01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Davies, J. A. (2021). Human Physiology: A Very Short Introduction. Oxford University Press.
章の要約
本書は Oxford の Very Short Introductions シリーズの第678巻で、約160ページのポケットサイズのペーパーバックである。9章からなり、文献案内と索引が続く。著者はエディンバラ大学の実験解剖学教授で、同シリーズの合成生物学の巻も書いている。構成は器官ではなく身体の主な仕事に沿っている。エネルギーを得て使うこと、内部環境を安定に保つこと、情報を集めること、判断すること、行動すること、身を守ること、そして生殖することである。出版社はさらに、本書が生理学の知識を生み出した実験と研究方法を論じ、そこに関わる倫理的問題を分析し、この分野の発展をたどり、生理学の知識が医学研究と医療にどう役立つかを示していると述べている。
第1章:人体生理学:それは何か、どのように行われるか
冒頭の章はこの学問を定義する。出版社はそれを、生物がどのように働き、何が生物を非生物から区別するのかを理解しようとする科学と説明している。また、生理学の知識がどのように得られるかを紹介する。実験方法と研究倫理への本書の関心が最初に示されるのはここである。
第2章:エネルギー:食物、酸素、血液、熱、老廃物
章題が扱う範囲を示している。食物と酸素の取り込み、血液によるそれらの分配、熱の産生、老廃物の除去である。章題からは、体系的な教科書なら消化器系、呼吸器系、心血管系、排泄系に分けて扱う内容を、この1章がまとめていることがうかがえる。
第3章:ホメオスタシス:内部環境の安定
この章はホメオスタシス、すなわち身体の内部のパラメーターを安定に保つことに充てられている。出版社はこれを本書の主要なテーマの一つに挙げている。
第4–6章:感覚/反応と思考/思考から行動へ
連続する3つの章が、身体の中の情報の流れをたどる。感覚によって情報がどう集められるか、身体がどう反応し考えるか、判断がどう行動になるかである。この順序は、私たちが情報を集めて処理する仕方、そして行動する仕方という出版社の説明に対応している。
第7章:防御
身体が自らをどう守るかについての章。
第8章:生殖
新しい世代の誕生。出版社が挙げる身体の仕事の最後のものである。
第9章:結びの言葉
短い締めくくりの章で、その後に文献案内が続く。
主要概念
第1章:生理学とは何か
- 生理学:生物がどのように働き、何が生物を非生物と異なるものにしているかを扱う科学。
- 実験的方法:生理学の知識は実験と研究から生まれ、本書はその倫理も論じる。
第2–3章:エネルギーと安定
- エネルギー供給:食物と酸素が取り込まれて血液によって分配され、熱と老廃物が処理すべき副産物となる。
- ホメオスタシス:変化する条件のもとでも保たれる内部環境の安定。
第4–6章:情報と行動
- 感覚:外界と身体についての情報を集めること。
- 反応と思考:その情報を処理すること。
- 思考から行動へ:判断を運動や行動に変えること。
第7–8章:防御と生殖
- 防御:身体が自らを守ること。
- 生殖:新しい世代をつくること。
批判的分析
長所
- 器官ではなく機能による構成。 章題は器官系ではなく、仕事(エネルギー、安定、感知、思考、行動、防御、生殖)を名指している。初学者にとって、これは器官系がなぜ存在し、どう協力しているかを示してくれる。器官系ごとの教科書では、この点が見えにくくなることがある。
- 事実の集まりではなく科学としての生理学。 生理学がどのように行われるかを扱う冒頭の章と、実験、研究方法、倫理、分野の歴史を重視する出版社の説明から、読者は知識がどのように得られたかを感じ取ることができる。
- 研究者による執筆。 出版社によれば、著者はヒトや高等動物の身体をつくり維持する細胞機構について200本を超える研究論文を発表しており、同じシリーズで以前にも1巻を書いている。
- 本当に短い。 小さな判型で約160ページなので、授業が始まる前や最初の数週間に並行して、数回で読み通せる。
短所
- 授業の教科書ではない。 9つの短い章では、医学や生物医学の生理学の授業で試験される定量的な詳細、器官系の機構、臨床的内容を扱うことはできない。目次には演習問題や復習問題もない。
- 器官系がまとめられている。 第2章がいくつもの器官系を一つのテーマのもとにまとめているため、たとえば腎臓の生理学だけを探す学生には専用の章が見つからない。
- 小さな紙幅に広い範囲。 感覚、思考、運動といった大きな話題が短い3章を分け合っているため、それぞれは導入にとどまる。本書は授業の試験対策ではなく、授業の背景知識のための本である。
コースにおける位置づけ
この生理学のコースで、本書は最もやさしい入口であり、一般読者向けに書かれた唯一の本である。授業の前か、授業が始まったばかりの時期に読み、身体の主な仕事についての枠組みを得るのが最もよい。自然な次の一歩は Physiology at a Glance である。やはり短いが、細胞から器官系までの63の見開き項目からなる体系的な構成で、図と正常値を備えている。Costanzo Physiology は医学・医療系の授業向けの単著による本格的な教科書で、数式、例題、臨床症例を含む。Ganong's Review of Medical Physiology はより密度の高い総説書で、ある程度の生化学を前提とし、この学問の実験的基盤を強調する。Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology はホメオスタシスを軸にした包括的な系統別の記述である。
Davies の本がこれらの教科書と最も密接につながるのは2か所である。ホメオスタシスの章は、Guyton and Hall や Physiology at a Glance の冒頭の章を組み立てているテーマを導入しており、生理学がどのように発見されるかへの関心は、Ganong が重視する実験への備えになる。
本書の使い方
本書は学校レベルの生物学以上の知識を前提としない。医学、生物医学、看護、医療関連分野に進もうとする学生や1年生、身体の仕組みを理解したい他分野の学生、詳しい授業の前に全体像をつかみたい人に向いている。
実践的な計画:
- 早い時期に通読する。 この長さなら順に読むのが前提である。第1–3章が方法とホメオスタシスという中心的な考え方を示し、後の章は同じ「仕事」の視点を情報、行動、防御、生殖に当てはめる。
- 地図をつくる。 読みながら、各章の仕事にどの器官系が関わるか、たとえば第2章がどの器官系をまとめているかを図にしてみる。その地図が体系的な教科書の足場になる。
- 授業の教科書へ進む。 読み終えたら Physiology at a Glance や Costanzo Physiology のような体系的な本を始め、個々の器官系の細部のせいで全体像が見えにくくなったときに、Davies のホメオスタシスとエネルギーの章に戻る。
- 文献案内を使う。 興味をもった話題があれば、本書の文献案内がその先への入口になる。
- 任意の再読: 生理学の本質や実験の倫理についてレポートを書く前には、第1章と結びの言葉を読み直す価値がある。
