索引 / 001 JA
Epistemology: A Contemporary Introduction to the Theory of Knowledge(認識論:知識の理論への現代的入門) cover

哲学

哲学

Epistemology: A Contemporary Introduction to the Theory of Knowledge(認識論:知識の理論への現代的入門)

Robert Audi

英語原題: Epistemology: A Contemporary Introduction to the Theory of Knowledge

ラウトレッジの現代哲学入門シリーズに収められた知識の理論の体系的入門書です。オーディは知識と正当化の源泉から出発して、その構造、分析、範囲へと議論を進め、最後に懐疑論を扱います。第3版では社会認識論、証言、知識と行為の関係に関する議論が拡充されています。

前提知識: 哲学入門の履修があると役立ちますが、認識論の予備知識がない読者向けに書かれています。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
epistemologyknowledgejustificationperceptionskepticism教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Audi, R. (2011). Epistemology: A Contemporary Introduction to the Theory of Knowledge (3rd ed.). Routledge.

章の要約

本書は Routledge の「現代哲学入門」シリーズの一冊で、約 430 ページある。序文と序論のあと三部・十五章に分かれ、巻末には注釈付き文献案内と索引が付く。出版社が公開している目次は「抜粋目次」と表示されているため、各章の節の構成までは分からない。以下の要約は章題と出版社の紹介文に基づく。

第 1 部:正当化・知識・真理の源泉(第 1–7 章)

第 1–2 章:知覚——感覚、信念、知識/知覚の理論——感覚経験、現れ、実在。 本書は知覚から始まる。第 1 章は感覚経験、知覚的信念、知覚的知識を結びつけ、第 2 章は知覚とは何か、現れと実在はどう関係するかをめぐる対立する理論へ進む。出版社は、この版で知覚の内容(perceptual content)の扱いが強化されたと述べている。

第 3 章:記憶/第 4 章:意識——心の生。 記憶と意識は、正当化と知識のさらなる源泉として扱われる。後者は「心の生」という題のもとで論じられる。

第 5–6 章:理性 I——理解、洞察、知的な力/理性 II——ア・プリオリ性、必然性、証明可能性。 理性には二つの章が充てられる。前者は理解と洞察を、後者はア・プリオリな知識、必然性、証明可能性を扱う。出版社によれば、自明性とア・プリオリ性は第 3 版で扱いが強化された主題である。

第 7 章:証言。 他者の言葉から得られる知識が独立の章となり、知識の源泉の列挙が完結する。

第 2 部:正当化と知識の構造と成長(第 8–9 章)

第 8 章:推論と知識の拡張。 問いは、知識がどこから来るかから、すでに知っていることからの推論によって知識がどう増えるかへと移る。

第 9 章:知識の構造。 章題は、正当化された信念と知識の全体的な構造、すなわち信念が互いをどう支えるかという問いを指している。

第 3 部:正当化と知識の本性と範囲(第 10–15 章)

第 10–11 章:知識の分析——正当化、確実性、信頼性/知識、正当化、真理——内在主義、外在主義、知的徳。 この二章は、知識と正当化とは何かに向かう。章題には、知識の分析、確実性と信頼性、内在主義と外在主義の立場、そして知的徳が挙げられている。出版社は、第 3 版で「価値の問題」、すなわち知識や正当化された真なる信念が単に真なる信念以上になぜ価値を持つのかという問いが加わったと説明している。

第 12 章:科学的・道徳的・宗教的知識。 三つの領域における知識が検討される。これは、この版で科学哲学や倫理学との関連が拡充されたという出版社の説明と合致する。

第 13–14 章:懐疑論 I——確実性の追求/懐疑論 II——可謬性を前にした常識の擁護。 二つの懐疑論の章で議論が締めくくられる。後者の章題は、人間の誤りやすさを認めたうえで常識を擁護することを示している。出版社は、合理的不一致から生じる懐疑論的挑戦もこの版に含まれると付け加えている。

第 15 章:結論。 最終章の題は単に「結論」であり、目次からはこれ以上の詳細は分からない。

主要概念

第 1 部:源泉

  • 知覚的知識と知覚の内容:経験がどのように信念と知識を生み、知覚が何を表象するか(第 1–2 章の章題と出版社の紹介による)。
  • 記憶と意識:知覚と並ぶ、正当化と知識の源泉として扱われる。
  • ア・プリオリ性、必然性、自明性:経験ではなく理性に基づく知識(第 5–6 章)。
  • 証言:他者の言葉から得られる知識と正当化(第 7 章)。

