01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Habib, M. A. R. (2007). A History of Literary Criticism: From Plato to the Present. Wiley-Blackwell. (First published by Blackwell, 2005.)
章の要約
本書は単独著者による文学批評・理論の歴史で、約840ページ。序論、八部にまたがる29章、エピローグ、精選参考文献、索引から成る。出版社によれば、古典期の文学批評からデコンストラクションまで時代順に編成され、各時代の批評に文化的・歴史的・哲学的背景を与え、批評のアンソロジーと併用することも、単独の入門書として使うこともできる。レオン・ゴールデン(Leon Golden)は『Bryn Mawr Classical Review』(2008)の書評で、著者が明言する目標を挙げている。批評は哲学的伝統に埋め込まれていることを示すこと、すべての人物を網羅せず影響力のある理論家を選んで精読すること、歴史的背景を示すこと、そして前の部分を読まなくても特定の理論を参照できるように構成することである。
序論
序論は、この企画の枠組みと、上記の選択の原則を示す。
第I部:古代ギリシアの批評(第1〜2章)
第1章はプラトン(前428頃〜前347頃)、第2章はアリストテレスを扱う。ゴールデンによれば、プラトンは主に『国家』を通じて精読され、『イオン』は詩を霊感として捉える、より敵対的でない見方を示す。アリストテレスは主に『詩学』を通じて扱われ、ハビブはこれを文学批評史上で最も影響力のある論考と呼ぶ。
第II部:修辞学の伝統(第3〜4章)
第3章はギリシアの修辞学(プロタゴラス、ゴルギアス、アンティポン、リュシアス、イソクラテス、さらにプラトンとアリストテレス)、第4章はヘレニズム期とローマの修辞学で、キケロとクインティリアヌスを含む。
第III部:ローマ帝国期のギリシア・ラテン批評(第5〜7章)
第5章と第6章はそれぞれホラティウスとロンギノスに充てられ、第7章はプロティノス、マクロビウス、ボエティウスを含む新プラトン主義を扱う。
第IV部:中世(第8〜10章)
第8章は聖アウグスティヌスを通じて中世初期を扱う。第9章は中世後期を扱い、サン=ヴィクトルのフーゴー、ソールズベリのヨハネス、ダンテ、ヴァンソーのジョフロワ、イブン・ルシュド、聖トマス・アクィナスなどが登場する。第10章「過渡期:中世ヒューマニズム」はボッカッチョとクリスティーヌ・ド・ピザンを論じる。
第V部:近代初期から啓蒙主義まで(第11〜13章)
第11章は近代初期を扱い、イタリアとフランスの批評家からシドニーやパテナムに及ぶ。第12章は新古典主義批評で、コルネイユ、ボワロー、ドライデン、ポープ、ベーン、ジョンソンが登場する。第13章は啓蒙主義で、ロック、アディソン、ヴィーコ、ヒューム、バーク、ウルストンクラフトを扱う。
第VI部:19世紀前半とロマン主義(第14〜17章)
第14章は「カント哲学体系とカントの美学」で、ゴールデンは難解な体系を辛抱強く説明しようとする規律ある努力だと述べる。第15章はヘーゲル。第16章と第17章はロマン主義を扱い、最初にドイツとフランス、次にイギリスとアメリカを論じる。
第VII部:19世紀後半(第18〜21章)
第18章はリアリズムと自然主義、第19章は象徴主義と唯美主義、第20章は「異質学的思想家たち」(The Heterological Thinkers)でショーペンハウアー、ニーチェ、ベルクソン、アーノルドを含み、第21章はマルクス主義を扱う。
第VIII部:20世紀(第22〜29章)
ゴールデンによれば、最終部は20世紀の歴史的背景の概観から始まり、続いて精神分析批評(22)、形式主義(23)、構造主義(24)、脱構築(25)、フェミニズム批評(26)、読者反応理論と受容理論(27)、ポストコロニアル批評(28)、新歴史主義(29)が続く。
エピローグ
ゴールデンによれば、エピローグは最も影響力のある現代理論に見出された限界を記し、より局所的な焦点を持つ新しい批評的立場を指し示す。
