01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Lentricchia, F., & McLaughlin, T. (Eds.). (1995). Critical Terms for Literary Study (2nd ed.). University of Chicago Press.
章の要約
本書は約500ページの書き下ろし論集で、文学研究の鍵となる用語を一つずつ取り上げ、それぞれ別の研究者が執筆している。出版社によれば、各論文は用語の簡潔な歴史、その用語が分野に投げかける問題の批判的な検討、そして用語に導かれた読みの方略の実演を含む。冒頭にトマス・マクラフリン(Thomas McLaughlin)の序論があり、末尾はフランク・レントリッキア(Frank Lentricchia)の「あとがきの代わりに:読んでいる誰か」(In Place of an Afterword: Someone Reading)で閉じられる。28の用語が三部に分けられている。
序論と第2版への序文
マクラフリンの序論は、本書を文学研究が使う語彙への入口として位置づける。序論の前には第2版への序文が置かれている。
第I部「書くこととしての文学」(第1〜8章)
第I部には、文学テクストとは何か、どう作られるかを述べる用語が集められている。表象(W. J. T. Mitchell)、構造(John Carlos Rowe)、書くこと(Barbara Johnson)、言説(Paul A. Bove)、物語(J. Hillis Miller)、比喩的言語(Thomas McLaughlin)、パフォーマンス(Henry Sayre)、作者(Donald E. Pease)である。これらを合わせると、テクストがどう世界を描くかから、誰がテクストの生み手とされるかまで、分野のテクスト的な側面を網羅する。
第II部「解釈」(第9〜15章)
第II部は、読むことと評価することに向かう。解釈(Steven Mailloux)、意図(Annabel Patterson)、無意識(Francoise Meltzer)、決定性/不決定性(Gerald Graff)、価値/評価(Barbara Herrnstein Smith)、影響(Louis A. Renza)、修辞(Stanley Fish)である。これらの用語は、読者がテクストをどう扱うか、また何を根拠にテクストを理解した、あるいは格付けしたと主張するのかに関わる。
第III部「文学・文化・政治」(第16〜28章)
最も長い第III部は、文学を社会的文脈に置く。文化(Stephen Greenblatt)、正典(John Guillory)、文学史(Lee Patterson)、ジェンダー(Myra Jehlen)、人種(Kwame Anthony Appiah)、エスニシティ(Werner Sollors)、イデオロギー(James H. Kavanagh)、大衆文化(John Fiske)、多様性(Louis Menand)、帝国主義/ナショナリズム(Seamus Deane)、欲望(Judith Butler)、倫理(Geoffrey Galt Harpham)、階級(Daniel T. O’Hara)である。三部のうち、文学研究と社会・政治との関係に最も関心を向けている。
あとがきの代わりに:読んでいる誰か
レントリッキアの結びの論考は読者という存在に立ち返り、用語ごとに進んできた本書を閉じる。
主要概念
第I部:書くこととしての文学
- 表象、構造、書くこと、言説:テクストを作られたものとして記述する用語。
- 物語と比喩的言語:テクストがどう語り、どう間接的に語るかを示す用語。
- パフォーマンスと作者:テクストがどう演じられ、誰に帰属されるかを示す用語。
第II部:解釈
- 解釈と意図:テクストを読むとはどういうことか、作者の意図が読みを支配するのか。
- 決定性/不決定性と価値/評価:意味や価値は確定できるのか。
- 無意識、影響、修辞:テクストの意味と効果を形づくり、複雑にする要因。
第III部:文学・文化・政治
- 文化、正典、文学史:作品が分類され、序列づけられる枠組み。
- ジェンダー、人種、エスニシティ、階級:読むことと書くことに関わる社会的差異のカテゴリー。
- イデオロギー、帝国主義/ナショナリズム、多様性:文学研究の政治的・制度的な文脈。
- 欲望と倫理:個人的なものと道徳的なものが批評に入ってくる際の用語。
批判的分析
長所
- 共通の論文設計。 出版社によれば、各論文は用語の歴史をたどり、それが提起する問いを示し、用語を文学テクストに適用する。読者は定義だけでなく、理論がテクストに働く様子を各項目で見ることができる。
- 書き下ろしと著名な執筆者。 論文は本書のために書き下ろされ、著名な批評家が執筆しているため、各項目は匿名の定義ではなく、批評家自身による用語との取り組みになっている。
- 選択的な読書を支える構成。 三部構成と、短くて独立した論文により、学生は課題が求める一つ二つの用語だけを、全体を通読せずに読める。
- 幅広さ。 用語は物語や比喩的言語のような形式的なものから、階級、人種、帝国主義のような政治的なものまで及び、文学研究をテクスト的実践かつ社会的実践として示す。
短所
- 流派ではなく用語による編成。 用語ごとの編成のため、構造主義やフェミニズムのような運動についてのまとまった説明は見つからない。それらは複数の論文にまたがって現れる。
- 刊行当時の刻印。 第2版の版権年は1995年であり、用語の選択とそれをめぐる議論はその時期の分野の状況を映している。その後の展開には、より新しい資料が必要である。
- 論文は執筆者によって異なる。 各論文は一人の研究者の見方であるため、語り口、難しさ、例示に使うテクストの選び方は項目ごとに違い、全体として統一された方法があるわけではない。
コースにおける位置づけ
文学研究入門のリストの中で、本書は批評の語彙をキーワードに沿って理解したい読者のための一冊である。ベネットとロイルの An Introduction to Literature, Criticism and Theory も短い主題別の章から成り、各章は読むことについての問いから出発する。複数執筆者による論集に対する、単独著者の選択肢である。リヴキンとライアンの Literary Theory: An Anthology は理論の原典を提供し、本書はその伴走役として、それらのテクストが用いる概念の地図を与える。
リストの他の本は文学作品のアンソロジーや授業用テクスト(ノートン、ベッドフォード、ガードナーのアンソロジー)であり、本書の論文が読む、あるいは学生がこれらの用語を手に読める原典作品を提供する。
本書の使い方
文学研究の最初のコースを終え、この学問の概念に名前を与えて論じたい学生、また理論のセミナーに備える上級の学部生や大学院生に向いている。
まずマクラフリンの序論を読み、次に現在の課題に最も直接関わる用語を読む。各部から一つずつ、たとえば物語、解釈、イデオロギーを選ぶと、論文ごとの違いがわかる。各論文は、扱われている原典を横に置いて読み、用語の歴史と、実演としての読みが用語の意味をどう変えて見せるかの両方に注意する。参考文献と執筆者一覧から批評家たちのより長い著作を探し、最後にレントリッキアのあとがきを読む。
