01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
MacKay, M. (2010). The Cambridge Introduction to the Novel. Cambridge University Press. Cambridge Introductions to Literature.
章の要約
本書は11の章と、その間に置かれた10の「インターチャプター」(個々の小説を取り上げた長めの読解で、各3〜5ページ)からなる。ほかに「本書について」の節、注、用語集、読書案内、索引があり、全体で約230ページである。ケンブリッジ大学出版局によれば、著者は世界各地の有名な小説の例をもとに、小説がどこから来たのか、なぜ私たちは小説を読むのか、文体や技法をどう考えるか、そして登場人物、筋、場所、政治をどう考えるかを探る。出版社の言葉では、インターチャプターは「『ドン・キホーテ』から『真夜中の子供たち』まで」に及ぶ。
第1章:なぜ小説が重要なのか
冒頭の章(1〜15ページ)は、章題のとおり小説がなぜ重要なのかを取り上げ、小説を現代の主要な文学ジャンルとして論じる本書の叙述を始める。続くインターチャプターはセルバンテスの『ドン・キホーテ』(1605、1615年)である。
第2章:小説の起源
この章は、出版社が最初に掲げる問い、すなわち小説がどこから来たのかに取り組む。出版社は小説を「18世紀のセンセーショナルな娯楽」と呼んでいる。続くインターチャプターは、ローレンス・スターンの『紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見』(1759〜67年)を読む。
第3〜6章:語り、人物、筋立て、舞台設定
これら4つの章は、出版社が挙げる技巧の要素、すなわち文体と技法(小説を語ること)、人々(人物)、筋、場所(小説の舞台設定)を扱う。第3章は本書で最も長く、約20ページある。それぞれにインターチャプターが対になり、順にジェイムズ・ホッグの『義とされた罪人の手記と告白』(1824年)、ホーソーンの『緋文字』(1850年)、フローベールの『ボヴァリー夫人』(1857年)、ディケンズの『荒涼館』(1853年)である。
第7〜8章:時間と歴史;ジャンルとサブジャンル
「時間と歴史」にはヴァージニア・ウルフの『灯台へ』(1927年)のインターチャプターが続く。「ジャンルとサブジャンル」にはグレアム・グリーンの『恐怖省』(1943年)が続く。これは犯罪スリラーなので、本書の例には、正典的な純文学の小説だけでなくジャンル小説も含まれる。
第9〜10章:小説と反小説;小説、国民、共同体
「小説と反小説」にはトマス・ピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』(1966年)が続く。「小説、国民、共同体」は本編の章の最後で、題名が国民と共同体を挙げているのは出版社の言う政治に対応しており、最後のインターチャプターはサルマン・ラシュディの『真夜中の子供たち』(1981年)を読む。
第11章:結び
約8ページの短い結びの章。巻末には、注、用語集(197〜205ページ)、読書案内(206〜210ページ)がある。
主要概念
第1〜3章:起源と語り
- 近代の形式としての小説:出版社は、小説を18世紀の娯楽として始まり、近代の主要な文学ジャンルになったものと位置づけている。
- 小説を語ること:第3章の主題で、小説の文体や技法を読者がどう考えるかを問う。
第4〜8章:要素と文脈
- 人物、筋、舞台設定:それぞれ1章を与えられた3つの構造要素(第4、5、6章)。
- 時間と歴史:第7章の主題で、小説を歴史的な時間と結びつける。
- ジャンルとサブジャンル:第8章が小説を種類に分ける方法。
第9〜11章:挑戦と文脈
- 小説と反小説:題名が示すとおり、小説と、その約束事に逆らう作品との関係。対になるインターチャプターはピンチョンである。
- 小説、国民、共同体:題名が小説を国民や共同体の生活に結びつける章で、ラシュディと対になる。
- 用語集:巻末にある、9ページにわたる主要用語の定義。
批判的分析
長所
- 読み方を教える構成。 主題の各章の後に、特定の小説をひとつ取り上げた長めの読解が置かれているため、語り、人物、筋、舞台、時間、ジャンルといった抽象的な区分がすぐに適用される。
- 例の幅。 10のインターチャプターは『ドン・キホーテ』から『真夜中の子供たち』まで及び、ゴシック(ホッグ)、アメリカ(ホーソーン)、フランス(フローベール)、ヴィクトリア朝(ディケンズ)、モダニズム(ウルフ)、スパイ・スリラー(グリーン)、ポストモダン(ピンチョン)の小説を含む。出版社も世界各地の例を強調している。
- コンパクトで備えが整っている。 約230ページに、用語集、注、読書案内が収められており、出版社は小説の入門的な授業にうってつけの伴走書と説明している。
- 秩序ある進行。 章題は、小説がなぜ重要か、どこから来たかに始まり、語り、人物、筋、舞台を経て、時間と歴史、ジャンル、反小説、国民へと進む。基本的な要素から、より広い文脈へという流れである。
短所
- 各主題が短い。 章は約8〜21ページなので、各主題は紹介にとどまり、徹底的に論じられるわけではない。
- インターチャプターは英語圏の小説が中心。 セルバンテスとフローベールを除き、インターチャプターの小説は英語で書かれている。他の文学的伝統の小説を長く読みたい読者は、別の本が必要になる。
- アンソロジーの部分がない。 練習用の抜粋が収められていないので、学生は小説そのもの(またはその選集)を手元に置く必要がある。
コースにおける位置づけ
小説のコースでは、本書は幅広い出発点であり、この形式の短い概観である。E・M・フォースターの Aspects of the Novel とデイヴィッド・ロッジの The Art of Fiction が最も近い併読書で、どちらも小説の要素を一つずつ取り上げる。フォースターは講義、ロッジは短いエッセイで、引用された一節で例示する。そのため、まずマッケイで地図を得て、技法についての別の声としてこの2冊を読むとよい。イアン・ワットの The Rise of the Novel は、マッケイの主題のひとつである18世紀イギリスでの小説の成立をより深く掘り下げる。バフチンの The Dialogic Imagination とルカーチの The Theory of the Novel は理論的な著作で、このような概観のあとに取り組むほうがよい。
本書の使い方
本書は、小説の授業を始める学生や、概念的な見取り図を求める一般読者に向いている。準備として最も役に立つのは、インターチャプターで取り上げられる小説、たとえば『ドン・キホーテ』(少なくとも抜粋)、『緋文字』、『ボヴァリー夫人』、『荒涼館』、『灯台へ』を数作読んでおくことである。
実践的な進め方としては、最初の2章を導入として読み、第3〜6章を技法の核として、各インターチャプターは取り上げられた小説を読んだ後に読む。第7〜10章は、文脈についての第二のまとまりとして読みやすい。読みながら用語集で用語を確認し、読書案内で次に読む本を選ぶ。インターチャプターは本編の章とは別になっているため、授業では取り上げられた小説と合わせて、そのインターチャプターを課題にできる。
