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文学:ポータブル選集

Janet E. Gardner; Joanne Diaz; Beverly Lawn; Jack Ridl; Peter Schakel

英語原題: Literature: A Portable Anthology

詩、小説、戯曲の必須作品を特徴とする簡潔な選集で、多様な声と理解しやすい文学分析に重点を置いた文学入門コース用に設計。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
文学選集詩小説戯曲多様な声文学入門文学分析世界文学

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Gardner, J. E., Diaz, J., Lawn, B., Ridl, J., & Schakel, P. (2025). Literature: A Portable Anthology (6th ed.). Bedford/St. Martin's.

章の要約

第6版(©2025)は4部構成である。第1部は文学を読み、書くための全9章のガイドで、第2〜4部がアンソロジー本体にあたる。短編小説40編、詩200編、戯曲9作が、各ジャンル内で発表年順に並ぶ。巻頭には、時代順を超えて読みたい読者のための「形式とテーマ別の作品一覧」があり、巻末には批評・文学用語集と、著者・作品名・詩の冒頭行の索引が付く。出版社は、本版に新しい短編12編、新しい詩50編、新しい戯曲5作が加わったとし、難解な文学作品を読むことや、文章作成における人工知能の役割についての新しい指針も加わったと述べている。

第1部、第1〜2章:文学を読み書きするための導入/よい読み方の役割

第1章は、なぜ文学を読み書きするのか、文学の授業で何が期待されるのか、楽しみはどこに位置づけられるのかを問う。新設の「文学と困難」の節は、読者に挑戦してくる作品を読む価値を論じ、それらに責任ある粘り強い姿勢で向き合うよう促す。第2章は再読、精読、「隠された意味という神話」、注釈の付け方(イェイツ「The Second Coming」とジョンソン「On My First Son」の注釈付き例を含む)、ノートの取り方、各ジャンルの精読のための問い、よい読みのためのチェックリストを扱う。

第1部、第3〜4章:書くプロセス/代表的なレポート課題

第3章は、執筆前の準備、主張と論証から、草稿作成、推敲・編集(全体、局所、最終のチェックリスト付き)、ピア・ワークショップ、小説・詩・戯曲の引用の仕方、書式までを進む。第4章は、要約的応答、テクストの説明(explication)、分析、比較対照、論述式試験を順に取り上げ、それぞれに学生の文章が付く。

第1部、第5〜7章:小説を書く/詩を書く/戯曲を書く

ジャンルごとに1章を充て、その要素を紹介する。小説は筋、登場人物、視点、舞台設定、主題、象徴、文体。詩は話者、聞き手、イメージ、音と意味。戯曲は筋、登場人物と主題、台詞、スペクタクルと舞台設定に加え、戯曲の読み方、観劇、演出家のビジョンである。各章には注釈付きの例や学生の小論文が付く。たとえば小説の章ではKate Chopin「The Story of an Hour」、詩の章ではShakespeareのソネット116番が使われる。

第1部、第8章:文学研究論文を書く

資料の探し方、評価の仕方、使い方、論文執筆の各段階、剽窃の理解と回避、MLA形式の文献表記、そしてYeats「The Second Coming」についての研究論文の見本。新設の「人工知能を理解する」の節は、AIツールが学生の文章作成に及ぼす影響を論じる。

第1部、第9章:文学批評と文学理論

12のアプローチを簡潔に紹介する。形式主義とニュー・クリティシズム、フェミニズム・ジェンダー批評、クィア理論、マルクス主義批評、カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアル批評、歴史批評と新歴史主義、心理学的理論、読者反応理論、構造主義、ポスト構造主義と脱構築、そしてエコクリティシズムである。

第2部:小説

40編の短編。Hawthorne「Young Goodman Brown」、Poe、Chekhov から、Joyce「The Dead」、Kafka『The Metamorphosis』、Hurston、Hemingway、Faulkner、Jackson、Ellison、Baldwin を経て、Carver、Erdrich、O'Brien、Atwood、Adichie、Ted Chiang に至る。本版で新たに加わったのは、Paule Marshall、Julio Cortázar、Ursula Le Guin、Leila Aboulela、Simon Rich、Carmen Maria Machado、Anthony Veasna So、Jonathan Escoffery、Etgar Keret、Jamil Jan Kochai、Morgan Talty、Yvette Lisa Ndlovu の作品である。

