01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ferguson, M., Kendall, T., & Salter, M. J. (Eds.). (2018). The Norton Anthology of Poetry (6th ed.). W. W. Norton & Company.
章の要約
第6版の構成
第6版は約2,150ページの一巻本である。Norton によれば、収録は355人の詩人による1,871篇で、そのうち351篇と44人がこの版で新たに加わった。内容は番号つきの章や時代別の部に分かれていない。詩人は生年順に並び、古英語の時代から1970年代初めに生まれた詩人までが続き、いくつかの作者不詳の作品群(中世の抒情詩、近代初期のバラッド、エリザベス朝・ジェイムズ朝の歌、アメリカの歌の選集)がそれぞれの位置に置かれている。巻末には読書案内、用語集、詩人の略伝、版権表示、索引がある。出版社は、韻律と統語に関する用語集をこの版の新機軸とし、注釈と語釈の改訂、略伝の更新も挙げている。オンラインでは、6つの「ポエトリー・ワークショップ」(音声、動画、対話型演習を使ったチュートリアル)、Poetry Archive と協力した朗読音源のプレイリスト、時代や場所を越えて詩を結びつける「詩人たちの対話」ノートがこの版を支えている。以下の節は公式の目次の配列に従う。
古英語・中英語の詩
アンソロジーは、キャドモンの賛歌、Seamus Heaney 訳の『ベーオウルフ』抜粋、謎歌、「妻の嘆き」、「海ゆく人」(編者の一人 Mary Jo Salter 訳)で始まり、13〜14世紀の作者不詳の抒情詩が続く。チョーサーは『カンタベリー物語』の「総序」と「バースの女房の序と話」、および短い詩で代表される。ラングランド、『真珠』、15世紀のキャロルと抒情詩、ダンバー、スケルトンが中世の部分を締めくくる。
16世紀と17世紀
近代初期のバラッド(「ランダル卿」「サー・パトリック・スペンス」など)と作者不詳のエリザベス朝の歌のあとに、ワイアット、ローリー、スペンサー(『妖精の女王』第1巻第1〜2歌と『アモレッティ』)、シドニー、シェイクスピア(約50篇のソネットと歌)、ダン、ジョンソン、ハーバート、アン・ブラッドストリート、マーヴェルが続く。ミルトンの部分には「リシダス」と『失楽園』の抜粋(第1巻と第3巻の祈願、第4・7・9・12巻からの抜粋)が収められている。
王政復古期と18世紀
ドライデン、アン・キリグルー、ポープの作品が収められ、ポープは『髪の毛盗み』に加えて『批評論』第2部と『人間論』の抜粋で代表される。アナ・レティシア・バーボールド、ジョアンナ・ベイリー、フィリス・ホイートリーら18世紀後半の詩人も同じ年代順のなかに位置を占める。
ロマン主義とヴィクトリア朝
ワーズワス(『序曲』の抜粋を含む)、コールリッジ、バイロン、シェリー、キーツからヴィクトリア朝の詩人たち、すなわちテニスン(『イン・メモリアム』の抜粋)、ブラウニング夫妻、クリスティナ・ロセッティ、スウィンバーン、ホプキンズへと続く。19世紀のアメリカの詩人も同じ配列に現れ、ホイットマンの「僕自身の歌」とエミリー・ディキンソンの詩約40篇が収められている。
20世紀
ハーディ、イェイツ、フロスト、スティーヴンズ、パウンド、第一次世界大戦の詩人たちから T. S. エリオット(「プルーフロック」、『荒地』、『四つの四重奏』から「リトル・ギディング」)へと進む。「アメリカの歌」の部分は、黒人霊歌(「行け、モーセ」)、ブルースやポピュラーソング(「奇妙な果実」、ビリー・ホリデイ、ボブ・ディラン、スティーヴン・ソンドハイム)を集めている。20世紀後半からは、ラングストン・ヒューズ、オーデン、ビショップ、グウェンドリン・ブルックス、ギンズバーグの「吠える」、プラス、ウォルコット、ヒーニー、ルシール・クリフトンのほか、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、カナダの詩人も選ばれている。
現代の詩人
