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The Art of Fiction(小説の技巧) cover

文学

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The Art of Fiction(小説の技巧)

David Lodge

英語原題: The Art of Fiction

小説家で批評家の David Lodge が、散文フィクションの技法を一つずつ検討する短いエッセイ集。各エッセイは一つのテーマを取り上げ、古典や現代の小説から引いた一節で例示しており、Jane Austen、Henry James、James Joyce、Martin Amis など多様な作家を扱う。

前提知識: 不要。論じられる一節は各エッセイの中にそのまま引用されている。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
the novelnarrative techniquefictionclose readingpoint of view

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Lodge, D. (2011). The Art of Fiction. Vintage. (First published 1992.)

章の要約

本書は50篇の短いエッセイを収める。出版社によれば、これらはもともと『インディペンデント・オン・サンデー』紙と『ワシントン・ポスト』紙に掲載された記事である。図書館目録には「古典と現代のテクストによる例示」という副題が記録されており、各エッセイは一つの主題を取り上げ、古典または現代の小説の一節でそれを例示する。英国図書館の目次注記には、エッセイごとに例として使われる作家の名が記されている。最初のハードカバー版(セッカー・アンド・ウォーバーグ、1992年)は参考文献と索引を含めて約240ページ、ヴィンテージ版のペーパーバックは256ページである。目次には主題別の区分がないので、以下のまとまりはエッセイの順序に従っただけのものである。

エッセイ1–5:始まり、介入する作者、サスペンス、ティーンエイジャーのスカース、書簡体小説

本書はふさわしくも「始まり」で幕を開け、ジェイン・オースティンとフォード・マドックス・フォードを例に取る。続いて、物語に注釈を加える語り手(ジョージ・エリオットとE・M・フォースター)、サスペンス(トマス・ハーディ)、J・D・サリンジャーの口語的な一人称の声である「ティーンエイジャーのスカース」、手紙による小説(マイケル・フレイン)を扱う。

エッセイ6–10:視点、謎、名前、意識の流れ、内的独白

これらのエッセイは、誰の視点が語りを支配するか(ヘンリー・ジェイムズ)、伏せられた情報(ラドヤード・キプリング)、登場人物の命名(ロッジ自身の作品とポール・オースターからの例)、そして意識を描く二つの方法である意識の流れ(ヴァージニア・ウルフ)と内的独白(ジェイムズ・ジョイス)を扱う。

エッセイ11–17:異化、場所の感覚、リスト、人物の紹介、驚き、時間の移動、テクストの中の読者

描写と配列に関する一連のエッセイ。見慣れたものを奇妙にすること(シャーロット・ブロンテ)、場所(マーティン・エイミス)、技法としてのリスト(F・スコット・フィッツジェラルド)、人物の最初の提示(クリストファー・イシャウッド)、驚き(サッカレー)、年代順からの逸脱(ミュリエル・スパーク)、テクストの中で呼びかけられる読者(ロレンス・スターン)である。

エッセイ18–25:天候、反復、凝った散文、間テクスト性、実験小説、喜劇小説、魔術的リアリズム、表面にとどまる

文体と様式。天候(オースティンとディケンズ)、反復(ヘミングウェイ)、技巧を凝らした散文(ナボコフ)、間テクスト性(コンラッド)、実験小説(ヘンリー・グリーン)、喜劇小説(キングズリー・エイミス)、魔術的リアリズム(ミラン・クンデラ)、意図的に外面にとどまる文体(マルカム・ブラッドベリ)。

エッセイ26–33:示すことと語ること、異なる声で語る、過去の感覚、未来を想像する、象徴主義、寓意、エピファニー、偶然

語りと意味。示すことと語ることという古典的な区別(フィールディング)、複数の語りの声(フェイ・ウェルドン)、歴史小説(ジョン・ファウルズ)、ディストピア(ジョージ・オーウェル)、象徴主義(D・H・ロレンス)、寓意(サミュエル・バトラー)、エピファニー(ジョン・アップダイク)、偶然(ヘンリー・ジェイムズ)。

エッセイ34–41:信頼できない語り手、異国的なもの、章など、電話、シュルレアリスム、アイロニー、動機づけ、持続

信頼できない語り手(カズオ・イシグロ)、異国の舞台(グレアム・グリーン)、小説の章分け(スモレット、スターン、スコット、ジョージ・エリオット、ジョイス)、電話による会話(イーヴリン・ウォー)、シュルレアリスム(レオノーラ・キャリントン)、アイロニー(アーノルド・ベネット)、動機づけ(ジョージ・エリオット)、物語の持続時間(ドナルド・バーセルミ)。

エッセイ42–50:含意、題名、思想、ノンフィクション・ノヴェル、メタフィクション、不気味なもの、物語構造、アポリア、結末

最後のエッセイ群は、含意(ウィリアム・クーパー)、題名(ジョージ・ギッシング)、思想小説(アントニー・バージェス)、ノンフィクション・ノヴェル(トマス・カーライル)、メタフィクション(ジョン・バース)、不気味なもの(エドガー・アラン・ポー)、物語構造(レナード・マイケルズ)、アポリア(サミュエル・ベケット)を扱い、本書は始まりと同じくジェイン・オースティンで、ウィリアム・ゴールディングと並べた「結末」で閉じられる。