第 2 部:構造

  • 推論:知識がその源泉を超えて拡張される仕方(第 8 章)。
  • 知識の構造:正当化された信念がどう組織され、互いに依存するか(第 9 章)。

第 3 部:本性と範囲

  • 内在主義と外在主義:何が信念を正当化するかをめぐる対立する見方(第 11 章)。
  • 知的徳:徳に基づく知識へのアプローチ。第 11 章の章題と出版社の紹介に見える。
  • 価値の問題:知識や正当化された真なる信念が、真なる信念以上になぜ価値を持つか(第 3 版で追加)。
  • 懐疑論と可謬性:確実性の追求と、誤りやすさを認めたうえでの常識の擁護(第 13–14 章)。

批判的分析

長所

  • 幅広さと明確な構成原理。 三部構成は、知識がどこから来るか、どのように組織され拡張されるか、それは何でありどこまで及ぶかへと進む。知覚、記憶、意識、理性、証言はそれぞれ独立の章を持ち、そのあとで正当化の理論が導入される。
  • 科学的・道徳的・宗教的知識の扱い。 第 12 章は一般理論を三つの具体的な領域に適用しており、出版社は心の哲学、科学哲学、倫理学との関連が拡充されたとも述べている。
  • 伝統的な主題に加えた現在の主題。 第 3 版は直観、合理的不一致、価値の問題を加え、文脈主義、理解、徳認識論、証言の扱いを強化している。
  • 評価。 出版社のページに掲載された推薦文(Kevin McCain、Peter Graham、Ralph Kennedy、E. J. Coffman。本版および旧版に対するもの)は、包括的で読みやすいと評している。McCain は、上級の学部課程や大学院入門課程に向くとする。これらは宣伝用の引用であり、独立した書評ではない。

短所

  • 分量と密度。 約 430 ページ・十五章で、一学期分の教科書である。出版社はこれを短い入門ではなく、包括的な概観として位置づけている。
  • 特定の立場の擁護ではなく概観であること。 章題と出版社の紹介は、概念・理論・新しい研究の概観であることを示している。単一の立場の持続的な擁護を求める読者には、下に挙げる専門書が必要になる。
  • 懐疑論の二章が最後に置かれること。 懐疑論の問題に早く触れたい読者は先へ飛ぶ必要がある。本書はこれを第 13–14 章まで先送りしている。

コースにおける位置づけ

このコースの一般的な入門書のなかで、Audi の本書はもっとも長く、もっとも体系的である。Jennifer Nagel の Knowledge: A Very Short Introduction と Duncan Pritchard の What Is This Thing Called Knowledge? は、より穏やかな出発点である。前者は知識の研究への短い入門、後者は要約と練習問題の付いた短い章からなる教科書である。Noah Lemos の An Introduction to the Theory of Knowledge は簡潔で、知識と正当化の各理論を、最も強い反論とともに順に述べる。Audi はより広い範囲の知識の源泉を、より長く扱う。

Audi のあとでは、このコースの二つの専門書が読みやすくなる。Timothy Williamson の Knowledge and Its Limits は、知識は信念にさらなる条件を加えたものへ分析できないと論じるが、この主張は、分析と正当化を扱う Audi の第 10–11 章のあとのほうが理解しやすい。Ernest Sosa の A Virtue Epistemology は徳に基づく知識の理論を展開しており、第 11 章の知的徳の議論がその準備になる。

本書の使い方

本書は、哲学の入門科目を終え、認識論を体系的に学びたい学部 2〜3 年生や、概観を必要とする大学院の初年次の学生に向く。出版社は、この版が学部生向けに分かりやすく改められたと述べており、論理学その他の専門的な予備知識は前提として挙げられていない。

一学期の授業で使うなら、序論を読んだあと第 1 部を順に読む。第 1・2 章は、後の章が前提とする源泉と正当化の語彙を与える。第 2 部(第 8–9 章)は短いが正当化の構造を担っており、飛ばさないほうがよい。第 3 部では、第 10・11・13・14 章が知識と懐疑論をめぐる中心的な議論をなす。第 12 章は応用として扱い、科学・倫理・宗教への関心に応じて選んで読めばよい。

時間が限られている場合は、第 1 章、第 8–11 章、第 13–14 章を中心的な問題への最短ルートとして読み、そのあと記憶・意識・理性・証言を補う。巻末の注釈付き文献案内は、そのまま読書リストとして使える。各章に原典の短い一節を組み合わせるとよい。正当化の用語に馴染みがない場合は、先に Nagel か Pritchard を読む。