主要概念
第I〜III部:古典批評と修辞学
- ミメーシス:プラトンとアリストテレスの文学観の中心にある、模倣という古典的概念。
- 修辞学と詩学:古代世界が言語と文学を理論化した二つの伝統。
- 新プラトン主義:プロティノス、マクロビウス、ボエティウスに代表される後期古代の哲学的潮流で、古典批評と中世を結ぶ。
第IV〜V部:中世から啓蒙主義まで
- 中世の批評:アウグスティヌスから中世後期を経て中世ヒューマニズムに至る時期。
- 新古典主義批評:第12章のコルネイユ、ボワロー、ドライデン、ポープ、ベーン、ジョンソンの批評。
- 啓蒙主義:第13章が示すロック、ヒューム、ヴィーコの思想的背景。カントへとつながる。
第VI〜VIII部:カントから現代まで
- カントの美学:後の理論が拠り所とする哲学体系。
- ロマン主義、リアリズム、象徴主義、唯美主義:ハビブが章ごとに扱う19世紀の運動。
- 現代の諸学派:精神分析、形式主義、構造主義、脱構築、フェミニズム、読者反応、ポストコロニアル、新歴史主義の批評。
批判的分析
長所
- 哲学的背景の中の批評。 出版社もゴールデンも、各批評家がその時代の哲学・政治・歴史の中に位置づけられていると述べている。そのため本書は、理論が何を言うかだけでなく、なぜ生まれたかも説明する。
- モジュール的な構成。 ゴールデンによれば、前の章を読まなくても一つの運動を調べられるように編成されており、部と章の題名も目当ての箇所を見つけやすくしている。
- 選ばれたテクストの精読。 ゴールデンは『詩学』の精読が読者に大いに役立つとし、ドライデンの『劇詩論』の議論を、理論を文学作品そのものに結びつける例として挙げている。
- 範囲の完全さ。 目次はプラトンから新歴史主義まで続き、修辞学、中世の批評、カントとヘーゲルの章も含むため、現代理論は長い論争の到達点として現れる。
短所
- 網羅ではなく選択。 本書はすべての重要人物を扱おうとはしておらず、目次にない批評家を知りたい読者は別の資料が必要である。
- 文学作品より理論。 ゴールデンは、ハビブは理論を文学作品そのものに結びつけることをもっとできたはずで、『イリアス』や『オデュッセイア』のようなテクストがなぜ生き残るかというテーマも、本書ではほとんど掘り下げられていないと考える。
- 細部の問題。 ゴールデンは、ハビブがアリストテレスの katharsis を「relief」と訳し、競合する解釈を伝えていないこと、また索引で「katharsis」と「catharsis」が相互参照されていないことを指摘している。
- 分量。 約840ページで、通読する本であると同時に参照用の本でもある。
コースにおける位置づけ
文学理論のリストの中で、ハビブは歴史的な叙述を担う。バリーの Beginning Theory、タイソンの Critical Theory Today、カラーの Literary Theory: A Very Short Introduction は、主な現代的アプローチへの短い手引きであり、イーグルトンの Literary Theory: An Introduction は主要な学派を扱う包括的な入門書である。ハビブも第VIII部で同じ現代の学派を扱うが、それはプラトンに始まるはるかに長い歴史の中に置かれる。
The Norton Anthology of Theory and Criticism はその歴史の原典を提供し、ハビブの本の出版社も、どのアンソロジーとも併用できると述べている。まず短い手引きで見取り図を得て、ハビブで歴史を学び、ノートン・アンソロジーで原典に当たる順がよい。
本書の使い方
理論の入門コースを終え、その背後にあるより長い物語を知りたい上級の学部生や大学院生に向いている。哲学史の知識があると助けになる。
通読にも参照にも使える。全体を概観するなら、序論の後に各部を順に読む。現代理論の授業なら第VI〜VIII部を、カントを論じる第14章を要として読む。古典から近代初期の批評の授業なら第I〜V部を読む。各章は、論じられている原典と組み合わせて読み、精選参考文献を使って個々の批評家をさらに追うとよい。
