01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Morin, D. (2008). Introduction to Classical Mechanics: With Problems and Solutions. Cambridge University Press.
章の要約
本書は14章と10の付録からなり、約710ページである。出版社は、扱う内容を標準的な入門トピック(ニュートンの法則、振動、エネルギー、運動量、角運動量、惑星運動、特殊相対性理論)と、より進んだトピック(基準振動、ラグランジュ法、ジャイロ運動、慣性力、4元ベクトル、一般相対性理論)として説明している。問題とその解答が本書の中心的な特徴である。
第1章:Strategies for solving problems
冒頭の章は、物理の問題を解くための一般的な方針を扱う。問題解決を重視する本書の姿勢に沿っている。
第2–3章:Statics/Using F = ma
まず静力学、続いてF = maの使い方を扱い、以降の力と力学の土台を作る。
第4章:Oscillations
出版社が標準的な入門トピックに挙げる振動を扱う。紹介文は、より進んだトピックとして基準振動も挙げている。
第5章:Conservation of energy and momentum
約80ページあり、前半では最も長い章である。紹介文が中核的なトピックとして挙げる二つの保存則を扱う。
第6章:The Lagrangian method
F = maに代わる方法としてラグランジュ法を導入する。エネルギーと運動量の章の後、中心力の章の前に置かれているので、以降の力学でこの方法を使える。
第7章:Central forces
中心力による運動。紹介文にある惑星運動の舞台である。
第8–9章:Angular momentum, Part I (Constant L)/Angular momentum, Part II (General L)
角運動量は二つに分けられている。第I部は角運動量の向きが一定の場合、第II部は一般の場合を扱う。合わせて約150ページである。紹介文にあるジャイロ運動はこの部分に含まれ、巻末には主軸の存在と行列の対角化に関する付録がある。
第10章:Accelerating frames of reference
加速する座標系から見た運動を扱う。紹介文にある慣性力の源である。
第11–14章:Relativity (Kinematics)/Relativity (Dynamics)/4-vectors/General Relativity
本書の4分の1近くを占める。長い2章で特殊相対論(運動学、次に力学)を扱い、短い4元ベクトルの章と一般相対論の短い入門が続く。付録F–Iには、相対論の定性的な問題、Lv/c²の結果の導出、双子のパラドックスの解決、ローレンツ変換が収められている。
主要概念
- 問題解決の方針:物理の問題の立て方と確認の仕方に関する一般的な助言(第1章)。
- 静力学とF = ma:釣り合いの力とニュートンの第2法則の使い方(第2–3章)。
- 振動と基準振動:周期運動と連成系のモード。
- エネルギーと運動量の保存:問題解決の道具としての二つの法則(第5章)。
- ラグランジュ法:力ではなく一つの関数から運動方程式を得る方法(第6章)。
- 中心力:固定点に向かう力のもとでの運動(第7章)。
- 角運動量:一定の場合と一般の場合、主軸(第8–9章)。
- 慣性力:加速系で現れる見かけの力(第10章)。
- 特殊相対論、4元ベクトル、一般相対論:第11–14章。
批判的分析
長所
- 非常に大きな問題集。 出版社は、詳しい解答付きの問題が250題以上、解答なしの演習問題が350題以上あると述べている。演習問題の解答は教員向けにパスワードで保護されている。Contemporary Physicsの書評は、本書の真価は豊富な問題と解答にあると評している。
- 明示的な注釈。 紹介文によれば、他の教科書がおろそかにしがちな点を論じる注記が本文の随所にあり、図は600点以上ある。
- 一冊での広い範囲。 静力学からラグランジュ力学、一般相対論を含む相対論まで及ぶため、長いコースを一冊で通せる。
- 角運動量と相対論の分けた扱い。 角運動量は一定の場合と一般の場合に分けられ、相対論には4章と付録が充てられており、多くの入門力学書にはない深さである。
短所
- 分量。 約710ページで、その4分の1が相対論に充てられており、多くの力学の授業が扱う範囲を超える。章の取捨選択が必要である。
- 目次にハミルトン力学がない。 ラグランジュ法には章があるが、ハミルトン力学の章は目次にない。上級力学へ進む学生は別の教科書が必要になる。
コースにおける位置づけ
力学コースの中で、Morinは問題が豊富な学部向けの教科書であり、TaylorのClassical Mechanicsと近い範囲を扱う。Taylorはハミルトン力学、カオス、連続体力学へ進む標準的な中級コースである。多くの学生にとってMorinはTaylorの良い相棒になる。問題の量と相対論の章はMorin、ハミルトン形式まで進む通常のシラバスはTaylorである。ChabayとSherwoodのMatter and Interactionsは運動量原理とコンピュータモデリングを軸にした微積分ベースの1年次コースで、Morinより前に位置する。SusskindとHrabovskyのThe Theoretical Minimumはラグランジュ・ハミルトンの考え方への講義調の簡潔な道であり、GoldsteinのClassical Mechanicsはその後に続く大学院レベルの本格的な扱いである。
本書の使い方
力学の最初のコースを終えた学部生向けである。サイトは前提として1変数の微積分と入門力学を挙げ、後半では多変数微積分も使う(付録Bに多変数・ベクトル解析の復習がある)。
実践的な進め方:第1章で問題への取り組み方を読み、第3–5章でニュートン力学、エネルギー、運動量を固める。第4章と第6–10章が標準的な中級コース(振動、ラグランジュ法、中心力、角運動量、加速系)の中核である。第11–14章は相対論の独立した単元として扱え、第11–12章が必須、第13–14章は任意とする。解答付きの問題は、解答を見る前に自分で解き、解答なしの演習問題を宿題に使うなど、能動的に活用するとよい。