第3部:詩

200編の詩。作者不詳の「The Wife's Lament」やWyattに始まり、Shakespeare、Donne、ロマン派の詩人たち、Dickinson、Yeats、Frost、Eliot、Hughes、Bishop、Brooks、Heaney を経て、Natasha Trethewey、Ada Limón、Ocean Vuong、Claudia Rankine、Natalie Diaz、Victoria Chang らの現代詩人に至る。出版社は、Rumi、Hwang Jini、Fatma Krouma の翻訳詩が新たに加わったことを特に挙げている。

第4部:戯曲

9作の戯曲。Sophocles『Oedipus the King』(David Kovacs による新訳)、Shakespeare『As You Like It』、Ibsen『A Doll House』、Glaspell『Trifles』、Alice Childress『Trouble in Mind』、Luis Valdez『Zoot Suit』、August Wilson『Fences』、Lynn Nottage『Sweat』、James Ijames『Fat Ham』である。『A Doll House』『Trifles』『Fences』『Sweat』を除く5作が、本版の新収録として示されている。

主要概念

第1部:読むことと書くこと

  • 精読と再読:テクストに注釈を付け、隠された意味を探すのではなく、批判的な問いを立てる。
  • 主張と論証:論文は議論の余地のある主張を立て、テクストの根拠で裏づける。
  • 代表的な課題:要約的応答、説明、分析、比較対照、論述式試験。
  • 引用と剽窃:資料をいつ、どのようにMLA形式で示すか。

第1部:要素とアプローチ

  • 小説・詩・戯曲の要素:小説の筋や登場人物や視点など、詩の話者・イメージ・音、戯曲の上演。
  • 批評のアプローチ:第9章が概観する12の流派。今回はエコクリティシズムも含む。

批判的分析

長所

  • 1冊で1つの授業。 出版社は、入門文学や作文と文学の授業のために、古典と現代文学をバランスよく選んだものだと説明し、作者の略歴、読み書きの完全なガイド、用語集を備えているとする。
  • 学生の見本に基づく文章指導。 第1部では、各課題が学生の文章や注釈付きテクストと組み合わされている。
  • 幅広さと新しさ。 目次には本版で新しい作品が数多く示され、詩には翻訳と多数の現代詩人が含まれる。
  • 柔軟な並べ方。 各ジャンル内の年代順の配列は、「形式とテーマ別の作品一覧」によって補われる。

短所

  • 要素の扱いが圧縮されている。 各ジャンルの要素が1章にまとめられているため、比喩表現や韻律などについては、要素ごとに章を設ける入門書ほど詳しい指導はない。
  • 戯曲の部が小さい。 9作の戯曲のうち1作はShakespeareであり、戯曲を他のジャンルと同等に扱う授業では選択肢が限られる。
  • 理論は簡略。 第9章は12のアプローチを1章で概観するにとどまり、いずれかを深く使うには別の入門書が必要になる。
  • 第5版の参照は引き継げない。 多くの作品が追加・差し替えられているため、第5版に基づくシラバスやページ参照は確認が必要である。

コースにおける位置づけ

このコースの本のなかでは、最初の文学の授業、または文学と作文の授業のための、コンパクトなアンソロジーである。The Bedford Introduction to Literature と The Norton Introduction to Literature は同じ役割をより大きな規模で果たし、小説・詩・戯曲の個々の要素に別々の章を充てている。要素ごとにより多くの指導を望む授業に向く。一方、Portable Anthology は、基本的な指導と幅広い読書リストを軽めの1冊で求める授業に向く。

Andrew Bennett と Nicholas Royle の An Introduction to Literature, Criticism and Theory は、第9章を気に入り、読むことから理論的な問いが生まれる様子を見たい学生にとって自然な併読書である。Critical Terms for Literary Study や Rivkin と Ryan の Literary Theory: An Anthology は、批評家や理論家の文章を自分で読めるようになった後の段階に位置づく。

本書の使い方

学部1・2年生を対象とし、文学の事前学習は前提としない。文学概論にも、文学を題材とする作文の授業にも適している。

  • まず第1〜3章を読む: 書き始める前に、文学の授業で何が期待されるか、論文がどう組み立てられるかをつかむ。
  • ジャンルごとの単元に対応する章を組み合わせる: 小説の前に第5章、詩の前に第6章、戯曲の前に第7章を読む。
  • 第4章は課題ごとに使う: その種のレポートが課されたときに、該当の節に戻る。
  • 研究論文の前に第8章を、 授業が批評に移るときに第9章を読む。
  • 用語集を手元に置き、 「形式とテーマ別の作品一覧」を使って比較小論文のための作品の組み合わせを探す。