主要概念

エッセイ1–10:語りと視点

  • 介入する作者:物語や登場人物について公然と注釈を加える語り手。
  • スカース:口語的な話し言葉の声による一人称の語り。ここではティーンエイジャーの声。
  • 視点:物語の出来事が提示される際の見地。
  • 意識の流れと内的独白:人物の思考を描く二つの技法で、別々のエッセイで扱われる。

エッセイ11–25:描写、順序、文体

  • 異化:見慣れたものを、奇妙で新たに見られたもののように提示すること。
  • 時間の移動:出来事を年代順でない順序で語ること。
  • 間テクスト性:あるテクストと他のテクストとの関係、および他のテクストの利用。
  • 魔術的リアリズム:それ以外は写実的な世界の中で、ありえない出来事が起こる小説。

エッセイ26–41:語りと意味

  • 示すことと語ること:出来事を劇的に提示することと、要約し注釈することの対比。
  • エピファニー:突然の啓示や洞察の瞬間。
  • 信頼できない語り手:読者がその説明を疑う理由をもつ語り手。

エッセイ42–50:構造と自己意識

  • メタフィクション:自らが虚構であることに注意を向けさせる小説。
  • アポリア:解決できない疑いや矛盾。ここではベケットによって例示される。
  • 結末:物語の閉じ方。「始まり」と対置されて本書の枠をなす。

批判的分析

長所

  • 一度に一つの技法。 各エッセイは一つの技法を切り出し、具体的な一節に根ざして論じるので、本書はどの順番でも読める、短く完結した授業の集まりとして機能する。
  • 幅広い例。 目次はフィールディング、スモレット、スターンからイシグロ、エイミス、バーセルミにまで及び、ゴシック、喜劇、実験、ディストピアの小説を含む。出版社は、学生、作家志望者、一般読者に向けた本であることを強調している。
  • 小説家兼批評家の視点。 ロッジは「名前」で自作を例として用いており、出版社が引用する書評は学識と読みやすさの両立を称えている。『フィナンシャル・タイムズ』は、フォースターの『小説の諸相』以来最良の一般向け小説研究と評した。
  • 具体化された批評用語。 異化、間テクスト性、メタフィクション、アポリアといった批評・理論の用語が、抽象的な定義ではなく例を通して導入される。

短所

  • 深さより広さ。 約250ページに50の主題があるので各エッセイは短く、本書は技法を紹介するが、小説についての持続的な議論を展開するわけではない。
  • 主に英米の小説。 出版社は本書の対象を英米の小説としており、チェコ語とフランス語で書いたクンデラは数少ない例外である。他の文学伝統に関心のある読者には別の本が必要となる。
  • 主題別の配列がない。 関連する主題(たとえば視点と信頼できない語り手)が順序の上で離れているので、読者は自分でつながりをつける必要がある。
  • 時代の産物。 エッセイは1990年代初めのもので、後のヴィンテージ版の目次も同じ50篇なので、それ以降に書かれた小説は対象外である。

コースにおける位置づけ

小説を扱うこのコースで、ロッジはE・M・フォースターの『小説の諸相』に対する最も実践的な伴走書であり、「介入する作者」のエッセイはフォースターを例に引いている。フォースターがいくつかの大きな枠組み(物語、人物、プロット、パターンとリズム)を示すのに対し、ロッジは技法を50の小さな単位に分け、それぞれに一節を添える。マリーナ・マッケイの『ケンブリッジ版 小説入門』は、用語集と読書案内を備え、小説の歴史と要素を整理した概説としてより適しており、ロッジのエッセイはその語り、人物、プロットの章と並行して読める。

コースにある歴史的・理論的研究、すなわちイアン・ワットの『小説の勃興』、バフチンの『対話的想像力』、ルカーチの『小説の理論』は、小説がなぜ存在し、どのような形式なのかを問う。ロッジの本は、小説がページの上で何をしているかを記述するための道具箱として、それらより先に読むのがよい。

本書の使い方

本書は学部1年生、創作を学ぶ学生、一般読者に向いている。批評の予備知識は前提としないが、取り上げられる小説のいくつかを知っていると役立つ。

  • 拾い読みでも通読でも。 エッセイはそれぞれ完結している。最初の授業の中核としては、エッセイ1–10(始まり、語り、視点、意識)に「示すことと語ること」「信頼できない語り手」「アイロニー」「メタフィクション」「結末」を加えるとよい。
  • 主題を組み直す。 関連するエッセイをまとめて読む。たとえば「視点」「異なる声で語る」「信頼できない語り手」、あるいは「時間の移動」「持続」「物語構造」である。
  • 他のテクストで練習する。 各エッセイの後で、授業で読んでいる小説の中に同じ技法を見つけ、ロッジ流に分析する短い段落を書く。
  • 書き手の使い方。 創作を学ぶ学生は、各エッセイを課題として、その技法を使った一節を書いてみるとよい。
  • その先へ。 参考文献を手がかりにロッジの短い扱いからより詳しい批評へ進み、物語と人物に関するエッセイをフォースターの対応する講義と組み合わせる。