01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Casella, G., & Berger, R. L. (2024). Statistical Inference (2nd ed.). CRC Press.(2001年にCengage Learningから刊行された第2版の復刊。)
章の要約
本書は、確率論の第一原理から理論統計学を組み立てる。推測の理論は、それ以前の技法、定義、概念の自然な延長として展開される。最初の5章が確率論、残りの7章が推測そのものである。ここで扱う版は12章からなり、計算機代数についての付録、主要な分布の表、参考文献が付く。
第1章:確率論
本書の出発点で、確率を第一原理から展開する。最初の5章は合わせて、多変量分布、極限定理、確率標本を含む確率論を扱う。
第2章:変換と期待値
確率変数を変換したとき、その分布と期待値がどう変わるか。
第3章:よく使われる分布族
推測の各章を通じてモデルとして使われる分布族。巻末には参照用の主要な分布の表がある。
第4章:多変量の確率変数
複数の確率変数を同時に考える理論。統計学ではデータが多数の観測値の標本であるため必要になる。
第5章:確率標本の性質
推測を始める前に、標本とそこから計算される統計量について何が言えるか。確率から統計への橋渡しとなる。
第6章:データ縮約の原理
パラメータに関する情報を失わずにデータを要約する方法。初版の書評は、そのなかに十分性、尤度、不変性を挙げている。
第7章:点推定
パラメータの推定量を構成する方法と、それを評価する基準。
第8章:仮説検定
パラメータについての仮説の検定の定式化と評価。
第9章:区間推定
一つの数値の代わりに、もっともらしいパラメータ値の区間を与える手順。
第10章:漸近的評価
標本サイズが大きくなったときの推定量と手順の性質。
第11~12章:分散分析と回帰、回帰モデル
第11章は推測の枠組みを分散分析と回帰に適用し、第12章は回帰モデルを扱う。
主要概念
第1~5章:確率の基礎
- 確率変数の変換:確率変数の関数の分布を求めること。
- 同時分布:複数の確率変数をまとめて記述すること。
- 確率標本:共通の分布からの独立な観測値と、そこから計算される統計量。
第6~10章:推測の理論
- データ縮約:パラメータに関する情報を失わずに標本を要約すること(十分性)。
- 点推定と区間推定:推定量と区間の手順を構成し、評価すること。
- 仮説検定:パラメータについての対立する主張のあいだで決定を下す手順。
- 漸近的評価:標本サイズが大きくなるときの推定量の研究。
第11~12章:線形モデル
- 分散分析と回帰:群間の比較や変数間の関係に関する推測。
批判的分析
長所
- 確率から積み上げた理論。 出版社は、本書を、先行する概念から導かれる技法と概念を通して推測の理論を展開し、分布、確率変数、データ縮約、点推定、仮説検定、区間推定という標準的な推測の授業の全話題を扱うものと説明している。
- 微積分の素養があれば読める。 出版社によれば、文体は明快で、必要なのは微積分の多少の素養だけであり、何百もの例と、各章にそろった段階的な演習問題がある。
- 理解への重点。 出版社は、本書が基本的な統計の概念を理解し、妥当な手順を導くことに関心があり、形式的な最適性の問題にはあまり重きを置かないと述べている。
- 明快な記述という書評。 zbMATHで初版を評したライオネル・ワイスは、本書が非常に明快に書かれ、演習が多く、スタインの現象のように入門書では通常見られない内容を含むと述べた。
短所
- 大学院レベルの要求水準。 出版社は、本書が主として統計学の大学院生を対象としており、学部上級生が使うには確かな数学の素養が必要だと述べている。
- 最適性の理論は中心ではない。 最適な推定や検定をさらに深く学びたい読者には、別の本が必要になる。
- 2001年版の復刊。 2024年のCRC版は2001年の第2版を再現しており、その後の分野の発展は含まれない。
- 構成の変化。 初版の章の一覧には決定理論の章があったが、第2版の12章にはない。版をまたいで使う読者は目次を比べるべきである。
コースにおける位置づけ
本書はこのコースにおける標準的な理論の本で、微積分に基づき、確率から組み立てられ、推定、検定、線形モデルを扱う。ジョセフ・ブリッツステインとジェシカ・ホワンの Introduction to Probability は最初の5章の準備に適している。An Introduction to Mathematical Statistics and Its Applications は確率、推定、検定、回帰、分散分析を扱っており、ほぼ同じ範囲に重なる。デイヴィッド・スピーゲルハルターの The Art of Statistics と無料の Introductory Statistics 2e は、非技術的または応用的で、理論と競合せず補完する。
デイヴィッド・ウィリアムズの Probability with Martingales は、カセラとバーガーが用いない測度論的な土台を与える。マヴラカキスとペンザーの Probability and Statistical Inference は大学院レベルの本で、本書の章題にないベイズ的方法とシミュレーションも含む。ミッツェンマッハーとアップファルの Probability and Computing は統計学ではなく計算機科学を対象とする。
本書の使い方
対象は、大学院での学習を始める統計学の学生と、1年分の微積分を含む確かな数学の素養をもつ学部上級生である。
確率がまだ新しいなら、後の章がそれに依拠するため第1~5章を丁寧に読む。そうでなければ第1~4章はざっと目を通し、確率標本を扱う第5章は丁寧に読む。第6~10章は推測の中心で、順に読むのがよい。データ縮約、次に点推定、仮説検定、区間推定、最後に漸近論の順である。分散分析や回帰が必要な人は、第11章と第12章を単独で読んでもよい。
段階的な難易度の演習を解き、主要な分布の表を参照用に使う。ベイズ推測のように目次にない話題には、補助的な教科書を用意する。
