がある。
  • 第I部が重複になることがある。 波動、電磁気学、相対性理論の授業をすでに受けた学生にとっては、最初の4章(約80ページ)は流し読みでよい。
  • 難易度についての評価はまちまち。 書評者は本書を学部最終学年の課程に適したもの、また工学系の大学院に進む学生にとってよい選択肢としており、復習の部があるとはいえ一年生向けの教科書ではない。

コースにおける位置づけ

この量子力学のリストの中で、レイとナポリターノの本は、グリフィスの Introduction to Quantum Mechanics と並ぶ学部の主教科書である。どちらも波動力学、形式、角運動量、近似法を扱うが、レイとナポリターノは復習の部、量子情報についてのより多くの記述、そして概念的な問題を扱う長い章を加えている。サスキンドとフリードマンの Quantum Mechanics: The Theoretical Minimum は逆の道筋をとり、波動力学ではなくスピンと二状態系から出発するので、第7–9章のよい副読本になる。デイヴィッド・アルバートの Quantum Mechanics and Experience は測定と非局所性についての概念的な案内書で、第16章と自然に組み合わせられる。共著者を同じくするサクライとナポリターノの Modern Quantum Mechanics は、最初からディラックの記法に基づいて組み立てられた次の段階の本である。

本書の使い方

本書は、微積分、微分方程式、複素数を身につけた物理学科の二、三年生や、化学、材料科学、工学の学生に向いている。第9章以降では線形代数が役に立つ。

  • 準備: 第I部は流し読みし、まだ学んでいない話題の章だけを丁寧に読む。第4章は動機づけとしていずれにせよ読む価値がある。
  • 中核: 最初の課程の中心である第II部と第III部(第5–9章)。
  • 二番目の課程または後半の週: 第IV部。摂動論(第10章)と時間依存性(第11章)を先に、そのあと散乱と多粒子系。
  • 発展的な読書: 第V部は関心に応じて選ぶ。相対論的量子論なら第14章、量子情報なら第15章、解釈なら第16章。

各章で章末問題をいくつか解き、新版が用意した難易度の幅から満遍なく選ぶとよい。例題は、解答を先に見ずにもう一度自分で解き直す。