最後のページは1940年代から1970年代初めに生まれた詩人たちを紹介する。リタ・ダヴ、ルイーズ・アードリック、キャロル・アン・ダフィー、リー・ヤング・リー、サイモン・アーミテージ、アリス・オズワルド、ナターシャ・トレザウェイ、クリスチャン・ベク(『ユーノイア』の抜粋)、A. E. スタリングス、テランス・ヘイズ(「ゴールデン・シャベル」)、トレイシー・K・スミスらである。
主要概念
構成と付属資料
- 詩人ごとの年代順:詩は作者の生年順に並べられ、本書は英語詩の連続した歴史として読める。
- 注釈と語釈:脚注が難しい語や引喩を説明する。Norton はこの版で改訂されたとしている。
- 韻律と統語の用語集:韻律、形式、文の構造に関する専門用語の新しい参照一覧。
- 略伝:巻末にある各詩人についての短い解説。
収録範囲
- 長詩の抜粋:『妖精の女王』『失楽園』『序曲』のような大作は抜粋で収められ、『髪の毛盗み』や『荒地』のような比較的短い長詩は全篇が収められている。
- 作者不詳の伝統と大衆的伝統:バラッド、キャロル、「アメリカの歌」が作者のある詩と並ぶ。
- 世界の英語詩:ブリテン、アイルランド、アメリカ、カリブ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、カナダの詩人が一つの配列のなかに並ぶ。
批判的分析
長所
- 規模:355人の詩人による1,871篇を収めるこのアンソロジーは、どの時代の授業の教材にもなり、授業のあとも参照用に使える。Norton もそのように本書を位置づけている。
- 時代と国を越える連続性:一つの年代順の配列によって、ソネット、バラッド、エレジーといった形式を中世から21世紀まで、また国ごとの伝統を越えてたどることができる。
- 主要詩人の厚い収録:シェイクスピア、ダン、ディキンソンらにはそれぞれ数十篇が収められ、別の選集なしに一人の詩人を精読するのに十分である。
- 改訂された付属資料とオンライン支援:新しい用語集、改訂された語釈、ポエトリー・ワークショップ、朗読音源、「詩人たちの対話」ノートが、詩を読み、聴く助けとなる。
短所
- 詩の読み方の手引きがない:目次には読み方や韻律についての序論的な論考が見当たらず、技術的な助けは用語集とオンラインのワークショップを通じて与えられる。段階を追った入門を必要とする学生は、手引き書と組み合わせるとよい。
- 長篇は部分のみ:スペンサー、ミルトン、ワーズワスは選ばれた巻や抜粋で代表されるため、それらの詩を学ぶ授業には全篇の版が必要である。
- 大きさと収録の終点:2,000ページを超える一巻本は持ち運びに重く、収録される最も若い詩人は1972年生まれなので、最新の詩には別の資料が必要である。
コースにおける位置づけ
詩のコースのなかで、本書は一次テクストであり、他の本が読み方を教えてくれる詩の宝庫である。The Norton Introduction to Poetry は読み方を教える相棒で、詩の要素とそれについて書く方法の章をもつ。詩に初めて触れる学生はそちらから始め、より広く読むためにこのアンソロジーを使うとよい。The Princeton Encyclopedia of Poetry and Poetics は、アンソロジーで出会うあらゆる用語、形式、伝統を調べるための参考書である。Jonathan Culler の Theory of the Lyric は抒情詩が何をするのかについての持続的な議論であり、ここに収められた詩をかなりの数知ってから読むのが最もよい。Kaveh Akbar の Calling a Wolf a Wolf は一冊の現代詩集で、アンソロジーの最後の部分と照らし合わせて読むことができる。
本書の使い方
このアンソロジーは、英語詩を学ぶすべての学部生と、生涯の参照書を求める読者のためのものである。予備知識は前提としないが、手引きは注、用語集、略伝を通じてのみ与えられる。通読はしないこと。シラバスの選択に従い、各詩人について、詩を読む前に巻末の略伝を読むとよい。
課題の詩はすべて二度読む。一度は声に出して、あるいは Poetry Archive の朗読で聴き、脚注と用語集を使って気づいたことに名前を与える。形式や主題を学ぶには年代順にそれを追うとよい。たとえば、ワイアット、シェイクスピア、ミルトン、ワーズワス、ホプキンズのソネットを順に読む。韻律と形式の練習にはポエトリー・ワークショップを使い、ここで抜粋しか収められていない長詩に授業で時間をかける場合は、全篇の版に当たること。
